入った会社が理想とは違った……そんな理由で、入社早々に離職してしまう採用者が、最近増えているのだとか。採用者の定着率を向上させるために、メルマガ『「欲しい人材がザクザク採れる!」採用成功術』では、会社を“ありのまま”みせることを推奨しています。
入社後の「リアリティショック」とは
「リアリティショック」という言葉があります。
それは、「理想とは異なる現実に直面し、自分が抱いていたイメージとのギャップに強いショックを受けること」です。
例えば、結婚。どんなに長く付き合っていても、一緒に暮らすようになると、なにかしらの「リアリティショック」を受けた人が多いのではないでしょうか(みなさんは、そうでもないですか?)。
これは採用においても同じことが言えます。
それについて、入社して1ヶ月が経った新入社員を対象に行なったあるアンケートがあります(少々、昔のですが)。
↓ご参考
このアンケートによると、リアリティショックを感じたひとは6割超、そしてその影響については、
●「焦りを感じる」36.0%
●「会社に行きたくないと思うことがある」35.5%
●「将来が不安で仕方ない」29.9%
●「仕事をやめたいと思うことがある」27.9%
という結果になっています。つまり、リアリティショックが早期離職のきっかけになりかねないということです。
では、どうすべきか?
リアリティショックを感じないように、選考時においてすべてを理解してもらうことは、現実的にはおそらく無理でしょう。
ただ、その原因がそもそもの採用姿勢にあるのであれば、それは変えていくべきです。
どこまで意識的にやっているかは別として、一般的には下記のような姿勢で採用をおこなっている会社が多いのではないでしょうか。
1.会社を「良く見えるよう」に見せる
↓
2.多くの応募者を集める
↓
3.多く集まった応募者の中から良い人を選ぶ
これでは、会社が「良く見えて」入社してくるのは当然と言えます(応募者を多く集めたいという気持ちは、本当によくわかります。私もそうでした)。ここを変えるのです。
会社を「良く見えるよう」にするのではなく「ありのまま」に見せるようにするのです。
では実際に、仕事や会社の悪いところもふくめた「ありのまま」を見せたら、入社後の定着はどう変わるか?
それに関して、ある実験結果があります。
ある会社で、それまでは良いことばかりを伝えて募集をしていたところを、悪いこともあわせて伝えて、その後の定着率を測定したのです。その結果、
●A社では定着率50%→62%
●B社では定着率53%→68%
に、それぞれ上昇したそうです。
では、具体的にはどうするか?
一番良いのは、現場を経験してもらうことです。新卒採用では定番になりつつありますが、インターンシップなどがその良い例です(インターンシップにも問題や課題はありますが、それはまた別の機会にお話します)。
また、現場や配属部署のメンバーに面接に参加してもらうというのも良いでしょう。
同じことを採用担当者が話すのと、実際のメンバーに話してもらうのではリアルさが違います。あわせて、お互いの相性を探ることもできます。
ただ、ここで1点注意が必要です。
面接になれていない社員の場合、リアルに話すように言うと、厳しいところ、大変なところばかりを一生懸命に話してしまうことがあります。
「ありのまま」伝えるとは、悪いところばかりを伝えることではありません。良いところも悪いところも、実際の状況をリアルに伝えるということです。
その点をしっかり伝え、場合によってはこちらからフォローをするようにしましょう。
採用を今一度見直して、入社後の定着もしっかりと行なっていきたいですね。
※今回お話した方法はデメリットもあります。それは「応募数が減る(可能性がある)」ことです。そもそもの応募数が少ない会社や職種では、やり方に工夫が必要です。
仕事や会社のメリットでモチベーションをしっかりとあげてから伝えるとか、選考の最初の段階ですべてを伝えるのではなく選考の段階ごとに少しづつ伝えるとか、です。
ただ、いずれにしろ「こんなはずじゃなかった……」と応募者に思われないようにしたいですね。
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