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ワガママ女子中学生の意識をガラッと変えた「仮設住宅」の一夜

熊本地震に関するニュースが連日報道されていますが、一方で今なお仮設住宅での生活を余儀なくされる東日本大震災の被災者の方々も多いのが現状です。メルマガ『異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』の著者である加藤健二郎さんは、先日宮城県の仮設住宅で催された復興イベントに参加した際、同行した反抗期真っ盛りの女子中学生が仮設住宅でわずか一泊したことで「自分がいかに恵まれているか」を痛感したと話したことに驚かされたそうです。

ワガママ少女の被災地勉強

ワガママ1人っ子の女子中学生を連れて、宮城県の津波被災地へ行った。東松島市の仮設住宅での復興イベントでのバグパイプ隊演奏。演奏そのものよりも交流会が重要という面もあるので、仮設住宅に1泊してワイワイ雑談会にもみんなで参加した。

ワガママ女子中学生が、仮設住宅での雑魚寝という劣悪な環境に悪態をつくのではないかと、彼女の親は警戒していた。すると、布団部屋から布団を数人で運ぶときに

「ええっ、パパ、ここで泊まるの?」

と不安そうで不満そうな少女の声。

だが、すべてのイベントが終了し、東京へ戻る車中でワガママ女子中学生が言った言葉は意外だった。

「仮設住宅に泊まって、あんな寒い夜を過ごして、初めて、仮設住宅での生活が大変だということがわかったよ。もう、5年たつのに、大変だよね」

と。

「ワタシ、自分の部屋があるっていうことがいかに恵まれてるかがわかった。自分の部屋を大事にしないといけないね」

とも。

中学卒業式直前の2016年3月中旬。パパが言うには、中学生ちゃんは、学校のことから家庭内のことからなにから、ありとあらゆることに不満だらけで、会話のほとんどが、誰かへの不満、環境や状況への不満に満ちていたという。しかし、寒い仮設住宅に1泊したことで、自分の置かれた環境への感謝を知ったのだった。

大人が知ったかぶって子供に押し付けようとする教育がなんと無力であてハズレなことが多いのだろうか。両親が、何年間もかけて教育できなかった「感謝というものをワガママっ子が知るのは「寒い仮設住宅に1泊によってだったのだ。これだけでよかったのである。

ただ、女子中学生にとっては「もう5年なのにこんな寒い生活」というのが重かったという。年月が経つことによって、被災者の大変さを忘れ、話題性として価値を失う、という話題がちまたで言われてる中、中学生にとっては「まる5年も経過してるのに・・」ということが、逆に大きかったのだと。被災地がホットテーマだったころに体験1泊をしたとしても、あまり効果がなかったのかもしれない

ということは、大人たちの知ったかぶり目線で「年月の経過とともに忘れ去られてゆく」という感覚そのものが実は間違っていて、その言葉が、忘れさせる先入観として作用してしまっているだけかもしれない。

ボランティアで何週間も被災地入りしていた人たちも、

「いつまでも被災地ばかりにかかりっきりになってはいられない」

と、意図的に被災地を忘れようとする。自然に忘れてゆくのではなく、意図的に意識の外に出すのだ。

で、話はワガママJCに戻るが、性格は、ワガママ中学生なので、被災地の人に同情はしても、彼らのためになにかしてあげたい、という発想になどならないところが、偽善者でなくてなかなかよろしい、とカトケンは言ってあげた。そんな優等生的な理想論を持ってしまうと、かえって、具体的になにもできなくなったり自分が悩みを抱えたりと不幸な方向へいっちゃうかもしれない。それよりも「自分の環境に感謝し、自分の部屋を大切にする」・・・、ワガママ娘のこんな言葉聞いたら、パパどこかで隠れて泣いちゃってるかもね。

善人や優等生は不幸を感じてしまいやすいが、ワガママっ子は、幸福を感じる能力に秀でているのかな。

 

 

異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで

著者/加藤健二郎
建設技術者→軍事戦争→バグパイプ奏者、と転身してきてる加藤健二郎の多種多様人脈から飛び出すトーク内容は、発想の転換や新案の役に立てるか。
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