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あなたが不倫すれば…奥さんはこんな法的手段で相手を追い詰める

いつの時代も悩みが尽きない「男女の仲」。今回の無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』に寄せられたのは、夫に不倫されてしまった奥様からの相談メールです。件の不倫相手に慰謝料をきちんと全額払ってもらうにはどうしたらいいのか、法律の専門家がわかりやすくアドバイスします。

不倫の示談書で何か不都合な点はありますか?

相談

旦那が約半年不倫をしていました。証拠を揃え、不倫相手に慰謝料を請求しました。相手は弁護士を立ててきて相手との直接のやりとりはありません。

早く決着を付けたく示談50万で合意予定ですが、弁護士から貰った合意書で私が不利益になることはないでしょうか?

合意内容としては、

  1. 乙は甲に対し、乙が甲の夫である〇〇氏との間で不貞行為に及んでしまったことにつき、深く反省し謝罪する。
  2. 乙は甲に対し、前条の謝罪の意を示すために解決金として金50万の支払い義務かあることを認め、これを〇月末日までに、甲が指定する銀行口座に振り込んで支払う。振込手数料は乙が負担する。
  3. 乙は今後いかなる方法をもって接触をしない。
  4. 甲と乙は甲と乙との間において、この示談書に定めるほか、なんらの債権義務がないことを約束する。
  5. 甲と乙はこの示談の成立過程及びその内容を正当な理由なくみだりに第三者に口外しない。

と合意書がきましたがこの合意書に署名した後に相手が、払わないという事態はありえるのでしょうか? 示談にあたり、私が不利益にならない対策などありましたら教えてください。 (20代:女性)

回答

はじめに、不倫をされた場合、相手方配偶者と性的交渉を持った相手)に対しては損害賠償請求が可能です。この際、法的構成としては不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)となるのが一般的です。

このような不倫の相手方に対する損害賠償請求を行う場合、訴訟に至る前に、ご相談者様の事例のように示談を成立させる場合も多いと言えます。

示談が成立することによるメリットは、

  1. 訴訟に至らないため、金銭的な負担が減り、手続的な負担が減る
  2. 早期の解決が図れる
  3. 示談で損害賠償請求についての合意がなされると「支払い可能な金額」を提示するため、賠償金額の「取りっぱぐれ」が少ない

などの点が挙げられます。特に、今回のケースでは、ご相談者様は「示談をしたのに支払わないケースがあるのか」という点をご心配されています。この点は、3.でも指摘しましたが、むしろ訴訟に発展し、相手方が支払えないような過大な請求が認められた場合に比べれば「これで勘弁してほしい」として提示される示談の結果の方が支払いに応じてくれると考えられます。

加えて言えば、不倫による慰謝料請求はケースバイケースです。離婚や別居せずに、現在の旦那様と婚姻関係を継続している場合、離婚や別居した場合に比べると、金額が低くなる傾向がありますが、それでも数百万円の慰謝料が訴訟で認められたケースもあります。手間やコストをかけて訴訟で解決するか、先方が払える金額で早期の解決を図るか検討が必要でしょう。

ただ、注意点としては期日通りに支払われない場合を想定することです。この場合、示談書を基にして「金銭を支払え」という裁判を起こさなければなりません。これを回避するために、示談書を公正証書化しておくことが望まれます。

公正証書化された示談書は、簡単にいえば判決文と同じような効果があり、「執行力」と言って、改めて訴訟提起することなく、預金口座を差し押さえたりする力を持てます。

具体的には、条項として「期日通りに支払わない場合、強制執行されることについて一切の異議を留めない」といった「強制執行認諾文言」を記載してもらい、相手方弁護士に対して「公正証書化してください」と申しつけるようにすればよいのではないかと考えられます。

そのほかの点は、不倫における示談項目としては適切なものではないかと思われます。もしご心配であれば、不倫などの家庭内トラブルに明るい弁護士に、提示された示談書を持参の上、法律相談をしてはいかがでしょうか? 法律相談だけであれば、30分5,000円程度で済みますし、示談の内容についても適切かどうかのアドバイスを受けられてコストパフォーマンスは高いのではないかと考えられます。

[関連情報]:不倫を清算する時の示談書をどのように作成するか?

image by: Shutterstock

 

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