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高市首相に文春砲が炸裂。早苗サイドから昨年だけでも5千万円もの「不自然なカネ」を受け取っていた“宗教団体”の実名

10月21日の発足以来、高支持率を維持し続けている高市内閣。しかしここに来てカネにまつわる「ある疑惑」が浮上する事態となっています。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、週刊文春が伝えた高市氏と「とある宗教団体」の怪しげな関係を紹介。その上で、首相サイドが特定の宗教団体に莫大な支出を繰り返してきた謎を、「第二の森友学園問題」の全貌を紐解きつつ解き明かしています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:第二の森友学園問題

高市の「スネの傷」。放置された第二の森友学園問題と「あの宗教」の関係

11月28日、総務省が2024年分の政治資金収支報告書を公開したことで、相変わらず政治資金パーティーでガッポリと儲けている自民党議員の皆さんや、政治資金でキャバクラやガールズバーに通っていた日本維新の会の議員の皆さんなど、物価高騰に苦しむ庶民を小バカにしたような与党議員の報道が続いています。そして、そんな流れから、今度は「週刊文春」の12月18日号が高市早苗首相の政治資金の使途に疑問を呈しました。

今や鼻歌を歌いながら「この世の春」を謳歌しているように見える高市早苗首相ですが、「週刊文春」の報道によると、高市首相が代表を務める政党支部や資金管理団体から、2024年の1年間だけで、天理教系の企業に対して総額約5,000万円が支出されていたというのです。

記事では、高市首相の政治資金管理団体「新時代政策研究会」の政治資金収支報告書に、2024年4月25日付で「株式会社天理時報社(奈良県天理市)」に「データ入力作業費」の名目で約1,812万円が支出されており、同年9月24日にも「封筒・会報印刷及び封入費」として約1,997万円が支出されているとのこと。

さらには、高市首相が代表を務める「自由民主党奈良県第二選挙区支部」など2団体からも、昨年1年間だけで「天理時報社」への支出が10件以上もあり、合計すると総額は約5,000万円にも上るそうです。

「天理時報社」は天理教の機関紙『天理時報』の印刷などを請け負っている天理教系企業ですが、一般の印刷なども受注しているため、高市首相が自身の広報などの仕事を発注していても不思議ではありません。天理教の教会本部は高市首相の選挙区である「奈良2区」にありますので、自分の選挙区の企業に仕事を発注するのは、政治家であれば普通のことです。

しかし「データ入力作業費」に約1,812万円、「封筒・会報印刷及び封入費」に約1,997万円というのは、尋常な金額ではありません。たとえば「過去5年間で」とかなら分かりますが、あくまでもこれは昨年1年間だけの支出なのです。さらに言えば、会報を封筒に入れる作業まで発注しているのですから、高市首相の後援会の名簿などの個人情報も「天理時報社」に提供していることになります。

そして、過去に遡って調べてみると、少なくとも10年前の2015年の時点で、高市首相の政治資金管理団体は「天理時報社」に「封筒・会報印刷及び封入費」などを支出していたのです。つまり、高市首相と天理教との金銭的な関係は、昨日今日の話ではないのです。

通常であれば、会報の印刷は外部に発注しても、宛先を印刷したシールを封筒に貼り、まとめて郵便局へ持って行くのは、事務所のスタッフが行なうものです。それなのに、後援会の会員名簿まで「天理時報社」に提供し、本来なら自分の事務所スタッフが行なうべき仕事まで外部に発注していた高市首相。普通では考えられません。

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本人が否定する「高市氏は天理教の信者」の情報源

実は、本人は否定し続けていますが、高市首相は天理教の信者だと、これまで何度も報じられて来たのです。そして、その情報源はと言うと、高市首相が莫大な支出をしていた「天理時報社」が印刷している天理教の機関紙『天理時報』なのです。

たとえば、2006年9月に第1次安倍政権が発足した際には「9月26日、安倍晋三氏を首相に新しい内閣が発足し、4人のようぼくが大臣に就任した」という記事が掲載されました。「ようぼく」とは天理教で「信者」を意味する用語です。そして、当時の柳澤伯夫厚生労働大臣、甘利明経済産業大臣、久間章生防衛庁長官と並んで、高市早苗内閣府特命大臣の名前が挙げられていたのです。ちなみに、高市首相については次のように書かれています。

内閣府特命大臣となった高市早苗さん(45歳)は、本部直属大阪分教会(東大阪市)のようぼく。松下政経塾で学んでいたときに、研修の一環として親里に来訪。政治活動中ににをいがけが掛かり、平成15年、おさづけの理を拝戴。近年、夫の山本拓衆議院議員とお節会にも帰参している。

「にをいがけ(匂い掛け)」とは「親神様の教えに共感して信心すること」、「おさずけの理」とは「信者としての資格を得るために本部で教理(天理教の教え)を9回受講すること」だそうです。

そして、この少し後の2006年10月6日号の『天理時報』には、「天理教平和の会」の当時の長谷川俊夫会長が、天理教信者である当時の閣僚6人に「憲法9条を守るように」との書簡を送ったと書かれています。こちらの記事でも柳澤伯夫、甘利明、久間章生、高市早苗の4人の閣僚名が列記されているだけでなく、新たに伊吹文明文部科学大臣、長勢甚遠法務大臣の2人が「別席運び中」と明記されています。「別席運び中」とは「おさずけの理を受講中」という意味だそうです。

教団側がここまでハッキリと「ようぼく(信者)」と何度も機関紙に明記しているのに、それを否定し続ける高市首相。それなら天理教側に「嘘を書くな」と抗議すれば良いのに、抗議どころか昨年1年間で約5,000万円もの仕事を発注しているのです。これじゃあ言っていることとやっていることがアベコベだった安倍晋三元首相そのものです。

さて、安倍晋三元首相と言えば、約9億5,000万円の国有地を8億円も値引きしたタダ同然の金額で、妻の安倍昭恵氏が名誉校長に名を挙げていた学校法人に払い下げた「森友学園問題」が未解明のままですが、サスガは「安倍元首相の後継者」を自称する高市首相です。あまり大きく報じられなかったので、お忘れの人も多いかもしれませんが、2年前の2023年に「第二の森友学園問題」の中心人物として疑惑の渦中にいたのです。

どんな疑惑だったのかと言うと、当時、奈良県天理市内で、同市を含む10の自治体が共同でつくる「山辺・県北西部広域環境衛生組合」によって、新しいゴミ処理施設の建設が進められていました。で、その施設の建設地が、天理教の所有する土地だったのです。この土地の評価額は約4億6,000万円でしたが、こうした土地を公共事業のために賃貸契約する場合、一般的な利回りは3.5%と言われています。しかし、天理教側が試算した利回りは約5割増しの5%で、それを市が採択したのです。

市はこの土地を60年契約で天理教から借りることにしたのですが、そうすると60年間の賃料は計14億円、つまり土地代の3倍以上にも上るのです。普通に考えたら、約4億6,000万円で買えば良い話ですが、地元の住民らの「ゴミ処理施設を恒久化したくない」という強い要望によって、多少は総額が高くなっても賃貸にすべきとの結論に至ったと言います。ですから、賃貸契約になったことは問題ではありません。問題なのは、どうして一般的な3.5%の利回りではなく、5割も上乗せした5%という利回りで契約したのか?…という点なのです。

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氷解する「5%の利回り」での契約が採択された謎

そして、この問題を「高市早苗大臣の関与」として厳しく追及したのが、当時の奈良県知事、荒井正吾氏でした。この年は4月に奈良県知事選があり、現職の荒井正吾氏は出馬する意向でした。しかし、この時点で78歳だった荒井氏に対して、自民党奈良県連会長の高市早苗氏は「高齢の荒井氏では日本維新の会の候補に勝てない」と判断し、荒井氏に「勇退」を進言したのです。

一方、当時の自民党の森山裕選対委員長は、荒井氏に「出馬したほうが良い」と進言し、自民党の重鎮の二階俊博氏も「がんばれ」と応援したのです。こうした経緯から、荒井氏は県知事選に出馬したのですが、奈良県連会長の高市早苗氏が、自身の総務大臣時代の秘書官だった平木省氏を自民党の新人候補として強引に擁立したことで、自民支持者の票は真っ二つに割れてしまったのです。

その結果、日本維新の会の山下真候補が当選し、日本維新の会は大阪以外の知事選で初めて勝利を収めたわけです。そして、前大阪市長の松井一郎氏は「自民党が割れた事による漁夫の利」とドヤ顔でツイートし、高市早苗氏は「県連会長でありながら保守分裂を招いて惨敗したA級戦犯」として自民党支持者からも激しく吊し上げられたのです。

そして、選挙戦で荒井正吾氏が追及していた「ゴミ処理施設建設を巡る高市大臣の関与疑惑」がクローズアップされることとなったのです。当時、荒井氏が指摘する疑惑を真っ向から否定したのが、組合の代表を務める天理市の並河健市長でしたが、並河市長は自身が天理教の「ようぼく(信者)」である上、県知事選では高市氏が擁立した平木省候補の後援会副会長を務めたほど、高市氏とベッタリの関係でした。

組合の古い議事録を見ると、並河市長は2015年6月の「全国市長会」で上京した際に、高市早苗大臣と奈良県選出の自民党参議院議員の堀井巌氏を訪問し、ゴミ処理施設への環境省の補助金に関する件を報告したと明記されています。この記述から、並河市長と高市首相はずっと以前から面識があったことが分かります。

2022年8月20日に行なわれたゴミ処理施設の起工式と安全祈願祭には、最前列に招待されていた高市氏の代わりに秘書が出席しましたが、こうした事実からも、この土地の賃貸契約の裏には、前奈良県知事の荒井正吾氏が指摘するように、高市首相の関与があったと考えるのが自然でしょう。

この「一般的には3.5%の利回りの土地を5割増しの5%で賃貸契約し、総額で土地代の3倍もの公金が天理教に支払われる」という通常では考えられない契約も、組合の代表を務める天理市の並河健市長も、自民党奈良県連会長を務める高市早苗大臣(当時)も、2人そろって天理教の「ようぼく」だったと知れば、すべてに合点が行きます。そして、高市首相の政治資金管理団体が、昨年1年だけで天理教系企業に約5,000万円も支出していた謎も氷解するのです。

最後に、あたしは決して「天理教」を批判するつもりはありません。しかし、自分の選挙区に100万人を超える信者を持つ宗教法人の本部があり、その宗教に対して自民党の県連会長が政治資金から莫大な支出を繰り返して来ただけでなく、その宗教に便宜を図ったかのような公共事業に関する契約が行なわれたことは事実なのです。そして、その中心人物が今では日本の首相に就任したのですから、この疑惑をこのまま「過去のこと」として見過ごすことなどできません。

(『きっこのメルマガ』2025年12月17日号より一部抜粋・文中敬称略)

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