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日本が善意だけで移民を受け入れると大変なことになるこれだけの理由

今や景気が良いのは観光業界のみと言われているくらい、観光地には外国人が溢れ、民泊で一儲けしようと家を改装する人たちも出て来ています。そんな外国人を身近に感じている現在の日本ですが、難民の受け入れとなると全く話が変わってくるようです。メルマガ『経営者のためのニュースレター』の著者、手島佑郎さんは「難民救済に反対ではない」と前置きした上で、慎重に検討しないとドイツのように国民も移民も不幸になる最悪の結末を迎える、と警鐘を鳴らしています。

そろそろ日本も考えねばならない難民受け入れ

中東に端を発した大量の人間の移動は、今年も終わりそうにない。既に100万人以上もの移民が流入してしまったドイツや、フランス、スウェーデンでは嫌でも流入する異民族の現実を受け入れざるを得なくなっている。

これは絵空事ではない。好まなくても、目の前に降って湧いたような現実なのである。日本は難民の受け入れに消極的だという批判の声がある。だからといって、難民受け入れの舵を急速に右から左に切ってよいわけではない。これは、難民が可哀想だから受け入れろという同情論以前の問題である。しかし、そろそろ日本も真正面から難民受け入れ問題を考えなければならない時期にさしかかっている。受け入れるにせよ、受け入れないにせよ、一度真剣にその是非や可否について検討しておく必要がある。

第1の壁

そもそも異民族と大量に隣り合って暮らした経験が日本人は無い。一人、二人、西欧の白人が隣に住む分は、まあ対応できるだろう。だが、数十人、数百人、数千人が突然となりに住み始めるとどうなるか?

まず食物と調理が違う生活臭が違う。そのことを実際に受け入れられるか?

これを端的に体験できるのは、国際線の飛行機の中だ。

アメリカン航空の機内に入るとアメリカ独特のバターの匂いがしてくる。大韓航空だとキムチの匂いが染み付いている。日本人の乗客は気付かないが、日本航空だと醤油や味噌の匂いがしみ込んでいる。そして無意識でホッとする。パキスタン航空やインド航空だと、強烈なスパイスが鼻につく。そして日本人の私は、慣れない体臭に包まれて、落ち着かなくなる。それに慣れるまでは、気が遠くなりそうであった。

行き詰まりかけている流民受け入れ

難民受け入れに積極的であった北欧やドイツ、フランス、イギリスなどでも、結局のところ、中東系流入民はその土地の市民とは同化できない。そればかりか、シリア系、イラク系、アフリカ系と流入民ごとに分離する。しかも、それぞれが独自のイスラム法解釈による排他的地区を形成してしまう。

彼らは自分たちが占拠した地区を「イスラム・フリー・ゾーン」と呼ぶ。

最初の頃は、「難民歓迎!」と言っていた。ドイツでは、2014年に全国40ヶ所の流民収容施設を作ったが、予想を遥かに超える大量流入した。そのため、昨年度末では、ドイツ全土で新たにその3倍に収容施設が開設した。それでも応じきれない。その為に、学校の体育館なども彼らの宿舎として開放している。

そうなると、劣悪な住環境であるために、流民たちの不満が高まる。いや、そればかりではない。体育館が使用出来ないために、市民や生徒たちの不満も尋常でなくなっている。学校の敷地内の治安も極端に悪化している。

収容する側と、収容される側

こういう流民収容施設不足を解消する手段として、ドイツ政府は昨年12月18日、ドイツ西部の保養地シュライデンの小高い丘の上に立っている立派な建物、元・ナチス幹部学校を流民収容のためへの転用を決定した。そこは、かつてヒトラーの命令で、アーリア人種優越思想教育をしていた場所である。温泉や古城もある風光明媚な峡谷の施設である。そこでは、ユダヤ人、ジプシー、その他の非アーリア人を見下す洗脳講義が展開されていた。そういう場所であったことを知ってであれ、知らずにであれ、いったいどのような思いで流民たちはそこで生活再建の方策を探るのであろうか?

人里離れた山奥であるから、保養には適しているが、難民は町が恋しくて施設を脱走するのではないか?

もちろんその施設だけでは到底足りない。ベルリン郊外のテムペルホフ飛行場も流民用宿舎として充当している。ここは、かつて東西冷戦時代に東ドイツの秘密機察が西側の電話を盗聴していた基地であったために、たくさんの小部屋が設置されている。ここに収容される流民には、他に例をみないプライバシーが、確保される。

いったん国家が流民の受け入れを表明すると、たちまち、こうした現実と対処せざるを得なくなるのである。

自分のほうから志願して中東やアフリカなどの難民支援に出かけるのは、個人の好き勝手である。だが、難民が流入するのを受け入れることは、同情心だけでは解決できない様々の問題を抱え込むことに発展する。その点を、今のうちに日本国民ならびに政府に警告しておきたい。

私の引き揚げ体験

私は難民救済に反対ではない。しかし、それは慎重に行なわないと、後々禍根を残す。

私自身の経験を語ろう。私は、1945年の秋から年末にかけて、蒙古からの引揚げ者として、暖房のない兵舎のコンクリートの床の上にキャンバスを1枚敷いただけの場所で幾夜も寝た。屋根のない貨物列車でも運ばれた。輸送船の船底の貨物用倉庫でも寝た。もちろん、安全に天津から佐世保に向けて運ばれているだけでも、感謝すべきことであった。しかし、あそこは冷たい鉄の鋲が丸出しで、とても眠れたものではなかった。船底の鉄板から波の砕ける音が、航海中ずっとし続けていた。

幸い、私の一家は、父の郷里・熊本市で、祖父母が住む実家に落ち着くことができた。当時、熊本では、落ち着き先の無い引揚者のために、6畳と4畳半の2室しかないような急造の引揚者住宅が沢山作られていた。そこに住めない家族は他人の家に間借りしていた。

戦後は、日本の至るところが焦土と化した後なので、戦災者住宅、引揚者住宅など、狭い住居でも皆文句を言わずに助け合い、譲り合って暮らしていたものである。

難民受け入れ以前の下層民軽視の風潮

さて、100万人以上もの流民の受け入れをしなければならない欧州諸国では、単純に彼らへの避難所(シェルター)の確保と提供だけで終わらない。今後、彼らを国民として育てていくための覚悟と施策が求められる。

受け入れ国の生活習慣への遵守と同化、子供らの教育、就労機会の確保と成人教育、保健衛生サービスと住居の提供。

どれも多大な経費とその任務をこなせる新たな要員が求められる。

2014年度にドイツが公式に受理した難民申請者数は20万2,815人、スウェーデンでは8万1,325人、イタリア6万4,625人、フランス6万4,310人。

これは、あくまでも公式に受理した申請者数であって、じっさいには想像をこえる無申告者がいる。そして、昨年度は一挙にその数倍の、想定も把握もできないほどの流民が押し寄せた

そういう事態に発展するかもしれないということを考慮しないで、メルケルは安易に移民受け入れを表明してしまった。そこに、今回の大量難民発生と混乱の原点がある。

なぜ彼女はそのような安請け合いをしてしまったのか?

そもそもドイツでは、労働者を人間として遇していない風潮がある。教育はエリートなる人物に施すものであって、労働者に教育を施しても無駄だという考え方がある。

指示された通りに作業をするのが労働者であって、彼らは家畜小屋に囲っておけばよい。そういう発想は、いまだにドイツのエリート階級の間に根強い。

上澄みの人々の発想

私はあるときドイツの大企業から社員教育の打診を受けた。私は「まず幹部からプログラムを理解してもらい、あわせて現場の労働者にも納得してもらいましょう」と提案した。すると、ドイツ企業の人事担当者は、「それは必要ない。現場は指示通りに動けばよいのだから」と、私の提案を却下した。

現場の人間は機械の部品と一緒であって、下のほうから要求や抵抗があるとは、ドイツ社会の組織の上の者は露ほども考えない。

その習慣で、メルケルは移民に文化や主張があるとは考えてもいなかったのである。

ましていわんや、下賎民の異民族の若者が集団になってドイツ国民の娘を強姦する事態が発生するなど夢想さえしなかったのである。

この事件は、ヨーロッパ型既存体制の崩壊の始まりなのである。その代償として、いまやドイツ政府は大量の移民を抱えただけでなく、国民から重大な不信任を突きつけられはじめている。さて、メルケルとその閣僚たちはどのように解決できるのだろうか?

好色な男共を誘惑しようとするハンブルグの飾り窓のガラス越しに陳列されている娼婦でさえも、媚態を見せているわけではない。

だから、今回、大晦日に男たちから襲撃された女性らは、娼婦よりも紊乱な醜態をさらけ出していたに相違ない。そうケルンの女性市長は思ったに違いない。

彼女は、事件の真相を確かめないまま、教養あるドイツ人の常識だけで発言した。その結果が、被害者を糾弾し、加害者を弁護するという新年早々のあのコメントにつながったものと思われる。

ドイツ人だから理性ある行動をする、と我々が思うことも、今となっては、迷妄そのものなのであることに気付かせられた次第である。

フランスがイスラエルに突きつけた最後通告

こうした隣国ドイツの難民対応の後手々々ぶりを横目に見ながら、フランスのオランド大統領は難民からの不満のガス抜きのために、別の高等戦術に出た。

それは、イスラエルがパレスチナとの和平交渉を開始しないならば、フランスは一方的にパレスチナを国家として承認するという演技である。

パレスチナを国家として承認するというポーズを取ることによって、フランス国内の人口の約10%を占めるイスラム教徒から政府への好感を持ってもらおうという戦略なのであろう。

フランスが、一方的に「パレスチナを独立国家として承認するぞ」とイスラエルに詰め寄っても、イスラエル市民への無差別ナイフテロを奨励している恐怖主義のアッバスを相手にして、民主主義の国イスラエルが真面目に取り扱うはずがない。

このような要求をフランスがイスラエルに示したことによって、アラブのテロリスト諸集団から、「フランスは脅せば何とかなる国という印象を深めさせた。これは、フランスの対テロ作戦上、むしろ弱みを見せた結果となった。

今後、フランス国内ではさらにまたテロが起きるであろう。

占領地の認識ができていない潘基文

オランド大統領のような付け焼き刃でイスラエル・パレスチナの紛争が解決するはずもない。
彼はイスラエルとパレスチナの紛争の歴史を知らなさすぎる。それとも無知なのかもしれない。

そもそもイスラエルが1967年の第3次中東戦争の勝利によって獲得した占領地のうち、シナイ半島はエジプトとの和平成立後、段階的にエジプトへ完全返還された。しかし、北のシリア領のゴラン高原は、イスラエルが占領したままである。それは、シリアとイスラエルの間に和平が成立していないからである。パレスチナ西岸地区に関しては、ヨルダンが領有権を放棄し、もっかイスラエルが占領したままになっている。

この占領を不当だとパレスチナ側は言うが、いつから世界では和平条約が成立していない国同士の間で領土返還をするようになったのか? 

アッバスはイスラエルとの和平交渉さえしていない。それどころか、パレスチナ憲章には「イスラエルを抹消する」と明記した“対イスラエル敵対条項”を掲げたままである。

平和でない相手とは領土交渉はできない。それが世界の常識のはずである。

フランスのオランド大統領がどれだけイスラエルを脅しても、事態の改善にはつながらない。

ちなみに、国連の潘基文事務総長も、最近、イスラエルにパレスチナ西岸地区占領を不当だと声高に言っている。もし彼がそう主張するのであれば、彼は、まず李承晩大統領時代の韓国が日本から奪った竹島を日本に返還させ、またロシアに北方領土を日本に返還させてから、その上で、彼は、イスラエルとパレスチナに領土交渉をせよと促すべきである。

第1の危険:イスラエルと周辺国との摩擦

本紙の考えでは、2016年に中東が抱えている密かな危険は、2つある。

1つ目は、パレスチナのガザ地区を武力で支配しているハマスが、イスラエルとの国境沿いに、連日1,000人を動員して、空爆にも耐える地下30mの深さに、地下トンネルを掘削し続けていることである。Z—dayには、国境沿いの秘密の出口から、一斉に地上へ躍り出て、イスラエル側を攻撃し、混乱させ、可能ならば地上戦でイスラエル軍を撃退しようと狙っている。
この種の潜在的攻撃の可能性は、イスラエル北部のレバノン及びシリアとの国境沿いの地区でも一昨年あたりから確認されている。イスラエル側のキブツやモシャブなどの住民は、夜になると地下から掘削音が聞こえてくると、治安機関に報告していた。

案外、ガザのハマスと、レバノンのヒズボラとが共同で対イスラエル作戦を挙行する可能性はあり得る。もちろんイスラエル側としても無為に傍観しているわけではない。そうした不意打ちは、イスラエル側に相当の打撃を与えるかもしれない。しかし、最終的には非常事態に対処できる戦略を普段から持ち合わせているか否かが、勝敗の行方を左右する。その場合、最終的には、包括的な作戦と戦略を有しているイスラエル側が有利に勝敗を決するであろう。

第2の危険:イランのミサイル開発

2つ目の危険は、イランの弾道ミサイルである。

現在イランの主力弾道ミサイルは航続距離800km〜2,200kmであるが、最近開発したロケットは航続距離4,000kmから5,000kmに伸びた。そのことは、イランが打ち上げている最近の観測衛星の軌道の高度から窺い知ることができる。

今回、米国などとの核開発協定によって、海外との貿易制限が解けた。それで、イランは、世界中の銀行で凍結されていた預金1000億ドル、ならびに凍結されていない海外資産300億ドルを自由に使って、早速、精力的にロケット開発用機材を西側から買い付け始めている。

イランは、目下、航続距離20,000km、大西洋を越えてアメリカ大陸を狙える弾道ミサイルの開発を急いでいる。それが完成すると、米露と肩を並べることが出来る。そうなれば、世界のイスラム教諸国もイランの傘と権威のもとにひざまずくようになる。

イランは弾道ロケットを山岳地帯の山腹に格納している。それは山の頂きから500mの深さの地下である。この深さだと、敵がミサイル攻撃をしかけても、外部から施設の破壊はできない。

イラン最高指導者ハメネイは事あるごとに、アメリカを警戒せよと国民に呼びかけている。
彼の考えでは、米国などとの核平和利用の協定は単なるゼスチャアに過ぎない。彼が願うことは、イスラムの世界制覇であり、イスラム諸国の間で教祖フセインが失ったマホメットの後継者カリフの地位をシーア派のイランが回復することである。

イランと周辺国との平和は、その機会到来までの時間稼ぎでしかない。その意味では、今後、イランは、イスラムの聖地メッカを守るサウジよりも危険かもしれない。

image by: Lukasz Z / Shutterstock

 

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