プロ野球・読売巨人軍の坂本勇人選手(36)が、2020~2022年までの3年で約2億4000万円の申告漏れを指摘され、約1億円の追徴課税となった件が注目を集めています。恐らく坂本選手は“税理士に丸投げ”していたのでしょうが、日本ではアスリートであっても最低限の税務知識が欠かせません。なにせ、わが国の確定申告は“わざと”難しくされているのですから…。本記事では、元国税調査官の大村大次郎さんが「税務利権の闇~なぜ確定申告は異常に難解なのか?」について詳しく解説します。(メルマガ『元国税調査官・大村大次郎の「本音で役に立つ税金情報“特別版”」』2025/4/1号より一部抜粋、再構成)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
“わざと”難しくされている日本の確定申告
確定申告を一度でも自分でやったことがある人ならわかると思いますが、日本の確定申告書というのは異常に難解になっています。
本来、税金の申告は、収入の金額を計算しそれに税率をかければ済むはずです。
しかしわが国の確定申告書では、同じ数字を何度も記入しなければならなかったり、合計だけを計算すれば済むものにいくつもの小計欄があったりします。
一箇所を間違えれば全部が違ってくるようになっていたり、似たような用語を違う意味で使っていたりして、まぎらわしいことこの上ないのです。
申告書づくりには、地雷原を進むような大変さがあります。
わざわざこんな難しくしないでも、もっと簡単な様式にすることは絶対にできるはず。多くの人がそう思ったことがあるでしょう。
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納税者にまったく無意味な計算を強要
さらに消費税申告となると、強烈に難解になります。たとえば消費税は、現在10%ですが、そのうちの2.2%は地方税に振り分けられる、ということになっています。
いったん国が10%を徴収し、それを地方に振り分けることになっているのですが、なぜか申告書の段階で、国税分と地方税分を別々に計算しなければならないのです。
本来は国税がいったん全部徴収し、そのうち2.2%を地方に振り分ければいいだけの話であり、納税者は10%で計算しそれを収めればいいのです。実際に、徴税のシステム的にはそういう手順になっています。
なのに、わざわざ各事業者の申告の段階で、国税分と地方税分を分けて計算しなくてはならないのです。まったく意味がわかりません。
これが法人税や相続税などになると、もっと絶望的に難しくなります。
なぜ確定申告書は、このように難解になっているのでしょうか?そこには、税務利権という大きな闇があるのです。(次ページに続く)
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