競合他社が伸びると、すぐにそのエッセンスを取り入れ伸ばし、差別化で会社に付加価値を持たせようとする社長さんがいます。しかし、戦略コンサルタントの中久保浩平さんは、メルマガ『ビジネス真実践』の中で、その方法は間違っていると一刀両断。その上で正しい差別化へのアプローチを提示しています。
捨ててこそ差別化
これまでに色々な業界の経営者やお店の店長さんのご相談を受けてきたなかで、商品やサービスに付加価値をつけて差別化を図ろうとするものが多かったです。
しかも、競合他社が新しいことを始めたら「うちでもやんなくちゃ」的な感じではじめてしまい失敗するケース。
あるいは、他社の強みを見て、「うちも負けていられない」ってことになり、その強みに追いつけ追い越そうとして自社の強みにさらに付加価値を乗っけて差別化です、といい失敗するパターン。
差別化をするために付加価値をつけようとしたところで、結局は、二番煎じで終わるだけです。
世界で一番高い山はエベレスト。
日本で一番高い山は富士山。
では、二番目に高い山は?
スッと答えが出てきません。それと同じようなことなのです。他社の強みやライバルの取り組みを見て、付加価値をつけ、差別化を図ろうとしても結局、お客様や市場からは覚えてもらえない存在。そんなものを差別化とは言いません。お客様や市場に覚えてもらえないのなら、むしろ無駄です。
では、付加価値とか差別化ってなんなのでしょう?
それは、一言でいうと「捨てる」ことです。
何を捨てるかというと、第一に競合他社の強みや成功事例です。競合他社の強みや成功事例を捨てない限り、独自性のポジションを築くことは出来ません。さっき言ったようにあくまで二番煎じであり、それを超えることは出来ないからです。
全国に803店舗を構える子供服の西松屋。この西松屋が捨てたものといえば「集客」です。いつ行ってもガラガラの店舗。にも関わらず、サービス産業生産協議会によると衣料品専門店での顧客満足度1位(2011年度)です。
200坪以上の広い店舗に接客は2人。それなのに顧客満足度1位で、儲かり続けています。
繁盛店というと、お客さんがわんさかいて、活気があって…というイメージですが、それだけが、繁盛店ということではないのです。西松屋は、お客様を集めるのではなく、快適にショッピングをしていただくことに徹底していきました。
ベビーカーを押してくるお客様のことを考え、ワゴン販売やマネキンも置かずに通路は広い。路面店も大きな国道沿いとかではなく、1歩路地に入ったところに店舗を構えています。これは、駐車場の出入りのしやすさを考えてのこと。こうしたきめ細かな工夫が無駄を省き、集客をしなくても繁盛している秘訣なのです。
また、280円均一で知られる焼き鳥チェーンの鳥貴族。鳥貴族では、好立地を捨てています。駅前でもビルの2階や3階以上、あるいは地下に店舗を構えています。
こうやって見てみると、大きく成功している企業や店舗は、必ずといっていいほど何かを捨てています。捨てることによって、独自性という新たな価値を生み出し、ポジションを築いています。それが結果的に差別化に繋がっているのです。
差別化は、付加価値を付け加えたり、競合他社の成功事例から学ぶものではありません。まずは、それらを捨てることです。そのうえで、さらに、御社にある「何か」を捨てることです。
■今日のまとめ
『捨てることができなければ差別化はできない』
・自社で捨てなければならないものは?列挙してみる。
・上記で列挙したものを捨てることによって、生み出されるものは何か?どんなことか?を考えノートに書き出す。
・書き出したものを軸に戦略、施策を講じてみる。
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