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「こども家庭庁」という無能官庁の大失態。なぜ巨人・阿部慎之助前監督は逮捕されなければならなかったのか?

長女に対する暴行容疑で現行犯逮捕され、読売巨人軍の監督辞任に追い込まれた阿部慎之助氏。全国の野球ファンに衝撃を与えたこの事件については、「こども家庭庁」の制度上の問題を指摘する声も上がっています。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、阿部前監督の逮捕に至る経緯と児童相談所の対応を検証。その上で、こども家庭庁という組織が抱える大きな課題を白日の下に晒しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:阿部前監督の逮捕はこども家庭庁の大失態だ!

見過ごされている大きな事象。阿部前監督の逮捕はこども家庭庁の大失態だ!

先週、巨人軍の阿部慎之助監督に関して、娘に暴力をふるって逮捕されるという衝撃のニュースが飛び込んできましたね。

このニュースに関しては、「こんなこと家庭では普通のこと。こんなことで逮捕されるんだったら日本中の親は逮捕される」というような声がある一方で、「暴力は絶対いけない」などという声もあります。また「警察が逮捕するくらいだからよほど何かあったんじゃないか」という声もあります。

が、この事件で、見過ごされている大きな事象があります。それは、児童相談所の対応です。

「児童相談所の対応は過剰なくらいの方がいい」などというのが、有識者たちの一般的な意見のようです。が、元官僚の目から見れば、児童相談所の対応は絶対に間違っています。児童相談所は重大な失態というか怠慢を犯しているのです。

そして、この児童相談所の失態が、ただの親子げんかに過ぎなかったことを社会を騒がす大ニュースにしてしまったのです。

またこの児童相談所の大失態は、本メルマガでもたびたび指摘してきた「こども家庭庁」という無能官庁の大失態でもあるのです。今回はその話をしたいと思います。

このメルマガの2025年6月1日号でご説明しましたように、こども家庭庁というのは、少子化対策等のために令和5年に新設された省庁です。年間予算7兆円以上も使っているにもかかわらず、わけのわからない機関に税金を垂れ流しし、少子化にまったく歯止めがかかっていません。

こども家庭庁というのは、まったく不要なものであり、「税金無駄遣いのサンプル」のような存在です。そして、阿部前監督の「事件」もせんじ詰めれば、このこども家庭庁が原因なのです。

というのも児童相談所は、こども家庭庁の管轄です。児童相談所は、虐待されている子供、育児放棄されている子供などを救済するための専門の役所です。なぜそういう子供を救済する専門の役所があるのかというと、家庭内の問題はデリケートなので、警察の介入などはできるだけない方がいいからです。

本来、日本の刑法では、子供の頭をはたくだけでも「暴行罪」ということになります。しかし、そんなことで警察が動いていれば、日本中の父親は逮捕されてしまいます。また父親が逮捕されたりすれば、子供の心にも大きな傷を残してしまいます。

かといって、日常的な暴力が行なわれている場合などには、第三者が介入して子供を救う必要があります。だから、その家庭が本当にヤバい状態なのかを確認し、適切な対応をするために、児童相談所があるのです。

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児童相談所“24時間受付”のお粗末な実態

これまで児童相談所は虐待死事件がたびたび起きるなどで、非難されてきました。またこども家庭庁への国民の不満も高まっています。その国民の批判をかわすために、児童相談所は去年令和7年の末から24時間通報を受け付けるという制度をつくったのです。

こども家庭庁の児童相談所紹介のサイトには次のような文言があります。

令和7年12月22日8時30分から、固定電話や携帯電話等、発信した端末に関わらず、すべての電話について、コールセンターのオペレーターが発信者からお住まいの地域情報を聞き取り、管轄の児童相談所を特定して転送します。

つまりは、これまでは時間外の電話などはコールセンターで対応していたのを、24時間すべての時間で児童相談所が直接対応するようになったのです。おそらく、こども家庭庁への世間の風当たりが強いので、「ちゃんと仕事やってます感」を出そうとしたのでしょう。

しかし、24時間、児童相談所が対応するためにはそのための人員を拡充したり、役所の時間外でも機能できるようないろんな仕組みを整えなくてはなりません。こども家庭庁がそういう整備を行なった形跡はまったくありません。つまり、何の準備をすることもなく、ただただ「これからは24時間対応します」と宣言しただけなのです。

「24時間職員が対応する」というのは建前で、実際は電話番を置いている程度なのです。児童相談所の職員が24時間機動的に動けるわけではないのです。ましてや夜に通報などがあってもまともに対応などはできません。阿部前監督の娘さんが相談の電話をかけたのも夜のことでした。

本来は、児童相談所に通報などがあれば、まず児童相談所の職員がその家庭を接触したり、訪問したりします。そしてその家庭の事情をしっかり把握した上で、本当に危険性があると認められる件だけを警察に通報するというのです。それが、本来の児童相談所の仕事です。

もし児童相談所が、本来の仕事をしていれば、阿部前監督の逮捕などというバカげたことは絶対に起こらなかったことなのです。つまり、この事件の最大の犯人は、「児童相談所がまともに仕事をしていなかったこと」なのです。

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絶対におかしい“いきなり警察に通報”

阿部前監督の「事件」は、つぎのようなものです。

阿部家で、18歳と15歳の娘が喧嘩をしていたので、阿部前監督が仲裁に入った、そのときに18歳の長女が反抗したので若干の暴力をふるった。娘さんは手紙の中で「暴力に関しましては殴る蹴るといった事実はございませんでした。父とのこのような大がかりなけんかというのは初めてのことでした」と述べています。

そしてChatGPTに相談したところ、匿名で相談できる児童相談所というものがありますよというアドバイスがあれたので、電話をしてみたということです。娘さんは児童相談所に「どのようにすればいいか分からない」という相談をしたのに、児童相談所は娘さんの意向をくみ取ることなく、いきなり警察に通報したのです。

阿部前監督の娘さんにしても、警察に通報するために児童相談所に相談したわけではありません。警察に通報したかったら最初からそうしたはずです。そんなことは露ほども思っておらず、父親から怒られた悔しさをどこかにぶつけたいと思って児童相談所に相談したものと思われます。

児童相談所は自ら接触も訪問もせず、確認の調査をするわけでもなく、警察に通報しただけです。実質的に児童相談所は「なんの仕事もしていない」のです。7兆円もの予算を使い、「24時間相談を受け付けます」と銘打ちながら、自分たちは仕事らしい仕事は何もしていないのです。

「警察が逮捕するべきと判断したのだからそれなりの事情があったはず」と思う方もいるでしょう。が、その判断も早計です。

警察の方でも、親子喧嘩をしている本人から直接通報があれば、一旦、現場に向かったとしても、そんなに大げさにはしなかったはずです。そんなことで逮捕などしていれば、キリがありませんから。

しかし、児童相談所からの通報となれば話は別です。警察から見れば、児童相談所が「自らの手では解決できない」「刑事事件に相当する」と判断したから、警察に通報したと認識しています。最初から「重い先入観」を持っていたのです。

しかも、児童相談所からの案件となれば、もし警察が自分の判断で大目に見たりして後で問題が起これば警察の責任になってしまいます。だから警察としては、法を杓子定規に運用し、暴力があったかどうかだけを確認して、逮捕ということになったのです。

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今回の事件はこども家庭庁の無能さを象徴している

こども家庭庁の予算の約4割は、児童手当などの支給予算です。が、約6割は支給事業ではなく、こどものために役所が考えた事業を行なっているのです。

では一体どういう事業を行なっているのでしょうか?令和5年に閣議決定した「子供未来戦略」では、こども家庭庁の役割として次の5つの柱を掲げています。

  1. 「こどもまんなか社会」に向けた基本政策の推進
  2. 若年世代等が希望する将来設計を追求できる社会の構築
  3. 多様で質の高い育ちの環境の提供等
  4. 地域の多様な主体が連携したこども・若者支援システムの構築
  5. 人口動態・社会経済の変化を踏まえた持続的なこども政策の展

これを見ればわかる通り、あいまいで抽象的で「何がやりたいか何もわからない」のです。「出生率を何パーセント引き上げる」「希望すれば誰でも保育園に入れるようにする」「放課後の小学生の安全な居場所を確保する」など、具体的な目標は一つもないのです。

具体的な目標を掲げれば責任が生じますので、具体的な目標は掲げていない、つまりはこども家庭庁の事業について、その効力などには責任は一切取りません、ということなのです。

このあいまいで抽象的な事業に、4兆円もの巨額な予算をつぎ込んでいるわけです。そして事業のための様々な機関や部署をつくって、わけのわからないまま費消しているのです。

児童相談所の24時間受付体制も、このこども家庭庁の「子供未来戦略」の一環として始められたものです。しかし、その実態は「24時間いつでも通常の対応をする」のではなく、「職員の勤務時間外は警察に丸投げ」だったのです。

再度、確認しますね。

今回の事件は、「児童相談所がトラブルのあった家庭に関して、本来行うべき接触、調査などをまったく行わず、いきなり警察に通報したこと」が最大の原因です。

こども家庭庁のこの件について、国民に説明する義務があると思います。

また我々も、こども家庭庁を徹底的に追及するべきです。なぜ児童相談所は自ら何も対応することなくいきなり警察に通報したのか?ということを。

今回の事件は、こども家庭庁がいかに役立たずな存在であるかを象徴する出来事なのです。

(本記事はメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2026年6月1日配信号の一部抜粋です。「消費税1%でも減税する価値は十分にある」「カンボジア名誉領事の脱税」を含む全文はご登録の上ご覧ください。初月無料です)

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image by: Hotta Akahane, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

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