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舞台に咲く京都の春。「都をどり」で日本の魅力を堪能する

先日「京の都に舞う、桜の花と舞妓衆。絢爛『北野をどり』で楽しむ古都の春」でご好評をいただいた「北野をどり」に続き、今回、無料メルマガ『おもしろい京都案内』では、今月末まで祇園甲部で開催されている「都をどり」をご紹介。芸舞妓たちの艶やかな舞は日本の誇りでもあります。みなさん、ぜひ一度ご自身の目でご覧になってみてくださいね。

祇園甲部「都をどり」(4月1日~30日)

都をどりの観覧は、京都らしい風情ただよう祇園花見小路を歩いて祇園甲部歌舞練場へ向かう時から始まります。祇園甲部の紋章が入ったかわいいぼんぼりが京町家のお店の軒先などの至る所に吊るされていて都の春を感じることができます。

甲部歌舞練場は建仁寺の北門のすぐ側で祇園という賑やかな場所と京都最古の禅寺で禅の聖地である建仁寺に挟まれています。歌舞練場に入るとその年に舞妓さんたちが着る鮮やかな青色の総をどりの衣裳と帯が展示。この着物は都をどりの時だけに着る着物で手描き友禅帯は西陣織でいずれも京都の伝統の技で作られ毎年新調されます(毎年同じもののように感じますが、柄などをよく見ると毎年違うことに気付きます)。

4,800円の茶券付き特等観覧席のチケットを購入すると目の前で舞妓さんによるお点前を見ることが出来ます。お茶席の準備ができるまでの待ち時間は歌舞練場内の庭園散歩をお楽しみ頂けます。季節の花や木々、池や茶室など自然あふれる佇まいが心地良い伝統的な日本庭園です。

image by: Wikimedia Commons

お茶席では芸妓さんによる立礼式(りゅうれいしき)のお点前の様子を見ながらお菓子と抹茶が頂けます。立礼式とは、椅子に座ってテーブルの上でお点前をする様式です。運が良ければお点前を披露した舞妓さん自ら運んできた抹茶を頂けるかも知れません。お菓子と抹茶を頂いた後、団子皿は記念品として持ち帰ることが出来ます。売り物ではないのでとても貴重な思い出の品となります。

都をどりの起源は?

都をどりは明治維新により首都が東京に移り京都が衰退していくときに、このままではマズイと始まったのがきっかけです。京都市は当時京都の街にもう一度活気を取り戻そうと京都で初めての博覧会を開催しました。その時余興として万亭(今の花見小路にある一力茶屋)の杉浦次郎右衛門と京舞井上流の井上八千代が企画したものでした。当時京都府知事だった槇村正直が作詞をし、振り付けを3世井上八千代が担当しました。明治5年3月13日から5月末までの80日間7組7交代制で出演したそうです。これが都をどりの始まりです。

翌年に行われた第2回からは花見小路に新設された歌舞練場で開催され以降毎年春に開催されるようになりました。それから今日まで都をどりは大成功を治め国内はもとより海外からもチェリーダンスとして人気を博しました。伝統と格式の舞は今年で144回を迎えます。

都をどりは京都の5花街のひとつである祇園甲部が毎年祇園甲部歌舞練場で4月1日4月30日まで開催します。都をどりの演目は京都の名所を四季をテーマに紹介するような構成になっています。

「都をどりはよ~いやさ~」という掛け声とともに左右の花道から鮮やかな青色の揃いの衣装をまとった芸舞妓さんが登場します。数十名が一同に扇子を持って登場する瞬間は圧巻です。鮮やかな青の着物に赤い帯がとても映えます。正面の舞台は江戸時代から使われてきた銀襖(ぎんふすま)で、前で華やかな衣装で舞う芸舞妓さんの美しさが一掃際立ちます。

舞台は全8景で、初演から一貫して全国各地の春夏秋冬を長唄などで紹介しながら舞で表現します。春夏秋冬の場面が一通り終了すると一瞬暗くなり再び眩しいほどの春の場面・フィナーレとなります。フィナーレは桜が咲き誇る舞台で出演者全ての芸舞妓さんが艶やかに舞い踊ります。京舞の技を極めた芸舞妓さんの日々の鍛練が満開に咲き誇るさまは、まさに感動のフィナーレです。

image by: Wikimedia Commons

休憩はありませんが、約1時間我を忘れ釘づけとなることは間違いなしです。最も手軽に一流の舞や芸に触れることの出来る極上の時間です。動く芸術品である芸舞妓さんが繰り広げる舞や三味線、長唄などは非常に素晴らしく必見です。これだけの沢山の芸事を日々習得しているのかと思うと彼女たちへの見る目がガラリと変わるはずです。

何度観ても彼女達の華やかな姿を支えている日々の厳しい稽古の日々のことを思い出さずにはいられません。早朝から夕方まで数十もある習い事に精進し、夜は深夜までお座敷に上がるという厳しい世界です。そんな一生懸命生きている彼女達の舞う姿は見事に決まっていてとても感動的です。

都をどり公式ホームページ

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: Wikimedia Commons

 

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