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日本に伝わってこない、ミャンマー国民のスーチー氏に対する「本心」

迫害されているとされるミャンマーの少数民族ロヒンギャの問題について「沈黙したまま」と、スーチー氏を批判する声が聞かれます。当事者・ロヒンギャの人々や国民は彼女に対してどのような感情を抱いているのでしょうか。メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』で明らかにされています。

スーチー女史に対する国民の本当の声

11月の選挙で、何故、日本のマスコミは、ミャンマーの国民の本当の声が判らなかったのか? それは、以下の理由である。

まず、根本的に、日本の政府をはじめ、今までミャンマーに入れ込んでいた人々は、軍政からの流れの人脈に偏っていたのだ。これは、民主党政権時も、自民党政権時も同じなのである。

即ち、アメリカ・ヨーロッパは、国民の本当の声は、民主化であると読み取り、経済制裁をかけ、軍政に圧力をかけ、タンシュエ政権を退かせている。しかし、タンシュエ側や軍政側の人々は、自分の側近には、アウンサンスーチー女史が政権を取るのでできるだけ時間稼ぎをしろと指示をし、ミャンマー人の本当の意味での友人がいない日本人たちは、だまされてしまっていたのだ。

というのは、私も2012年の2月から軍の関連のトップの人々と意見交換をしたのだが、他の人々の前では彼らも表向きしか言わないものの、自分の人気は2015年の総選挙までだから、2015年の11月までならいろいろ融通を効かせられる、というのである。国民の真意は、民主化までの道筋をテインセイン政権がつけてくれるので文句は言わないが、国民は、アウンサンスーチー女史政権が誕生して、今よりも悪くなることは無いということなのである。

国民は、1990年の、軍が無理やり選挙の結果を無視したことを覚えている。1988年の民主化運動に際して、時の人であった学生が殺されたことを覚えている。ネ・ウイン時代に、ネ・ウイン一家が婦女暴行をはたらいていたことを今でも覚えている。タンシュエたちが蓄財したのを今でも覚えている。タンシュエが、アウンサンスーチー女史をとっても恐れているのを、覚えているのである。

沈黙を続ける「ロヒンギャ問題」について

正式な選挙結果が出たのか出てないのか判らない情勢なのだが、国民は、NLDが確実に過半数の議席を取り、政権交代に向かっているのをよく認識している。そして、少数民族地域でのNLDの圧勝が、沈黙を続ける「ロヒンギャ問題」についてということの疑問についての答えなのである。

ロヒンギャの問題について、沈黙をしているアウンサンスーチーというのは、ミャンマー国外のイスラム教徒からのメッセージで、ロカイン州(ロヒンギャが多数派である州)のロヒンギャたちは、アウンサンスーチーのファンである。なぜか。

元々、国際的に取り上げられた、宗教問題というのは、間違いなのである。2012年当時、国連視察団の団長が、間違って、これは宗教問題と発表してしまい、問題が宗教になってしまったのだ。この問題が取り上げられたのが8月であるが、その前の5月に、ロカイン州で少女がレイプされた上、殺害されたというニュースがまず流れた。そして、その少女の家族・友人が仕返しをしたというニュースが流れ、そのまた仕返しという風にどんどん事態が悪化していった。最終的には、軍が出て、制圧をし、その地域のロヒンギャ達を別の場所に移動させ、避難させた。2013年の初めにロカイン州に行った私は、避難させられ、空き家になっている地域と、数百メートルおきに銃を持った兵士が待機しているのを見ることができた。

ロヒンギャで製塩業を営む若者と仲良くなり、彼の友達のロヒンギャの人々も紹介され、彼らがアウンサン将軍とアウンサンスーチーをどれだけ尊敬しているか、アウンサンスーチー政権が誕生すれば、今の政権よりも数倍国が豊かになり、少数民族問題沈静化すると言うのである。少数民族問題の発端は、全て、掘り起こされた貴金属類に対して、地元の少数民族に対して何の配分もなく、それに怒った少数民族が、銃や武器を集めて戦いだしたのだという。それに対してアウンサン将軍は、ビルマ国民だけではなく、100以上ある他の民族に対しても、壮大な理想的な国を建国しようと、イギリス植民地からの独立を誘ってくれたことに対する恩を感じているのだ。

image by: 360b / Shutterstock.com

 

房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』より一部抜粋

著者/房広治
世界の金融市場・投資業界で活躍する日本人投資家、房広治による、ブログには書けないお金儲けの話や資本市場に通用するビジネスマン・社長のあるべき姿などを、余すことなく書きます。
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