お笑いのみならず、映画監督としての才能も世界的に評価されているビートたけしさん。そして、子どもからお年寄りまでを笑いに引き込む日本一のコメディアン・志村けんさん。そんなお二人を知る東京大学大学院修了のタレント・木村美紀さんが自身のメルマガ『木村美紀が明かす家庭教育の秘策』でお二人から学んだ「教訓」について語ってくださいました。
ビートたけしさん、志村けんさんから学ぶ、家庭教育の教訓とは?!
特に私が導いてくださった大師匠だと感じているのは、ビートたけしさんと、志村けんさんです。
今回は、私が尊敬するお二人の師匠から学んだことを話しつつ、家庭教育にも通じる点を自分なりに考察してみたいと思います。
ビートたけしさん
ビートたけしさんには、お仕事で長年お世話になりました。
フジテレビの「たけしのコマ大数学科」という番組で、2006年~2013年まで、7年半ほど共演させて頂きました。
たけしさんは博学で、幅広い知識はもちろん、芸術・文化・映画のお話などもよく教えてくださいました。そして生きていく上で大切なことをたくさん学ばせて頂きました。
たけしさんのお話を伺っていると、どんな出来事があっても笑いなどプラスに変える力があって、その発想力や破壊力を尊敬しています。
“変換力”こそ大事なスキルなのではないかと学びました。
ベクトルの方向を変えればいいんだ!
ベクトルの方向をどう変えるかは自分次第だ!
そんなふうに思えるようになって、ちょっとやそっとのことでは落ち込まなくなりました。生きる強さみたいなものを学ばせて頂いた気がします。
たけしさんは、見抜く力が素晴らしくて、自分が悩んでいる時も察知してくださるのか、その時に欲しいお言葉をくださいます。
的確でハッとするアドバイスを直接くださったり、ときには背中で示してくださったりして、これから進むべき道へと導いてくださるので、ずっとついていきたいと思うのです。
番組が終わってしまってからは、なかなかお会いする機会がなかったのですが、先日お久しぶりにお会いすることができました。
2月28日に東京スポーツ映画大賞授賞式があり、会場の東京プリンスホテルに足を運ばせて頂きました。
この授賞式は、ビートたけしさんが審査員長をつとめ、ガダルカナル・タカさんと江口ともみさんが司会で、会場は笑いに包まれたり、激励もあって感動したり、たけしさんらしいユーモアに溢れた授賞式でした。
最後にたけしさんのシメのお言葉が心に残っています。
一言一句おぼえているわけではないのですが、ニュアンスだけざっくりまとめると…
映画は最近、CGや映像のすごさが目立ってきて、「映像がすごかった!」で終わってしまうと、解釈が一義的なものになってしまう。
でも本来は、映画って、大きなスクリーンで誰かと見て、終わった後に感想を言い合ったりして、受け取る側がいろんな解釈をすることで完成するもの。
携帯電話のサイズでみる映画と、映画館の大きなスクリーンでみる映画は、確実に違うし、携帯サイズでは伝わらないこともある。
やはり映画館の大きなスクリーンの迫力でみてほしい。
そして、見たらいろんな解釈があっていいと思う。
見る側がいろんな解釈ができる映画をつくったのが、「女が眠るとき」という最新映画。
ぜひ見てほしい。
そんな内容のお話をなさっていたように感じました。もし私の解釈が間違っていたら、すみません。強く心にささるメッセージでした。
そして授賞式が終わった後に、たけしさんにお会いして近況報告をしました。
番組が終わってからもずっと大学教員を続けていて、一生これから薬学という学問の道を進もうと思っていること。
そう思えたのも、たけしさんの影響をすごく受けているということ。
感謝の気持ちをお伝えしました。
たけしさんは、いろいろお話してくださいました。
未来を導いてくれるような深いお言葉を頂き、そのお言葉を大切にしていきたいと思いました。
詳しくは割愛させて頂きますが、一つだけ印象的なお話をかいつまんでご紹介します。
本を書くとしたら、タイトルが大事。皆が思っていることと真逆のことを言うとよいのでは。タイトルの中に、逆の言葉を2つ入れて並べること。例えば、「この優良株は儲からない」とか「飲みたくない薬」とか。
そんなアドバイスを頂きました。
本に限らず、広告などのキャッチコピーや日常会話など、人の関心をひくテクニックとして、広く通じることのように思いました。
確かに、真逆の概念をもつ言葉が一つのフレーズに並ぶと、「え、どういうこと?どっちなの?」と一瞬混乱しますよね。
ストレートに受け入れるのが難しいからこそ、自分の頭で想像力を働かせて考える必要がある。
だから、きっと人は気になって仕方なくなるのでしょう。
人がどう受け取るかまで見越して、言葉を投げかける。
普段はなかなかそこまで意識できていませんでしたが、これから意識するようにしたいと思いました。
いろんな場面で、このお言葉を思い出すことになるでしょう。
たけしさんの発するお言葉は、いつも心に響きます。
そして、その言葉に救われてきました。
そうしたところもカリスマたる所以なのではと思います。
一生かかっても決して追いつくことはできませんが、たけしさんから学んだことを一つ一つ大事にして、教えをいかしていきたいです。
と、ここまで、たけしさんのお話を書いてきましたが、なぜこのお話を書いたかというと、ここから家庭教育に通じる教訓があるのではと考えたからです。
たけしさんから学んだことをまとめると、
- 出来事をプラスに変える変換力
- ほしい言葉をかけてくださる察知力
- 受け取る側に解釈をゆだねて完成させる力
- 逆の言葉を2つ並べて惹きつける力
- 存在としてのカリスマ力
こうした力は、家庭教育や親子関係にもいかせるのではないでしょうか。
子供が受験や学校のことで悩んだりした時に…
- 発想次第でプラスの見方に変えられると親が教えてあげて、一つの経験として捉えさせること
- 子供が何を求めているか親が察知して、子供のそばでほしい言葉をかけてあげること
- 子供に解釈をゆだねるような助言や問題を投げかけて、 子供自身に考えさせること
- 言葉のトリックを利用して、子供の興味をひきつけること
- 親が子供にとってカリスマのような憧れや見本であり、子供が真似したいと自然と思える存在であること
こうした要素が少しでも増えれば、より良い親子関係や家庭教育を考える上で一つのヒントになるかもしれません。
そんなふうに家庭教育に結びつけて、自分なりに考えていました。
志村けんさん
毎年恒例の志村さんのお誕生日会があって、7年ほど前から毎年参加させて頂いております。
志村さんは、多くの方々に慕われる人望の厚い方で、温かいお人柄で、とても尊敬しています。
心に残っているお言葉はいろいろあるのですが、ここでは少しだけ紹介させて頂きます。
- 人のことは悪くとやかく言わないことに尽きる
- 人にみえる努力は努力じゃない。努力は人にみせるものではない
- いいものが生み出せる時って、あの人にきれいなものをみせたいと本気で思えるとき
- まずマネができないとダメ。マネができるようになって、そこに自分を入れていくと、新しいものが生み出せる
- ベタをやり続けること。そして、たまに裏切ること
そのお言葉の真意はとても深く、心に響きます。
ぱっとすぐ真意がわかる言葉ではなく、ゆっくりとじんわり心にしみわたってきます。
生き方であったり、笑いに対する考え方であったり、生き様がつまった貴重で大切なお言葉だと思います。
こうしたお言葉も、いろんなことに通じるのではないでしょうか。
これを家庭教育や親子関係に照らし合わせてみると…
- 家庭で悪口は言わないこと
- 他人に見せようと思っているうちは努力ではなく、自然と打ち込めるような真の努力をすること
- 家族に喜んでほしい、見てほしいと思う気持ちが、何かを生み出し前に進むエネルギーになること
- 子供はまず親のマネをして、そこに子供の個性が重なって、人間が形成されていくこと
王道をやり続けて、たまに予想外のサプライズをすること。私なりの考察なので、真意とは違う点もあるかもしれませんが、そこはすみません。ご了承ください。
家庭というか、広く人間関係一般において通じる気がします。
それを家庭にもいかせるのではないかと思い、もしいかすとしたらという仮定の話なのですが、私なりに思うところがあったので、考えてみました。
さて、ここまでお二人のお話を書かせて頂きましたが、ビートたけしさん、志村けんさんに共通している点もあるのではないでしょうか。
「一つの形を見本として見せること。それは他人が求めているものだから、カリスマ性が生まれる。それを見た人は、マネしたり、解釈したりして、個をつくっていく。それは意識的な努力というより、自然な摂理。ただ、そこで人を絶えずひきつけるためには、ときに良い意味で予想を裏切ることが必要である」
私はそのように受け取って、教訓とさせて頂いております。
たけしさんも、志村さんも、カリスマです。
教えて頂いたことを自然と取り入れて、今の自分がいます。
そういう人は自分も含め、たくさんいらっしゃると思います。
さらに共通しているのは、良い意味での“裏切り”をあえて上手く活用しているということではないでしょうか。
たけしさんが「真逆の言葉を2つ並べる」とおっしゃるのも、志村さんが「ベタをやり続けてたまに裏切る」とおっしゃるのも、良い意味でも“裏切り”ではないかと思うのです。
悪い意味での本当の裏切りはしてはいけません。信用を裏切るような行為は人を傷つけるから。
そうではなくて、ここでいう?“裏切り”とは、予想していなかったものを提供するということを指します。
予想をこえるものが突然くると、「え、どういうこと?」といったん思考が停止する。
そう考えさせることが必要なのではないでしょうか。
それはスパイスというか、アクセントというか、ちょっとした刺激となるのでしょう。その刺激は、持続させる上では必要なもの。
家庭教育でも、親子関係でも、たまに良い意味での“裏切り”を加えることで、メリハリがついたり、波が作られたりして、「すごいな!」と思わせることができる。
そうすると、さらにカリスマ性が増して、子供や親のことを尊敬し、マネするようになって、良い親子関係が築かれていくかもしれません。
そういう良い循環が生まれるといいですね。
お二人のお話を聞いて、そんなことをふと考えてみました。
お二人とも、心から尊敬する偉大な方です。
学ばせて頂いたことを胸に、これからの何かにいかしていければ、そして何らかの形でいつか恩返しができたらと思います。
image by: Makarenko / Shutterstock
『木村美紀が明かす家庭教育の秘策』
東大在学中にタレントとして活躍した木村美紀が「学び続けたい」と励む意欲の原点は、幼少時の家庭教育にあった!ここだから言える、木村家のユニークな教育メソッドが満載!
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