自分は普通に育ててきたつもりだったけど、保育園の先生から「しつけが厳しすぎるのでは?」と言われたら、どんな親でも不安になってしまいますね。家庭教育アドバイザーの柳川由紀さんがメルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』で、3つの心がけを紹介して、お悩みに答えています。
保育園の先生から「しつけが厳しすぎるのでは?」と言われた
私は、息子の気持ちを聞きながら割と甘やかしてきたと思っていましたので驚きました。
例えば、毎日のお手伝い(洗濯物たたみ)を例に挙げると、親としては毎日続けてほしいけれどやりたくないときもあるでしょうから、そんなときは「一緒にやろうか」と声を掛けます。厳しいとは思いません。
食事の面でも残さず食べて欲しいけど、無理なときもあるので許すこともしています。これについても厳しいとは思っていません。
どういうしつけをすればいいでしょう?」
(藤沢市在住 N・Mさん(40代) 5歳年中児のお母様)
家庭教育アドバイザー 柳川由紀さんの回答
幼稚園児がお手伝いをするのはとてもいいことです。お手伝いを毎日きちんとさせている家庭は今どき、少ないものですから。
Nさんの声かけも心がこもっていると思います。
お子様は、失敗を極度に恐れるというよりも、「慎重に物事を考えて取り組める子ども」なのです。大人の顔色を見るというよりも、先が読める頭を持っているため、先のことを考えているのかもしれません。
ではどうすればいいのか? 以下について心がけてみてください。
1.先生の心配のポイントをクリアする
先生の立場では、「子どもらしさを存分に出してほしい」のです。その個性を伸ばすことが先生の醍醐味ですから。
そのためには、子どものあるがままを認めてあげることです。
手伝ってくれたらもちろん「ありがとう」と笑顔で感謝を伝えお手伝いを忘れたらそれでよしとして、「一緒にやろう」ではなく、「いつもありがとう、ママ助かるわ」と、ここでも子どものいつもの行動を認め、感謝を伝えましょう。余計なことは言いません。
子どもが「ママが喜んでいる」と感じてくれればいいのです。人は、感謝されるとやる気が出るからです。
2.子どもが自分自身を好きになる
「自分を好き」という子どもは、そうでない子どもよりも「自己肯定感」が高い傾向があります。自分を信じることができるので、行動や考えにも自信がつき、まわりを気にせず、積極的に自分を出せるようになるのです。
そのためには、子どものよさを見つけ、言葉で伝えること、子どもの能力を肯定することです。
洗濯物を上手にたためたら、その丁寧さを認めたり、食事を完食したら、その食べっぷりを認めます。
子どもの小さくても「良いところ」をたくさん認めることで、子どもが自分を信じることや、前向きに行動することへ繋がります。
3.幼児期は安心感を育てる時期
親、とりわけお母さんには、思ったことを素直に話しても大丈夫、叱られたり頭ごなしに否定されたりしない、という安心感が胸にあれば、「きっと友だちにも受け入れてもらえる」と、自分を信じて、人の輪に入っていけます。
こうした親の態度は、その後、子どもが大きく成長していく過程でとても大切です。親が子どもに「どうしたの?」「なあに?」「いいわよ」と笑顔で心を込めて言っていれば、子どもは「自分のことも親のことも大好き」という素晴らしい人間に育ちます。
家庭教育アドバイス・・・「大丈夫」というおまじない
『「大丈夫」。この漢字には「大」「丈」「夫」それぞれに「人」という文字が入っています。大丈夫よ、と言ってくれた人のほかに、あと2人もあなたを支えてくれる人がいるんですよ』
私の子どもたちが幼稚園児だったころ、園長先生がわれわれ親たちにおっしゃってくださった言葉です。
子育てに迷い悩んでいる親、友だちとうまくいかない子ども、誰でもきっと、何かに悩んだとき、何かにぶつかったとき、周りにいる人がきっと「大丈夫」と支えてくれる。そう思うだけでとても心が落ち着いて安心したのを覚えています。
それ以来、子どもたちにも「大丈夫よ」と確信がなくても言うようになりました。すると不思議なことに、本当に大丈夫なのです。わが家にとってのおまじないの言葉です。
親が子どもにかける言葉は、子どもにとってとても大きな意味を持ちます。
だからこそ、笑顔で「大丈夫」と伝えましょう。子どもは安心します。
支えてくれる友人、家族がいないと思うのなら、まずは自分が相手に「大丈夫」と声を掛け、支えてあげましょう。きっとうまくいきます。「大丈夫ですよ」。
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家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き、毎週月曜、木曜の二回に亘って配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。
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