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中古車販売店vsヤフオク。消費税10%で個人売買が有利になるのか?

2017年4月に予定されている消費税率の引き上げ。さまざまな業界への打撃が囁かれていますが、中でも「個人売買ならば消費税がかからない」というハンデを抱えた中古車市場への影響が心配されています。中古車屋は生き残れるのでしょうか。そんな読者からの質問に、かつてリクルートのカーセンサーに身を置いていた人気コンサルの永江一石さんがご自身のメルマガで答えてくださっています。

Question

中古車の個人間売買のサービスは日本で躍進するか

中古車の個人間売買をサポートするサービスがいよいよ本格化

消費税率が引き上げされる中、消費税がかからない国内中古車の個人間売買は、今後は欧米のように中古車個人間売買が主流になる可能性はありますでしょうか?

また、昨年より以下、中古車個人間売買サイトが登場してきましたが、最終的にどのようなサービスや価値を提供すれば生き残ることやWebサイトとして差別化することができるでしょうか? 永江さんの考え、意見を教えてください。

これはわたしの専門分野です。リクルートのカーセンサー出身のうえ、自動車の中古車販売の会社から出資も受けてました。業界は詳しいですよ。このことはもう30年くらい前から「どうなるんだ」と言われています。

参考にされているのはドイツで消費税は19%です。中古車の流通はドイツではほとんどが消費税がかからない個人間売買です。アメリカの消費税は州によって異なり、だいたい8%くらいですが、個人間売買が浸透しており、窓に「For Sale」の張り紙を貼った車を多く見かけます。オーストラリア(10%)も観光に行くと同等です。中古車屋はほとんどないです。

で、日本もこれから消費税が上がると個人間売買が盛んになり、中古車屋さんが壊滅すると言われているわけですが、実際にはかなり昔から個人間売買が行われていました。市場をほぼ占有しているのがヤフオク! です。わたしも原チャリと小型のスクーターを買ったことがあります。ただ、ヤフオク! で流通している中古車の大半は格安の車両です。下取りにだしたら価格がつかないようなものでも10~20万で売れるので、業者も積極的に入札しているようです。

こうしたニーズの高まりに、ガリバーなどの大手も参入しているわけですが、日本には他国と違って新車購入のパターンがあるので事情が少し異なります。まず市場の中古車の多くは新車購入の下取りです。下取りは車検の切れる時期に多く発生します。新車購入3年目、5年目ですね。売り手から見ると新車購入の値引きとして下取りの上乗せがあるため、人気車は買い取りに出るケースが多いんですが、不人気車種や詳しくない人は下取りに出してしまいます。そのほうが安心ということもありますね。

また、ドイツやアメリカのユーザーは自分でけっこう車のメンテもしますが、日本のユーザーはほとんどディーラーや整備工場任せです。凹みや不調も非常に気にします。片方のミラーが取れたままでも平気とかの人はほとんどいません。よって買い手から見ると、友人ならまだしも、知らない個人から買うのは非常に抵抗があるわけです。多少高くてもディーラー系なら安心という人も多いですよね。150万の車でも消費税は上がっても10%ですから15万。15万位なら知らない人から買うリスクより安心という人も多いのではないでしょうか。実際、アメリカの中古車屋さんとかは「怪しい職業」のトップで、日本のイメージとはだいぶん違います。トランスフォーマーのまんまですね。

よって現在の段階では、壊れてもともとの格安の車両や、逆にめちゃ高価な車で詳しい人が買う以外は、まだまだ浸透しないと思います。理由の大半は日本人ならではの潔癖さと不安症からと言えるかもしれないです。世界でもこれだけピカピカの車ばかりが走っているのは日本だけですからね。個人間売買のほうが本当に得になるには、消費税が15%くらいにならないとダメなのではないでしょうか。

image by: Shutterstock

 

永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ
著者:永江 一石
商品開発や集客プロモーションを手がける会社を設立し多くの企業のマーケテイングを行う。メルマガでは読者から寄せられたマーケティングのお悩みに対し具体的な解決策を提示。ネットショップや広報担当を中心に多くの購読者から支持されている。
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