営業活動において、お客様が商品やサービスを検討し始めた本当の理由を把握することは、的確な提案につながる重要なポイントですメルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』の著者であり、経営コンサルタントで関東学園大学で教鞭も執る菊原さんが、検討の原点を引き出すヒアリングの方法と、深い信頼関係の構築や購買意欲の向上につなげるためのポイントを解説します。
「検討のきっかけ」を呼び起こすことで深い信頼を得る
お客様にヒアリングをする。
その中で「なぜご商品、サービスを検討しようと思ったのか」ということは聞いておきたいもの。
これが分かれば、提案する方法が見えてくる。
しかし、簡単ではない。
いろいろ工夫はするが、求める答えは返ってこない。
「う~ん、なんとなくですね」
「まあ、時期的にそろそろかなと思って……」
などなど。
これではほとんど役に立たない。
お客様自身がきっかけをスラスラ話せるケースは滅多にない。
私の経験上、10人中、1人か2人くらいしかいない。
多くのお客様は、その出来事をすっかり忘れてしまっている。
あるいは無意識のうちに行動している。
だから聞かれても答えられない。
しかし、この「原点の感情や出来事」をしっかりヒアリングできるかどうかは非常に重要だ。
これが、その後の提案を成功させるための「最高の好材料」となる。
これがうまく聞き出せるようになると、営業活動は一気に楽になる。
単なる「売り手」から「一生の相談相手」へと立場が変わる。ぜひ知っておいてほしい。
営業スタッフ時代のこと。
お客様の本音や動機を知りたいと思い、「なぜ今、家づくりを考え始めたのですか?」と質問をしていた。
しかし、返ってくるのは表面的な理由ばかり。
「そろそろかな、と思って」
「アパート代ももったいないですしね」
「子供部屋も必要になっていまして」
などなど。
もちろん本当のことだろう。
ただ聞いていて「本当にそれだけなのだろうか」と感じていた。
「何かもっとあるのでは」と疑問に思いつつも、それ以上深掘りできない。
そのまま商談に入る。
結局は競合他社に埋もれてしまうことが多かった。
人の記憶というのは曖昧なものだ。
ふとした不満や何かの出来事がきっかけで動き出したはず。
それなのに、時間が経つと頭の奥底に埋もれてしまう。
だからこそ「検討のきっかけは?」という質問だけでは、思い出せないことが多い。
では、その記憶をどうやって引き出すか。
解決策の一つは「他のお客様の事例」を提示すること。
たとえば、賃貸に住んでいるお客様なら「私の担当のお客様が『家賃の更新手続きの金額を見て急に嫌になった』と言っていました。いかがでしょうか?」と問いかける。
もしくは「先日、引き渡ししたお客様が『きっかけはお友達が家を建てたから』と言っていました。そう感じた経験はありますか?」
このように、過去の事例をいくつか具体的に伝えてみる。
するとお客様が「そうそう、実は……」といろいろ思い出すことがある。
30代のご夫婦と話をしていた時のこと。
先ほどの質問をすると「隣の方が引っ越すことになって、最初は転勤かと思ったんです。そしたら新築を建てて引っ越したと知って『えっ、あの人が家を建てたの?』と驚いたんですよ」と話してくれた。
自分より考えてなさそうな人に先を越される。
これはいいきっけかになるものだ。
人の記憶はあいまい。
何かきっかけを聞いて「そうそう、こんなことがあったんだ」と思い出すもの。
「過去のお客様事例」という具体的なエピソードを投げかける。
一つの質問が呼び水となり、頭の奥底に眠っていた動機が引き出される。
これはぜひマスターして頂きたい。
この「事例を使って記憶を引き出すアプローチ」にはメリットが3つある。
一つ目は「きっかけを思い出させてくれた」と感謝されるということ。
忘れかけていた本当の動機を思い出させてくれた営業スタッフ。
人はそういう相手に、無意識のうちに好意を抱く。
これは経験がある。
この記事の著者・菊原智明さんのメルマガ
独立してしばらく経った時のこと。
ある人から「どうしてコンサルタントになったのですか?」と質問されたことがあった。
そのとき、ちょうど壁にぶつかっていた。
この質問によって「そうか、大切なことを忘れていたな」と思い出した。
気づかせてくれたことに対して、感謝の気持ちでいっぱいになった。
二つ目は「確固たる信頼を得られる」ということ。
世の中の多くの営業スタッフは
「予算はいくらですか?」
「リビング、キッチンの広さは?」
と表面的な条件ばかり聞く。
そんな中、あなただけが個人のストーリーや感情に耳を傾ける。
「自分の人生に真剣に向き合ってくれている」という確固たる信頼につながる。
三つ目は「欲求の再燃」だ。
多くのお客様は「何のために検討しているのか」を見失いがちになる。
・実際に検討してみたら思っていたのと違う
・条件の比較に疲れた
・予算が厳しい
・なんか面倒くさくなってきた
などなど。
検討していること自体に疲れて、モチベーションが下がってしまう。
そこで原点の感情を思い出させる。
「あのとき感じた感情」を再認識したお客様は、一気に気持ちが盛り上がるものだ。
営業の役割は、お客様自身も気づいていない「本当のニーズ」を掘り起こすこと。
そして一緒に、理想の未来をつくり上げていくことである。
まず、過去のお客様のことを思い出し「どんなきっかけで検討を始めたか」についていくつか書き出してみる。実際に聞いてみるのもいいだろう。
そして、お客様に「たとえば~ということはありましたか?」と投げかけてみる。
その一言が呼び水となり、「お客様の購買へのモチベーション」を上げることになる。
これができるようになれば、お客様にとってあなたは「ただの営業スタッフ」ではない。
特別な存在へと変わる。こうなれば、結果は自ずとついてくるものだ。
【本日のポイント】
・「検討のきっかけ」は具体事例を提示して記憶を引き出す
・原点の感情を思い出させることで、特別な存在となる
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この記事の著者・菊原智明さんのメルマガ
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