深夜2時過ぎ、NHKラジオに突然割り込んできたトランプ大統領の緊急会見。そこで語られたのは、約1週間前とほぼ同じ「嘘と自画自賛」の嵐でした。イランへの一方的な戦争、米軍駐留数の水増し発言、そして高市首相へのクレーム。ノーベル平和賞受賞者からは「狂人」とまで呼ばれたトランプの暴走は、いったいどこへ向かうのでしょうか。今回のメルマガ『きっこのメルマガ』では、人気ブロガーのきっこさんが、深夜に生でトランプ会見を聴いた感想を交えながら、その問題点を鋭く斬ります。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
深夜のトランプ劇場
日本時間の4月7日(火)の午前2時過ぎ、いつものようにNHK『ラジオ深夜便』を聴きながらメルマガの原稿書きをしていたら、流れてた音楽の音が絞られて「番組の途中ですが~」というアナウンスが入りました。それで「またどこかで地震かな?」と思ったのも束の間、今や「世界の疫病神」と呼ばれている独裁者、ドナルド・トランプのテレビ会見が始まったと説明があり、日本語の同時通訳付きの会見の音声が流れ始めました。
仕方なくそのまま聴いていると、毎度のことながら嘘と自画自賛の嵐だったので、あたしは5分でウンザリしてしまいました。でも、もしかしたらメルマガで取り上げることになるかもしれないので、イライラする気持ちを抑えつつ、我慢して聴き続けました。そして、最後まで聴いた結果、ザックリ言えば、約1週間ほど前の4月1日の会見とほとんど同じ内容でした。
宇宙開発も覇権争いの道具に
たとえばオープニングの「つかみ」、4月1日の会見でトランプはNASAの月面探査「アルテミス計画」のロケット、アルテミス2の打ち上げが成功したことを祝福しましたが、今回もアルテミス2が月の裏側の周回に成功したことを祝福しました。でも、これにはちゃんと理由があるのです。もともと宇宙になど興味のなかったトランプは、NASAの今年度の予算を大幅に削減しようとしたため、これまで続けて来た研究や開発のうち10本以上が中止か廃止に追い込まれることになり、各方面から批判が噴出したのです。
そんな時、2030年までの有人月面着陸を目指す中国の月面探査「嫦娥(じょうが)計画」のほうが、NASAの「アルテミス計画」よりも相当リードしていると報じられたのです。月面はまだ、どこの国のものでもありませんので、最初に基地を造ったもん勝ちです。そして、月面に基地を造れば、地球での戦争も確実に有利になるのです。で、そんな内容を側近からレクされたトランプは「中国などに先を越されたらたまらない!地球は俺様のものだし月だって俺様のものだ!」と言ったかどうかは知りませんが、急に「アルテミス計画」にだけ前向きになったのです。
つまり、しばらく足踏みしてた「アルテミス計画」が再び動き出したのは、トランプが地球での覇権争いで有利に立ちたいからで、宇宙開発まで戦争の道具にしようと目論んでいるわけです。ま、これは今回の本題じゃないのでこれくらいにしときますが、トランプは他にも「アメリカはロシアやアラブを抜いて今や世界1の産油国だ」「これからも掘って掘って掘りまくる」「今は一時的にガソリンが値上がりしてるが、すぐに元に戻る」など、前回の会見とまったく同じ「バカのひとつ覚え」を繰り返しました。
他にも「マヌケなバイデンが大統領の時代にはアメリカは最悪の国だったが、私が大統領になったらアメリカは世界1ホットな国になった」という毎度お馴染みのフレーズが次々と繰り返されました。本当に聴いてるこちらが恥ずかしくなってくる最低の大統領です。
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イラン戦争と止まらない自画自賛
イランについては「世界1優秀で強力なわが軍は、イランの海軍と空軍を完全に破壊した」「世界の戦争の歴史において、わずか数週間という短期間でこれほど壊滅的な打撃を敵に与えた例はない」「私は大統領として5年間、常に勝利し続けて来たが、今回の戦争でも大きな勝利を収めた」「わが軍はベネズエラ戦でも素晴らしい活躍をして勝利し、そして今はベネズエラと協力して石油ビジネスを進めている」「私はイランの石油も欲しい」など、言いたい放題の内容も前回の会見と同じでした。
後は、イランの高性能防空システムに撃墜され、緊急脱出して行方不明になっていた兵士1人を無事に救出したということを、長い時間を掛けて大げさな表現で自画自賛しまくっていました。そして、この件に関しては「1人が行方不明だという機密を漏らした裏切り者のせいで、その情報が敵にも知られて救出がやりにくくなった。機密を漏らした裏切り者を探し出して刑務所行きにしてやる」などと言っていました。
でも、そもそもの話として、国際法を無視して一方的な戦争を始めたのはトランプだし、今回だって自分が「我々は海軍も空軍も壊滅してイランの制空権を完全に掌握した」とドヤ顔で宣言した直後に、米軍のF-15E戦闘機とA-10攻撃機が相次いで撃墜されたのですよ?これって嘘の情報を発表したトランプの責任じゃないのですか?イランの高性能防空システムが生きていると分かっていたら、米軍の戦闘機や攻撃機も作戦を変更して撃墜を回避できたんじゃないのですか?
自分で勝手に始めた戦争で自国の兵士を13人も犬死にさせて、それでも懲りずに次から次へと自画自賛の大嘘を垂れ流し、その嘘が原因で14人目の犠牲者まで出すところだったのに、「それを救出した私は立派だ」って、はぁ? さらには、いつものようにNATO(北大西洋条約機構)を批判する流れから、日本についてもこんなことを抜かしてましたね。
トランプ「アメリカは日本を北朝鮮から守るために5万人もの米軍兵士を駐留させてやっているのに、今回、日本は助けてくれなかった」
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高市首相よ、国会で答えてくれ
こっちも、はぁ?トランプが要求した「自衛隊派遣」に関しては、3月19日のホワイトハウスでの日米首脳会談で、高市早苗首相が日本の憲法について説明した上で「自衛隊の派遣はできない」とちゃんと解答して、了解してもらってたんじゃないの? もしかして高市首相はちゃんと説明なんかしてなくて、日本向けに嘘をついてたわけ? これ、野党の皆さん、国会で高市首相本人に確認してくださいね!
あと、細かいことだけど、日本に駐留してる米軍の兵士は「約2万5000人」ですよ。ナニゲにシレッと2倍に盛らないでくださいね。この嘘つき爺さん!‥‥というわけで、トランプが病的な虚言癖なのは今に始まったことじゃないですが、高市首相も昔から同レベルの大嘘つきなので、双方の言いぶんが食い違った場合、どっちが嘘をついてるのか簡単には予想できないのが難点なのです。
しかし今回、自分から仕掛けたイランとの戦争が思い通りに行かず、あれこれと言い訳を始めてからのトランプは、もはや「虚言製造機」と化してしまいました。連日のように言うことが変わり、昨日言ったことと今日言ったことのつじつまが合わず、あまりの異常さに、とうとうトランプのことを「狂人」と呼ぶ人まで現われました。
トランプは4月4日付で、SNSの自身の戦争用アカウントからイランに向けて「我々と取引してホルムズ海峡を解放するか、その判断のために10日間の猶予を与えたことをイランは覚えているか?もう残り時間は少ないぞ。お前たちにすべての地獄が襲い掛かるまで、あと48時間だ。神に栄光あれ!ドナルド・トランプ」という投稿をしました。
すると、喉から手が出るほどトランプが欲しがっているノーベル平和賞の受賞者でもあるIAEA(国際原子力機関)の前事務局長のモハメド・エルバラダイ氏が、このトランプの投稿をシェアする形で、次のように湾岸諸国の政府に訴えたのです。
Mohamed ElBaradei @ElBaradei 湾岸諸国の政府へ この狂人がこの地域を火の海にしてしまう前に、皆さん、どうか今1度、できる限りの対策を講じてください。 午前2:14 2026年4月5日
https://x.com/ElBaradei/status/2040478155731873852
‥‥そんなわけで、この2人の正反対の投稿内容を見ると、ノーベル平和賞の受賞者と、どんなにノーベル平和賞を欲しがっても手に入れることのできない人物との違いが顕著だと思います。そこで最後になりますが、あたしはきちんと納税している1人の日本人として、日本のリーダーである高市早苗首相にお聞きしたいことがあるのです。
高市さん、あなたは本当に「世界中に平和と繁栄をもたらすことができるのはドナルドだけ」と思っているのでしょうか?そして、本当に日本の首相として、ドナルド・トランプをノーベル平和賞に推薦するつもりなのでしょうか?
‥‥とは言っても、高市首相が『きっこのメルマガ』など読んでるわけがないので、これを読んでくださっている野党議員の皆さん、あたしの代わりに国会で高市首相に質問してくださると嬉しいです。機会があれば、ぜひお願いいたします。
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