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「お知らせさせていただきます」は間違い?敬語の正しい使い方4選

日本人でもついつい間違えてしまう「敬語」の使い方。ビジネスではもちろん、目上の方とのおつきあいなどでも、敬語の使い方を間違えて大恥をかくことは割と多いのではないでしょうか。知っているようで意外と間違えがちな敬語について、無料メルマガ『仕事美人のメール作法』の著者・神垣あゆみさんが正しい使い方を教えてくれています。

気になる敬語1 「お知らせさせていただきます」

「年末年始の営業予定を改めてお知らせさせていただきます」

この一文の最後、「お知らせさせていただきます」の敬語の使い方が気になります。

この一文で伝えたいのは年末年始の営業予定を相手に知らせること。シンプルに「お知らせします」としても差し支えないのですが、「するの謙譲語いたします」を使い「お知らせいたします」とすれば、スッキリした敬語の使い方になります。

相手に対してより丁寧に、と気を遣うあまり使ってしまいがちな「~させていただきます」ですが、「送ります」や「報告します」といったビジネスメールでよく使う言葉も、謙譲語の~いたします」に置き換える方がスッキリし、適切です。

例)
サンプルをお送りさせていただきます。
 ↓
サンプルをお送りいたします。

調査結果を報告させていただきます。
 ↓
調査結果を報告いたします。

したがって、最初に挙げた文例は、

「年末年始の営業予定を改めてお知らせいたします

として差し支えありません。

気になる敬語2 「お写真を拝見されて」

「背景が変わっていることにお写真を拝見されて、気づかれましたか?」

上記の一文は、ネットにアップしている自分のプロフィール写真の背景が変わっていることに気づきましたか? と書き手が読み手に問うている文です。

気になるのは「お写真を拝見されて」の箇所。書き手が読み手に対して敬語を使うつもりが、尊敬語と謙譲語を混同しておかしな敬語になってしまっています。

「(プロフィール写真を見た」のは、読み手、つまり、相手です。

したがって相手の行為に使う敬語は尊敬語。「見る」の尊敬語は「ご覧になる」、あるいは「見られる」です。しかし、上記の一文では、「見る」の謙譲語拝見する」を相手に対して使っています。

さらには自分の写真のことなのに尊敬の接頭語「お」を付け、「お写真」となっています。

「お写真」→「写真」
「拝見されて」→「ご覧になって」

と直してみましょう。

「背景が変わっていることに写真をご覧になって、気づかれましたか?」

より伝わりやすくするために文の順番を変えて整えると……。

「写真をご覧になって、背景が変わっていることに気づかれましたか?」

のようになります(最後の箇所は「お気づきになりましたか?」にしてもよいでしょう)。

今回、取り上げた文例のように、敬語を使う相手と行為を取り違え、自分を主語とする「謙譲語」と相手を主語とする「尊敬語」が入れ替わっている間違いを見かけます。敬語を使い分けるときは、その行為の主語は誰かを確認してみましょう。

気になる敬語3 「お間違えないでしょうか?」

「先生の発言について私は△△と解釈しましたが、お間違えないでしょうか?

ネット上で相手(=先生)が発言した内容について自分(=私)は△△と解釈した が、それで間違っていませんか? と相手に問うているのが上記の一文です。

気になるのは最後の「お間違えないでしょうか?」の箇所。「私の解釈は間違っていませんか?」と相手に確認しているのに、「間違える」という自分の行為に尊敬の接頭語」を付けてしまっています。

相手の間違いを確認するのであれば

「○○を△△とお間違えではないでしょうか?」
「○○を△△とお間違えではありませんか?」

という尋ね方はしますが、冒頭の文例の場合は、相手ではなく自分の解釈が間違えてないかどうかの確認です。したがって尊敬の「お」は使わず「間違いないでしょうか?」とするのが適切です。

「先生の発言について私は△△と解釈しましたが、間違いないでしょうか?」

この例のように、相手に対する敬意から本来は自分の行為や動作に敬語を使ってしまわないように注意しましょう。

気になる敬語4 「書籍を出させていただけないか」

「出版社の佐藤さんにご相談させていただき、書籍を出させていただけないかと企画を持ち込みました」

上記の一文でまず、気になるのは、「させていただきます」の使い方です。

相談相手である佐藤さんを「立てる」ために、「相談する」「書籍を出す」という言葉に謙譲語を使い、「相談させていただく」「書籍を出せていただく」としていますが、一文に2度もさせていただく」が使われていて、スッキリしません。

それに、「書籍を出させていただけないかと企画を持ち込みました」という言い回しも丁寧な言葉とそうでない言葉が混在してまとまりがありません。

上記の文で伝えたいのは「出版社の佐藤さんに相談し、本を出版してもらえるように企画を提案した」ということです。

意図が伝わるように書き換えてみましょう。

「出版社の佐藤さんに相談し、書籍の出版を検討していただくための企画を提案しました」

相談したのは自分(書き手)、企画を提案したのも自分なので敬語を使う必要はありません

この一文で敬語を使って「立てる」対象は佐藤さん(および、佐藤さんが所属する出版社)なので、出版を「検討してもらう」を「検討していただく」としました。

伝えたいことを最初にストレートに書いてから敬意を示す対象がどこかを整理し、敬語に置き換える方が文意は伝わりやすくなります。

書きながら敬語を当てはめていくより、ひと手間かけて文を整えるようにするといいですね。

mage by: Shutterstock

仕事美人のメール作法
著者/神垣あゆみ
広島を拠点に活動するフリーランスのライター。若手ビジネスマン向けにメールマナーの基本を解説した『メールは1分で返しなさい!』(フォレスト出版)など著作多数。
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