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ソニー・ホンダEV撤退の衝撃。AFEELA中止の裏にある致命的判断ミス

ソニーとホンダが共同で進めてきたEVプロジェクト「AFEELA」が、開発・販売中止という決断に至りました。。次世代モビリティの象徴とも期待された取り組みは、なぜ頓挫してしまったのか。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは今回のメルマガで、その理由に迫っています。

ソニー・ホンダが「AFEELA 1」の開発、販売の中止へ―-自動車メーカーもケータイメーカーの二の舞になるか

ソニー・ホンダモビリティはこれまで開発を進めていたEVの第1弾モデル「AFEELA 1」および第2弾モデルの開発と発売を中止すると発表した。

個人的には2020年のCESで披露された「VISION-S」から毎年取材していただけに本当に残念に思う一方、「まぁ、そうだねよ」と諦めの境地に至っている。

ソニー・ホンダモビリティがAFEELA 1の開発、販売を断念せざるを得なかったのは、ホンダの方針転換に影響を受けたのが大きい。
ホンダは北米市場をメインターゲットにしていたEV3車種「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」の開発、製造を中止した。これら3車種はイーストリバティ工場(米国オハイオ州)で製造する計画であり、AFEELA 1も同じ工場で作る予定だった。

つまり、ホンダ自体がEVの製造拠点を稼働させなくなったことで、AFEELA 1はその煽りを喰らったことになるのだ。

もし、もっとホンダが早くイーストリバティ工場を稼働させていたら、AFEELA 1はきちんと生産、デリバリーされていただろう。

実際、AFLEELAはすでにアメリカでユーザーに納車する拠点もオープンさせるなど、2026年中のデリバリーに向けて準備を進めていた。

それがまさかホンダの急転直下なEV事業の見直しによって、AFLEEAもポシャるとは、ソニー関係者も思いもしなかったのではないか。

そもそも、ホンダのEV事業に関しては、EUでEVを一定の割合以上作らないといけないという規制ができたことで、コンパクトなEVである「Honda e」を作るも、開発陣がこだわりすぎて、価格は高騰。
「作れば作るほど赤字を生む」という車になってしまい、生産台数を極力抑えたことで人気が一切出ず、あえなく製造中止に追い込まれた。

その後、EUが2035年にガソリン車の全面禁止を打ち出したことから、ホンダはEVへの完全シフトを宣言し、2024年にHonda 0を大々的に発表した。

しかし、EUガソリン車禁止計画を撤回し、トランプ大統領による関税問題が勃発し、EVへの逆風が吹いた。その結果が「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」の開発中止、さらにAFEELA 1の開発、販売中止という有様だ。

ホンダのEV事業見直しは、ホンダの技術力が足りないとかいう話ではなく、欧州や欧米の政策に振り回された感が強い。

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実は今回のホンダを見ると、かつての日本のケータイメーカーに通じるような気がしている。

iモード全盛時代、日本のケータイメーカーはとにかく「自前主義」にこだわっていた。OSは「LiMo Foundation」として、仲のいいメーカー同士で作ろうとしたし、かつては自分たちでチップに取り組んだところもあった。

OSであればグーグルのAndroid、チップはクアルコムが強くなってくる中で、自分たちで融通の効く仲間同士でやろうとして見事に失敗。ケータイからスマホに取って代わられてしまったのだ。

当時、自分たちでOSをやろうとせず、いち早くAndroidに取り組んだシャープとソニーがかろうじてスマホ業界で生き残っているのは、オープンな開発体制に早いタイングでシフトできたことが大きかったのだろう。

クルマの世界もOSやチップ、プラットフォームの分野でオープン化が進んでいるが、ホンダはチップをルネサスと組んで自社開発しようとしていたし、OSも「ASIMO OS」として自前で作り始めていた。バッテリーなどもすべて自社工場で作ろうと計画していた。

EVやSDVなどを開発、製造していくには、テスラや中国勢などと戦わねばならず、いままで以上のスピード感が求められる。

それをすべて自前で用意するにはあまり時間がかかりすぎる。

その点、ソニー・ホンダはクアルコムのプラットフォームを採用するなど、オープンなものづくりを目指していた。実際、川西泉社長はXperia事業にも携わっていたこともあり、オープンな姿勢でAFEELAを開発し続けていた。

そう考えると、AFEELAはいまの時代に他の自動車メーカーと戦える開発環境にあったにも関わらず、旧態依然で一貫性のないホンダに足を引っ張られる形での開発中止はなんとも残念でならないのだ。

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image by: UmineA / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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