アップルの折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」が好調なスタートを切り、折りたたみスマホ市場への注目が高まっています。その一方で、長年にわたり市場を開拓してきたサムスン電子も、新製品の投入やメディアへの端末貸与を通じて存在感を高めてきました。『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者でスマホ/ケータイジャーナリストの石川温さんが、Galaxy Z Fold 8の戦略や実際の使用感を振り返りながら、iPhone Duoの登場が折りたたみスマホ市場にもたらす影響と、メーカー各社が今後直面する課題について考察します。
iPhone Duo発売で注目集まる「折りたたみスマホ市場」――サムスン電子の「Galaxy Z Fold 8」バラマキ貸与は効果があったのか
2026年10月16日の予約開始時にはわずか20分弱で発売日分が売り切れるなど、好調なスタートを切ったiPhone Duo。23日の店頭や予約状況を見ている限り、かなりの品薄であり、2027年1月末までは、このような状況が続くことになりそうだ。
アップルは当初、1000万台程度だった生産台数を1400万台程度に上方修正し、部材メーカーに発注をかけたという報道もあり、いよいよ折りたたみスマホ市場が広がりつつある予兆が見えてきた。
今回、アップルがiPhone Duoを投入したことで、世間から注目を浴びた折りたたみスマホではあるが、これまで8世代に渡って折りたたみスマホを作ってきたサムスン電子がアップルの影でしたたかに立ち回っていたのが、とても印象的であった。
主演はもちろんアップルではあるが、サムスン電子には助演賞を与えたいほどだ。
サムスン電子はおそらく、アップルが折りたたみiPhone、しかもパスポートサイズで投入するという情報をどこかのタイミングでキャッチしたのだろう。
そこでGalaxy Z Fold 8の開発を急ぎ、9月のアップル発表に先回りする形で8月にロンドンで発表した。
日本のサムスン電子は9月に向けて、アップルだけを取材している数多くのメディアやインフルエンサーのほとんどにGalaxy Z Fold 8を貸与し、iPhone Duoと比較してもらえるように仕向けていた。
その甲斐もあって、Galaxy Z Fold 8のメディアなどの露出や言及がかなり増えたように思える。
筆者もGalaxy Z Fold 8が発表された8月の段階で「9月にアップルが折りたたみを出してくるだろうから、サムスン電子が長期の貸し出しをしてきそうだな」と頭をよぎったが、端末を借りたところでなかなか本気で使おうという気にはならない。
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もともと、サムスン電子のGalaxy Z Foldシリーズは初代から購入し、使っていたこともあり、Galaxy Z Fold 8も自腹で購入して、この2か月、使い続けてきた。
結果としては「iPhone Duoより薄くて軽い」「2つのアプリも使い勝手は上々」「ただ、ペン入力やフレックスモードがないのは残念」という記事になり、改めて8世代に渡る知見、技術力の蓄積を思い知らされたのであった。
iPhone Duoが登場したことで、Galaxy Z Fold 8や折りたたみのAndroidにも注目が集まったことは間違いない。
これまでグーグルやモトローラ、OPPOなどが折りたたみに参入しているが、サムスン電子は当初から「折りたたみ市場を作ろう」と孤軍奮闘していた感がある。
2年前は行き詰まっていたように見えたが、昨年の薄型化を実現したGalaxy Z Fold 7で息を吹き返した。
今年、iPhone Duoという強力なライバルが登場したことで、2社の戦いが俄然、面白くなってきた。
まさにiPhone Duoの登場は結果的にはスマホ業界にとっては良かったのではないだろうか。
ただ、メーカーとしてみれば、部材コストが高く、製造も難しく、手離れも悪いなど、リスクの多い折りたたみにこれからも、どれだけ注力するかは悩ましいはずだ。
どう考えても、将来的に折りたたみがメインストリームになることは考えづらい。メーカーとしてミドルクラスあたりで台数と収益を稼ぎつつ、折りたたみは「最先端のブランドイメージを醸成しつつ、いかに赤字を出さずに投入し続けるか」という課題に向き合いながら他社との競争をやりつづけることになりそうだ。
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image by: RYO Alexandre / Shutterstock.com