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ガムを噛みながら人の話を聞く親が、いじめ加害者を作る悲しい連鎖

「叱らない子育て」は子供がのびのびと育つ反面、多くの問題もはらんでいるようです。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』では、基本的学力の低下は親のしつけ不足に起因する可能性があり、さらにしつけレベルの基礎的なことが身についていない子は勉強嫌いになるだけでなく、いじめに関わる可能性も高いと警鐘を鳴らしています。

「しつけ」は学力の基礎

今年「成人式」を迎えた若者たちは、小学校入学時からいわゆる「ゆとり教育」の教育課程による学校教育を受けた世代であることから、「ゆとり世代」と呼ばれ、総じて学力が低いと言われている。

最近、その「ゆとり教育」の結果を痛感するデータを目の当たりにした。昨年11月、関西の芸術系大学で行われた「保護者のための就活セミナー」に参加した。その大学では、学生たちの就職をサポートするため、1年生時から国語(漢字)と数学、新聞記事の読解などを学ぶ授業を必須科目にしている。

その大学で、今年度の1年生が入学後初めて受けた漢字と数学のテストにおいて、漢字テストで80点以上取れた学生は全体の20%弱中学数学で80点以上取れた学生は、なんと5%にも満たず60%強が50点未満。0点に近い学生も少なからずいたという。センター試験を利用しない実技のみの推薦入試や、AO入試などで入学する学生が増えていることが一因かもしれない。

近年、就職試験では、「SPI総合検査」という筆記試験が導入されている。その結果、学力不足で職業の選択肢が狭くなっている学生が少なくないという。小中学校レベルの国語や数学を、大学で教え直さなければならないという話が、事実であることを実感した。

しかし、十分な学力や社会常識を身につけられないまま大人になる日本人は、「ゆとり世代」以前からいる。困ったことに、すでに「人の親」になっているアラフォー世代の学力があやしい状態だ。

この数年、小さな個人塾で講師をしているのだが、学力が低く、学習意欲も低い子供たちのアラフォー世代の親も、問題を抱えていることが多い。数か月間も月謝を払わないで平気であったり、塾長の話をガムを噛みながら聞いている、塾からの指示を守らないなど、枚挙に暇がない。

子供たちは、宿題をやってこない、教科書や筆記具を忘れるなどは日常茶飯事。授業があるのを忘れていた、と言われても驚かなくなった。こういう状態で「学力を上げてくれ」と頼まれても困ってしまう。

だが、学力・思考力不足の背景には、もっと驚くような問題がある。

子供たちのペンの持ち方がおかしいのだ。もう30年ほど前からその兆しはあったが、今、塾で見ている30名ほどの中学生の内、正しいペンの持ち方ができている子は、1、2名だけ。ほとんどの子供たちが、まるで幼児のように、「グーでペンを握って文字を書いている

そして、勉強中の姿勢がひどい。授業中に背筋を伸ばして座っていられない子が多い。いくら部活動で疲れているからとはいえ、机に頭を乗せたまま問題を解いている姿には、驚きを通り越して呆れるしかない。何度注意しても直さない。「家でも学校でもやっているけど、怒られたことはない」と言う。

数十年前、小学校に入学して最初に学んだことは、勉強の時の正しい姿勢と正しい鉛筆の持ち方であったはずだ。中学生になっても身についていないということは、小学校の先生がきちんと訓練しなかったということだろう。あるいは、ペンや箸の持ち方などは、最低限のしつけ」として、親がうるさく注意して身につけさせるものではないのだろうか。

個性の尊重放任とを取り違えた教師や親たちは、「強制」を嫌がるが、最低限身につけなければならない心身両面の基礎訓練は必要だ。そして、子供たちには、親や教師、先人の教えに素直に従う心の大切さを、まず学ばせなければならない。

学力低下、「いじめ」の問題の根っこには、「しつけ」レベルの基礎訓練の不足があるように思われてならない。もちろん、大人の側に、年少者の尊敬を得られる人間となるための、日々の努力精進が求められることは、言うまでもない。

小宮直子

image by: Shutterstock

 

いじめから子供を守ろう!ネットワーク
「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。
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