MAG2 NEWS MENU

沈没のアベノミクスが、大逆転するために必要な4つの政策

中国経済をはじめ、止まらない世界的な景気の減速。国内に目を向けても、アベノミクスの行き詰まりや少子高齢化による労働力不足、深刻化する貧困家庭問題など、混沌たる様相を呈しています。メルマガ『国際戦略コラム有料版』では、今後の日本の進むべき道を具体的に記した上で、今、政策さえ誤らなければ日本は世界を担う存在になれると主張しています。

世界の不安定化で日本の対応は?

世界的な景気減速、不安定化に対応して、日本はどうすれば良いのか。それを検討する。

経済状況

このコラムを見ている読者は、株価下落の原因が、中国のバブル崩壊の危険性、石油価格の暴落で石油諸国の経済減速、日本の金融緩和策の限界などを織り込むためと知っていただいているとは思うが、これと同じで円高も購買平価に従った動きである。

購買平価は1ドル100円105円であり、日銀の量的緩和政策の限界と石油価格の下落によるデフレがあり、円が近未来にインフレしないので、購買平価は変わらず、そのため、円が実勢価格に戻す動きになっている。

金融緩和をしようとしたとき、1ドル=110円程度までに留めることを提案したのは、購買平価と余り違わない方が、下落の余地が少ないと思ったことによる。

この円安で、株価は2万円をつけて、資産家は儲かり消費を増やして、一時的にデフレ状況から離脱したように見えた。しかし、多くの労働者階層の賃金は、実勢でマイナスになり、消費を落としている。このように日本でも貧富の差が拡大したのである。

現在、株価が1万6千円となり、損が出ている可能性が高く、資産家たちも消費に回せなくなっている。また、円高と中国自体の経済がおかしくなり、主に中国の中間層が、日本への旅行はするがインバウンド消費を減らし始めている。このようにGDPに占める消費が徐々に減っている状態になってきたのだ。

また、企業はインバウンド消費の増加があり、投資をしようとしていたが、旧正月で中国人旅行者がインバウンド消費を抑えたことで、投資できるかどうかになっている。このように、日本経済も減速してきている。その減速が再度株価を押し下げることになる。

トリクルダウンの富者優遇から中流階級の育成へ

今までの安倍政権の方向は、金融政策で円安にして企業の輸出採算性を向上させて、企業収益を増やして、日本経済を成長させようとしていた。また、一部金持ちたちを儲けさせて、トリクルダウンで消費を増やしてもらい、日本経済を拡大しようとした。

一部金持ちの優遇政策として、累進課税制度を止めて、最大50%に削減したが、その政策は間違いであったことが、この20年が証明した。その政策を提唱した竹中さん自体がトリクルダウンを否定している。ということは、この政策の根拠が失われたことになる。

というように、その目論見は失敗した。景気が良い間に、構造改革や累進課税を復活して、中間層の育成をして、貧富の格差がない社会にして、全体的な消費を増やして、日本経済を成長させるべきであったのだ。

20年をかけた巨大な実験は不成功ということである。元の社会に戻すことが重要になった。そして、その方法としてはマイナンバー制度を導入し確実な所得の把握ができたことで、給付付き税制控除制度が確実にできることになる。

母子家庭の把握も、これで出来ることになる。同一世帯の所得が把握できて、発見しやすくなる。民生委員などが家庭に訪問して確認することができるようになる。

子供の教育が重要であり、貧乏であることで教育の機会を奪われることがないようにする必要がある。日本経済は円高に向かい、企業競争力を高める必要があり、このため、知識と才能がある人を必要としている。この参加率を上げて、個々の才能を磨くことが重要なのである。

日本企業は

これから人口減少社会になり、日本企業は世界に出て勝負する必要が有り、日本的な礼儀作法や他者に対する考え方が必要になっている。その上でエネルギー分野、医療分野、素材分野などで技術革新を行い、技術と精神・文化の両方で、世界を安定させることが必要である。

日本企業には、この数年間で利益を積み増して、膨大な内部留保した資金があり、それを世界のために研究やビジネス拡大に使えることになる。一方、世界はバブル崩壊になり、多くの世界の優良企業が立ちいかなくなり、助けを求める事態になる。その企業を買収して日本企業は拡大するしかない。

日本企業の拡大は社員の拡大を意味するので、その意味でも優秀な日本人の需要は多くなる。

しかし、日本人だけでは社員数が足りない。このため、優秀な社員を広く世界から募集することになる。特に日本へ留学してきた海外の学生は日本企業も欲しいはずである。日本留学できるように援助をするのはもちろん、卒業後は永住権などの特典があれば、より多くの留学生が来る事になる。優秀な知識階層を増やすことである。

米国では、まともに就業しても学生ローンを返せないような状態であり、日本への留学は米国の優秀な学生にも魅力的になると思う。ということは、世界的にも、欧米より日本の方が良いと思えるような優遇策を取れば、世界企業化した日本企業に優秀な学生が来ると思う。

移民政策

しかし、日本国内でも、介護や肉体労働、コンビニなどの分野では、今でも労働不足状態になっている。この分野は日本人だけでは補充できない。この分野は、単純労働分野であり、今は海外研修制度で補充しようとしているが、今後は技術教育者層も足りなくなる

このため、何かの移民制度が必要になる。日本語能力と技能レベルがある一定以上になった労働者は、日本への永住権や日本国籍を取れる道を開くことが必要になると見る。

当面は、親日仏教国である東南アジアの国とFTAなどを結び、徐々に導入することが必要であろうと思う。

日本語教育などの手厚い移民政策が必要であることは、今までの日系ブラジル人家族を見ているとわかる。日系人の子供たちに対して日本語教育が不足して、何語もまともに話させない子供が出来ている。

日本国籍をとっても、日本に同化できない。自国に戻っても同化できないので、無国籍的なことになる。悲劇的なことである。十分反省して移民政策をとるしかない。

人口減少では経済成長はできない

2050年には、このままでは1億人を下回ることになるが、それは全体的な消費量が減るので、GDPも30%以上も減少してしまう。地方の多くは住人が少なくなり、立ちいかないことになる。

この対策として、現在、女性の待遇を見直しして、就業も続けてもらい、子育ても社会で行う仕組みを完備する方向である。しかし、これだけで、出生率が2.1以上になるとは思えない。

女性が子供を生むと、心配せずに子育てができる社会にすることである。子供手当であり、ある一定以下の年収家族での教育無償化が必要になる。未婚の母も認めることである。その母親が働いていても子育てができる環境を作ることである。

このような日本の未来を見た政策の集合体が必要なのである。今までの延長上の政策では、日本は沈没してしまう

もし、日本の政策がよければ、日本は次の世界を担う存在になると思うが、その分岐点に来ているようである。

さあ、どうなりますか?

image by: 首相官邸

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
<<無料サンプルはこちら>>

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け