MAG2 NEWS MENU

公明の連立離脱で「大量の創価学会票」を失った高市早苗“第2次麻生政権”が、易々と「解散総選挙」に打って出られぬ理由

日本維新の会との連立も決まり、憲政史上初の「女性宰相」となる公算大の高市早苗氏。しかしその足元にはすでに不安材料が山積しているのが現状です。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』では著者で衆院議員の有田芳生さんが、総裁選後に展開された政党間の駆け引きの内幕を紹介。さらに「高市政権」が短命に終わると判断する根拠と理由を解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:高市早苗「第2次麻生政権」は短命に終わる

砂上の楼閣そのもの。短命に終わる高市早苗「第2次麻生政権」

自民党の新総裁に高市早苗議員が選出され、国会の首班指名が10月21日に行われる。もし高市早苗政権になれば、憲政史上初めての女性宰相が生まれることになる。だが、その先には暗雲が待ち構えている。

まず高市自民党は国民民主党を連立政権に組み込もうとした。総裁に選出された翌日の10月5日に高市総裁は玉木雄一郎代表と秘密接触。さらに翌6日には麻生太郎副総裁が榛葉賀津也幹事長と接触した。この会談では麻生議員から「脅しのように」連立入りを求められたという。

一連の会談は公明党には知らされていなかった。しかも麻生議員は「公明党は(連立から)出ていけばいい」とも発言。公明党執行部は激怒し「なめんなよ」の声もあがったという。

「秘密接触」というものの情報は意図的に流された。野党は立憲民主党が主導して「玉木雄一郎首班」をめざすものの、国民民主党が表向きは安保や原発での政策の不一致を声高に主張しつつ、本音では感情的な対立が根強いため、結局幻に終わってしまった。

麻生太郎副総裁、萩生田光一幹事長代理は、密かに維新執行部と接触、政策協議の一致を前提に閣内協力を提示した。

13日、大阪・関西万博の会場で、維新創設者の松井一郎・前大阪市長は藤田氏に声をかけた。「安売りするなよ」

それからわずか2日後。高市、吉村、藤田氏は国会内で会談し、連立協議開始で一致した。

と『朝日新聞』。維新が政策協議で出したメモは12項目。憲法9条改定、国会議員の定数1割削減、スパイ防止法制定などを求めている。

吉村洋文代表は定数削減を臨時国会で実現することは譲れないと発言した。自民党が飲めるはずもなく、大阪などでは維新と自民の衆議院選挙区も競合する。維新内の反発も強く合意は流動的だ。

臨時国会で物価高対策の補正予算を通して解散・総選挙という観測がある。『週刊ポスト』(10月31日号)などは

テレビでは絶対に報じない衝撃予測 電撃解散総選挙で高市自民240議席超え劇勝!

と書いた。根拠は各選挙区の調査を行なったものではなく、昨年の総選挙で自民党票が参政党などに流れたが、高市政権で「保守票」が戻ってくるという感覚的な「予測」だ。一方で『週刊現代』は近く発売される号で公明党票がなくなれば自民党は惨敗するという記事を掲載するようだ。

この記事の著者・有田芳生さんのメルマガ

有田芳生さんの活動を支援する

 

安易に総選挙へと向かうことができない「高市政権」

実際に単純計算すれば多くの自民党議員は落選し、その数は50議席台から90議席台という予測がある。

たとえば萩生田光一議員の選挙区である八王子では、この6月22日に行われた東京都議選で、公明党はトップ当選、3万7,057票だった。この票がすべて萩生田氏から消えることはない。長年の人間関係があるからだ。

しかし選挙協力体制が無くなった場合、公明党票は無効票になる傾向がある。比例区中心の選挙戦になるから、選挙区も比例区も「公明党」と書くので、選挙区で無効票が大量に出る。

一般的には7割が自民党以外の候補に流れるとの観測もある。したがって高市政権は安易に総選挙に向かうことはできない。かつて麻生太郎政権が任期いっぱいまで総選挙を引っ張り政権交代が起きたように、高市早苗「第2次麻生政権」が不安定要素を抱えたままで解散すれば、立憲民主党が比較第1党になる可能性が高い。

解散がないなら来年の本予算成立が攻防となる。高市早苗政権に対する各党の判断によっては内閣不信任案の提出も視野に入る。政治状況いかんによるが高市早苗退陣と引き換えに予算を成立させる道がある。

1979年に一般消費税導入を閣議決定したのは大平正芳首相だが、国民の強い反対に合い廃案。さらに1987年に中曽根康弘首相が売上税法案を国会に提出したが、これも廃案。その翌年1988年に竹下登首相によって消費税法が成立、1989年の施行となった。このとき竹下政権は消費税導入とリクルート事件の責任をとって6月に退陣した。高市早苗政権が誕生しても茨の道が待っており、短命政権になるだろう。

(本記事は有料メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2025年10月17日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、初月無料の定期購読にご登録の上お楽しみください。このほか、1ヶ月単位でバックナンバーもご購入いただけます)

この記事の著者・有田芳生さんのメルマガ

有田芳生さんの活動を支援する

 

初月無料購読ですぐ読める! 10月配信済みバックナンバー

※2025年10月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、10月分のメルマガがすべてすぐに届きます。
2025年10月配信分
  • 高市早苗「第2次麻生政権」は短命に終わる/有田芳生の「酔醒漫録」第136号(10/17)
  • 北朝鮮拉致問題に関心が薄い高市早苗新総裁/有田芳生の「酔醒漫録」第135号(10/10)
  • 自民党新総裁の本命は小泉進次郎だが…?/有田芳生の「酔醒漫録」第134号(10/3)

いますぐ初月無料購読!

こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー

初月無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。

2025年9月配信分
  • 韓鶴子総裁逮捕で統一教会は崩壊するか?/有田芳生の「酔醒漫録」第133号(9/26)
  • 韓鶴子総裁へ逮捕状請求の衝撃と日本教団の行方(下)/有田芳生の「酔醒漫録」第132号(9/19)
  • 統一教会総本山の激震と日本の教団解散へ(上)/有田芳生の「酔醒漫録」第131号(9/12)
  • 参政党の「スパイ防止法」その源流を暴く(下)/有田芳生の「酔醒漫録」第130号(9/5)

2025年9月のバックナンバーを購入する

2025年8月配信分
  • 参政党の「スパイ防止法」その源流を暴く(中)/有田芳生の「酔醒漫録」第129号(8/22)
  • 参政党の「スパイ防止法」その源流を暴く(上)/有田芳生の「酔醒漫録」第128号(8/15)
  • 北朝鮮に連絡事務所を置く構想への無理解/有田芳生の「酔醒漫録」第127号(8/8)
  • トランプ大統領の10月訪朝計画は実現するか/有田芳生の「酔醒漫録」第126号(8/1)

2025年8月のバックナンバーを購入する

2025年7月配信分
  • 参院選選挙が示す「新しい冬の時代」/有田芳生の「酔醒漫録」第125号(7/25)
  • クルドの土地を歩いて日本の入管調査のウソを知った(下)/有田芳生の「酔醒漫録」第124号(7/18)
  • クルド問題の平和的解決への国際会議ーその意義(上)/有田芳生の「酔醒漫録」第123号(7/11)
  • 日本共産党は再生できるか(下)/有田芳生の「酔醒漫録」第122号(7/4)

2025年7月のバックナンバーを購入する

image by: 高市早苗 - Home | Facebook

有田芳生この著者の記事一覧

ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。1995年から2007年まで、日本テレビ「ザ・ワイド」に12年間レギュラー出演。2010年には民主党から立候補、参議院議員となり、北朝鮮拉致問題、差別、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。「北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実」(集英社新書)、「改訂新版 統一教会とは何か」(大月書店)など、著書多数。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 有田芳生の「酔醒漫録」 』

【著者】 有田芳生 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 金曜日 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け