食を目的とした旅は、もはや当たり前の時代になりました。人びとは美味しいものを求め、どんなに遠くても足を運びます。そんな中、特別な観光資源がなくても全国から客が押し寄せる食堂があるのをご存知でしょうか。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者の佐藤きよあきさんが、和歌山県有田川町の食堂「赤玉」を例に、郷土料理と創作料理を掛け合わせて食の誘引力を高める、新しい町おこしの成功法則を解き明かしています。
町おこしの新成功法則!? “郷土料理×創作料理”。食を目的にした旅が当たり前の時代
人びとの食への執着は止まる所を知らず、どんなに遠い場所でも足を運び、美味しい料理を堪能して帰ります。
食べることが目的の旅は、もはやスタンダードであり、観光ついでではなくなっているのです。
和歌山県有田川町にある食堂「赤玉」もそんな旅の目的地として注目されています。
この地で昔から食べられている郷土料理「わさび寿司」を目当てにやって来る人が増えているのです。
わさび寿司の発祥は、山に自生していたわさびの葉を塩漬けにし、酢飯とシメ鯖や鮎の甘露煮などを包んだ郷土料理です。
これを観光客向けに提供しているのが、「赤玉」食堂なのです。
眠れる観光資源「郷土料理」を発掘
旅行者は、地元の珍しい料理を求めています。
知らないものがあると即座に反応し、その感想をSNSで広めてくれます。
わさび寿司の販売を始めたのは、現店主の父である二代目なのですが、郷土料理が観光客にウケることを見抜いていたのです。
その土地ならではの食べ物は、どこであろうと必ず存在します。
当たり前に存在しているため、それが観光資源になり得ることに、多くの人が気づいていないのです。
そんな宝を発掘したのが、「赤玉」の二代目なのです。
やがてテレビなどに取り上げられるようになり、全国からお客さまがやって来るようになりました。
お店の前は大行列。道路も大渋滞。
郷土料理に創作麺をプラスする
大繁盛となったのですが、そこに胡座をかくことはありませんでした。
わさび寿司だけでは、遠くから来てくれるお客さまを満足させられるかどうかわかりません。
そこで、さらなる田舎らしさを感じてもらえるメニューも用意しました。
この地は、ぶどう山椒の産地として知られているので、山椒を使った麺類を開発しました。
ご飯ものに合うのは麺類です。
セットで食べれば、大きな満足感が得られます。
山椒の粉を麺に練り込んだ和風出汁の「香椒麺(こうしょうめん)」。
仕上げに山椒を振り掛ける「山椒和歌山ラーメン」と「山椒そば」。
これらをわさび寿司3個と組み合わせた「わさび寿司定食」をいち推しメニューとしています。
わさび寿司と選べる麺類、山菜などの田舎料理の盛り合わせがついています。
わさび寿司も「鯖」「鮎」「うなぎ」「スモークサーモン」「山葵」などがあり、季節によって変わります。
その他、「あまご造り定食」や「天然鮎塩焼定食」、「鴨肉小鍋定食」など、観光客には魅力的なメニューも揃えています。
美味しさは、それだけで人を集める
このお店だけを目当てにやって来る人も多くいます。
珍しく美味しいものには、それだけで人を惹きつける魅力があるということです。
特に観光資源がなくても、美味しい料理があれば、人びとは集まって来るのです。
このお店は、昔からある郷土料理に、山椒を使った創作麺類をプラスして、食の誘引力を高めたのです。
素晴らしいアイデアです。