確定申告をややこしくして、国税OB税理士の仕事を増やす
現在の税法では、確定申告がいかに難しくても、無資格の“申告に詳しい人”に手伝ってもらったりはできないことになっています。
たとえば、フリーランサー初心者が、ベテランのフリーランサーに申告の方法を教えてもらうというようなことはできないルールです。また、身近に経理経験者がいたとしても、その人に教えてもらうこともできません。
というのも、税理士法という法律で、「税理士以外の人間が、申告の手伝いをしてはならない」ということになっているからです。
そして、この税理士という制度に、実は大きな利権が絡んでいるのです。
というのも、そもそも税理士という資格自体が、「国税職員の再就職のためにつくられたもの」だからです。
会計に関する資格には、「公認会計士」というものがあります。公認会計士も、会計業務や申告業務を代行する資格であり、業務内容は税理士とほとんど変わりません。
この公認会計士は大企業の監査なども行えるので、「公認会計士は大企業」「税理士は中小企業」という住み分けになっています。
ですが本来、会計や税務というのは、「公認会計士」が行なうものであり、二重に資格があるのはおかしな話です。実際、ほとんどの先進国では、会計士という資格しかありません。
税理士の起源は、戦前の「税務代理士」という資格に由来しています。
この「税務代理士」という資格は、戦時中の昭和17(1942)年につくられたもので、国税出身者しか取得することができませんでした。
が、戦後のGHQの民主化政策により、税務代理士に国税出身者しかなれないのはおかしいということになり、新たに昭和22(1947)年に税理士の制度が設けられました。
この税理士の新しい制度では、国税出身者のほかにも、一定の学歴があるもの(経理に関する修士課程など)や、税理士試験に受かったものがなることができるようになりました。
その結果、国税は、一般の人が税理士になるのを嫌い、税理士試験を非常に難易度の高いものにしたのですが、その高いハードルをクリアして、一般の人も税理士業に入ってくるようになったのです。(次ページに続く)