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2016年在韓米軍撤退、そして日本はどうなる? 高城剛独占インタビュー第2弾

第1弾に引き続き、高城剛ロングインタビュー第2弾をお届け。今回のキワードは2016年のアメリカ大統領選。そこから世界は急激に変わり、日本、韓国からの米軍撤退、そして憲法改正、北朝鮮との行く末まで、これから先の未来へ具体的に迫っていきます。

2018年以降日本は北朝鮮との緊張が極度に高まる

―政治や経済について2015年以降はどうなると感じていますか?

政治も経済もアメリカ次第だとずっと思っています。戦後の日本を見てもそうですけど、アメリカのご指導のもとにずっとやってきて、未だにアメリカの影響というか意向を全部聞いていますよね。あまり表面化していませんが、事実です。また、政治家が変わってもブレーンすなわち官僚が一緒ですから、変わらないですよね。ということはアメリカが変わらない限り、日本は変わらないんですよ。

アメリカは、オバマが中間選挙で負けてどうのこうのっていいますけど、むしろ逆で、オバマは残り2年でやりたい放題やろうと思っていると感じます。移民政策やキューバとの急速な関係改善などを見てもね。次は2016年に大統領選がありますが、これは共和党が大統領になれる最後のチャンスなんです。それ以降は二度と共和党からは大統領は出ない可能性が高い。なぜなら移民が増えているからで、その移民のほとんどは民主党に入れるわけです。オバマは、中間選挙で負けたあと、違法移民も不法滞在者も全部グリーンカードを出して国民にするって発表しました。まず、早々に不法移民500万人をアメリカ人にするんですよ。そうするとその人達は全部民主党に投票するじゃないですか。なにしろ、不法滞在者だったのに、アメリカ市民にしてもらったんだから。だから民主主義のルールで言えば、次の大統領選は共和党から大統領が選出される可能性がある最後の選挙になると思います。よっぽどのことがない限りね。もうすでにアメリカ人の10人にひとりは、英語が苦手な人なんです。アメリカは、大きくかわりつつあります。

そんななか日本、特に自民党の一部の人達というのは、共和党の旧勢力と近いわけですよね。今、手を握ってしまったら、その次の日本は手を握る相手がいなくなることになります。政治も経済も。ウォール街は両党に足掛けしていますけど、実際は民主党に非常に近い立場です。共和党は言うまでもなく、ネオコンとともにある軍産複合体がいまだ強いですよね。公共事業としての戦争。なにしろ、21世紀のはじめの十年で、米国は300兆円も予算を新規に増やし、ミリタリーバブルが起きました。基本的に日本もこの方向に進むと思います。かつてのようなゼネコンからの集金はもう期待できませんから。

―では、2014年の選挙で自民党が勝利したということは、最後の共和党と組んでしまったっていうことですか。

というより、米国同様日本という国も資本家のものになりつつある、という認識のほうが正しいと思います。たしかに安倍政権は、歴史的に見ても行動から見ても、共和党と行動を共にしていますので、次に共和党が政権を取って一時的に安定したとしても、その後日本はひどい状態になるでしょう。オバマが安倍首相と合わない理由は、共和党のネオコンや軍産複合体と行動を共にしているからです。米国の公共事業としての戦争を、日本もどこかで行うことになると思います。改憲がどうのこうではなく、お金の動きを追うとわかると思いますよ。本当は、絶対に戦争はしませんけど、お金を日米軍事産業に流してゼネコンに変わる利権を自民党はあらたに確保します、と言えばいいんでしょうけど、そんなこと言えませんからね。そして、気がつくと戦争するはずじゃなかったのに、戦争させられてしまうことになると思います。

>>次ページ 2016年在韓米軍撤退が日本に与える影響

アメリカでは昨年12月に大きな動きがあって、凍結されていた沖縄の海兵隊のグアム移転の案件がアメリカの議会を通りました。まず沖縄の4分の1以上の海兵隊が移転し、今後も段階的にいなくなってしまうわけですよね。そのうち、全部のアメリカ軍がいなくなる可能性が高い。なにしろアメリカには維持する予算がなく、なにより、兵器テクノロジーの進化と隣国の軍備増強に伴い、米軍人とその家族である米国市民を念のため避難させる意味合いが強いんです。

同じように2016年には韓国から米軍が全面撤退することになっています。実際は陸上兵陸部隊の撤退ですが、大きいのは、韓国は今でも基本的には北朝鮮と戦時下にあるんですが、韓国が北朝鮮に攻めるぞって決める、いわゆる有事指揮権を保有するのは、実は在韓米軍なんです。韓国政府にはその権限はない。その有事指揮権を韓国に戻すわけで、この変化は大きいでしょうね。一応延長しましたが、どこかで戻すのは確実です。そうなると、有事の際に米国は議会を通す必要が生まれますので、時間がかかります。ですので、その際に即座に助けに動くのは、集団的自衛権を持った日本しかいません。そのための日本の集団的自衛権でもあるし、日本の準備が整っていないから、米国が韓国に有事指揮権を戻すのを延長したとも思えます。北朝鮮が日本に1000発のミサイルを撃つ可能性もある。だからアメリカの代わりにまず日本が動くため、集団的自衛権は推し進めなくてはならず、さらにそのために米国から大量の兵器を買わなければならない。そして、戦争になれば戦時増税となるはずです。それがこれから10年から20年くらいのシナリオじゃないでしょうかね。その準備のための憲法改正があるとしたら2017年頃だと思いますね。まずは、環境を整えないといけませんから。

―どうして憲法改正が2017年にあるという予測が立てられるんでしょうか?

順番的に時系列的にそうなるはずです。2016年秋にアメリカの大統領選挙があり、ここが大きな世界的な分水嶺になるでしょう。日本では統一地方選が春にあって、そこで大きく動かずこのまま安倍政権が継続していくことを考えると、多分2017年参院選のあとには憲法改正があるでしょう。

自民党は創設以来の悲願が憲法改正とか言っていますが、そんなことは本当はないと思いますよ。米国共和党に極めて近い、清和会系の一部の人たちの思いです。安倍首相の祖父であった岸信介元総理大臣は、米国の情報公開によって、近年CIAエージェントだったことが発覚しました。一方、アメリカとどう距離をおくか、というのは、自民党創設以来の本当の悲願だと思いますね。いわば「真の独立」で、「真の戦後レジームの脱却」です。これは悲願だと思う。

一部の人にとっては、それは核武装の意味も含みますので、これによって団結する可能性も否めません。「小さな核の傘」を自分でさしなさい、ってことです。本来なら、第七艦隊の原潜があるから必要ないのでしょうが、それもこっそりセットバックするということなんでしょう。もともと原潜はどこにいるかわからない存在だし。よって、日本は電力はさておき原発は止められません。核技術を研究しなければなりませんからね。だからネオコン命令書と言われる「アーミテージ・レポート」でも、トップオーダーは原発再稼働になっています。本来なら、米国ネオコンが原発再稼働について意見するのは、どう考えてもおかしいはずです。

僕は、憲法改正してアメリカの代わりに戦うのが、自民党の悲願だとは思えません。戦争は可能性のひとつでしかありませんし、アメリカの出方次第ですのでわかりませんが、次の大統領が共和党ネオコン勢力になったらこの路線は真実味を増すでしょう。今は、フロリダ知事のブッシュ弟が出てくると言われていますけどね。

―民主党はヒラリー・クリントンですかね。

それはわかりませんが、あの人は外交ベタなんですよ。アメリカが持っていた利権を国務長官時代に6つくらい失っている。ですので、史上最悪の国務長官って呼ばれていますね。民主党的には、内実ヒラリーを推したくないんじゃないでしょうか。ネオコンや軍産複合体は押したいでしょうけど。いま、昨年リリースして好評だった「白本」「黒本」の続編を書いていて(すでに「白本-弐」はリリース)、僕なりの推察を詳細に書いています。これも大手出版社からはとても出せない内容になるでしょう。

>>次ページ 2018年は世界的な節目の年になる?

―2018年くらいに何かが起こるかもしれないとメルマガで書いてらっしゃったんですけど、それは何をイメージされたんですか。

2016年の秋、11月1週、スーパー・チューズデーに大統領選挙が終わりますよね。それから2017年の1月には就任式があるわけです。大抵は、その年の秋から翌年に何かが起きるんですよ。経済ショックだか戦争だかわかりませんけど、多少前後してもいつもそのような流れがあります。そうすると、2018年はかなり節目の年になると思います。これは、天災なども含めてね。また、2016年の暮に米軍が韓国から撤退して、すぐには戦争というようにはならないと思います。指揮権返還も延長されましたし。でも徐々に怪しい感じになるのではないでしょうか。このあたりは、中東情勢とロシア周辺国の動き次第とも言えます。僕がアメリカの軍産複合体だったら、中東とロシア周辺が沈静化したら北朝鮮を煽りますね。しかも中国のタカ派とグルになって。韓国と北朝鮮と日本とで少し争わせようと、煽りますよね。その時に共和党政権で、漁夫の利は米国、続いて中国でしょうね。米中が本格的に争うことは、2040年代までありません。それまで中国は、黙々と経済活動を続けると思いますね。いくつかの踊り場を越えながらね。

―でも、アメリカと中国は、日本と韓国と北朝鮮で戦争をさせて、最終的には何を求めているんですか。

少し乱暴な言い方をすれば、ネオコンは世界が混乱してメチャクチャになれば、それでいいのです。もし、イスラエルという国家がなくなるのであれば、世界中の他の国家がなくなってもいいくらいに思っています。もともとユダヤの民は、国がなかったわけですから。ですので、現状の日本も見方によっては、国家解体に向かっているようにも見えます。ネオコンと近しい現政権の人たちは、もしかしたらわかってないのかもしれませんが。そして、軍産複合体の目的は、戦争に勝つことではないのです。いつまでも、戦争が続き、米国本土が絶対安全地帯にいることが目的です。これを理解する必要があります。当面、中国と米国が戦争しても、米国にミサイルが飛んでくることはほとんどありません。原潜だけ注意が必要ですが、第七艦隊があります。実は日本の海上自衛隊が誇るP-3Cもイージス艦も直接戦力ではなく、米軍第七艦隊の護衛艦の役目にしか過ぎないのです。戦略が米軍あっての自衛隊なんです。空自のF-15も米軍F-16の露払い機です。F-22は機密性が高いので購入できません。軍産複合体は売りたいのでしょうが、米国の議会を通りません。たぶん無人仕様のF-40がリリースされて型落ちになったら、買わされるかもしれませんが。それより、どこかで空母保有でしょうね。まずは、多様性が売りで事実上オープンプラットフォームのF-35をライセンス購入し、国内軍事メーカーの強化を図ります。すなわち三菱です。そして、この方向の終着点は飛躍していると思われるかもしれませんが、やはり核武装なんです。米国本土まで届かない距離のミサイルとセットで、米国の許可がいつか出るでしょう。北朝鮮と戦争になれば日本もちょっとは利権を預かれるかもしれませんね。少し前のシナリオだと半島統一されれば、米軍と国連軍が駐留し平定する予定だったと思います。歴史的に半島に日本の自衛隊が入るのは、メンタル的な問題があるからです。しかし、予算の関係で韓国から米軍が撤退に向かいます。そこで、米軍の代わりに日本の自衛隊が補完せざるを得ない状況になっている。それが、直近のシナリオでしょう。それを中国がどのように見るかでしょうね。もしかしたら、ドコモの平壌支店とかができるかもしれないから(笑)。中国はこの機に事実上の領土を広げられるでしょうし。実効支配地域としてね。

まあ、最終的にいい思いするのは、第二次世界大戦の覇者であり、その後世界の中心だったアメリカですよね。また、アメリカは国益に適うことしかやりませんから、本当にわかりやすい国です。万が一、尖閣諸島が中国に攻められたってアメリカには関係ありませんからね。国益にはまったく関係ないのです。それより緊張関係を維持して、多くの戦争兵器を日本に購入していただくのが、国益に叶いますよね。そのための増税です。だから今アメリカは「米軍が朝鮮半島から完全撤退するまで待て」って中国のタカ派に言ってますよね。そして、北朝鮮も中国経由でおさえてる。いま、東アジアのどこかで火の手があがると、米軍が介入せざるを得ませんから。現時点で、7千発のミサイルが中国から日本に向かっていつでも発射できるように準備はできているわけです、原発を狙ってね。「ダーティボム」とよばれているヤツです。宇宙開発もスゴい勢いで進んでいます。石垣島に防衛システムとか建てたって、7千発を追撃できるわけありません。しかも兵器としては旧型のPAC-3だから。もう意味不明ですよね。だいたいPAC-3はミサイル迎撃は曲芸のようなもので、本来は戦闘機迎撃のための兵器です。儲かるのは、PAC-3の日本の代理店の伊藤忠ですね。だから石垣島に突然ファミリーマートができちゃって、人がほとんどいないところに突然ファミリーマートが。なるほど、ここ軍備が配備されるんだなってそれを見ると思っています。ここに自衛隊員がいっぱい来るから、ファミリーマートがないと困りますよね。本当にびっくりしましたよ、この前、石垣島行ったら突然ファミリーマートだらけで。まあ、これはただの妄想ですけどね(笑)。

安倍政権がいまひとつわかってないと思えるのは、クールジャパンとか言ってますけど、ソフトパワーで制圧するというか、日本化しなくてはいけないのは国防上、台湾とフィリピンなんです。石油のシーレーンを確保しなくてはいけませんから。パリのジャパンEXPOなど、実はどうでもいいんです。台湾を中国に取られたら、終わりですよ。だから、そのために巧みな観光キャンペーンを、台湾、香港、フィリピン、ベトナムで大々的に展開する必要がある。観光庁の人は、まったくわかっていませんよね。実際に、僕自身が観光庁と台湾での日本キャンペーンを行った際に痛感しました。観光キャンペーンほど、スマートパワーでもっとも効率的なものはありません。観光戦略はもっとも安価で最高の国防なのです。一方、欧米に対して必要なのは、ロビー活動とデジタルネガティブキャンペーンの準備です。この点では、本当に日本は弱いですね。やり方すらわかっていない。まあ、これらは兵器産業と違って、関係者がたいしてお金も儲かりませんしね。逆に言えば、コストの良い戦略です。また、日本は島国なのに、陸上自衛隊が圧倒的に多く、戦車まで自国開発しています。まさに意味不明です。それをこれらのソフトパワーに振り分けるのが正しいのでしょうが、既得権となっているので無理でしょうね。早めにどうにかしたほうがいいと思いますよ。ソフトパワーは先手必勝で、ネガキャンは準備が大事だから。

———— このインタビューの全編は—————

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著者:高城 剛
コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。毎週お届けする『高城未来研究所「Future Report」』では、今後世界はどのように変わっていくのか、私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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