身近で起きるケガや不調があったとき、病院に受診する前に応急手当てをしますよね。
あなたは「応急処置の基本」ができているでしょうか?
ケアの基本を踏まえていれば、身体の自然治癒力を活かした、正しい措置をとることができます。
応急処置の基本 :ケガ直後のケア
「RICE」という言葉を知っていますか?
捻挫や打撲など、ケガ直後のケアの基本を示す略語です。転んでケガをした時に、知っていれば慌てずに済みます。
Rest(安静)
なるべく安静に。時にはテープや包帯で固定することも必要になります。
Icing(冷却)
氷のうや冷感シップなどで患部を冷やします。炎症の広がりを抑えます。事故後30分以内が効果的です。
Compression(圧迫)
腫れや内出血を最小限にするため、包帯などで軽く圧迫します。強すぎや長時間の圧迫は、血液循環を妨げてしまうのでNGです。
Elevation(持ち上げる)
腫れや内出血などを防ぐため、患部を心臓より高い位置に上げると、血液やリンパ液の流入を抑えられます。足首や膝なら台の上に乗せるなどしましょう。
応急処置の基本 :湿潤療法(しつじゅんりょうほう)「モイストヒーリング」
擦りむいたりした患部を、消毒しないで洗浄するだけで、患部を湿ったまま密封する、傷のケア方法です。
細胞の成長や再生を促す成分が含まれる体液(傷口から出てくる透明な液体)を傷口に保持することで、本来人間が持っている自然治癒力を使います。
傷を消毒すると、傷を治そうとする働きも殺すことになり、かえって治りが遅くなってしまうことから、湿潤療法が今、注目されています。
ケース毎の応急処置法
以上のポイントを踏まえて、ありがちな、いくつかのケースを考えてみましょう。
1.転んで擦りむいた!
まず洗浄をします。ケガをした部位には砂やゴミなどが入っていますので、洗浄しておかないと、皮膚の中に残ってしまう恐れがあります。よく流水で流してください。
洗浄した後は、市販の湿潤療法用のばんそうこうを貼っておきましょう。
出血が多かったり、化膿していたり、患部が熱を持っているなら、病院へ受診しましょう。
2.火傷した!
やけどの初期対応は、ひたすら冷やすことです。
服の上から熱湯などがかかった場合は、服の上から冷やします。脱がそうとすると皮膚まで剥がれてしまうことがあります。
やけどを負った後、水ぶくれができることがあります。これは、つぶさないでください。水ぶくれは、まさに自然の湿潤療法です。もし、つぶれたり、つぶした場合は、洗浄後、市販の湿潤療法用の絆創膏を貼ってください。
3. 鼻血が出た!
鼻血を止血するには、まず衣服をゆるめて椅子などに座りましょう。
その後、綿やガーゼを丸めたものを鼻に詰めて、小鼻を両側からつまんで10~15分くらい圧迫してください。
4.目にゴミが入った!
目にごみや異物が入ったら、絶対にこすらず、瞬きで涙と一緒に流すか、水を張った洗面器に顔をつけて、瞬きをしてください。
ガラスなどの破片が入った場合は、ハンカチやガーゼなどで小さな円座を作り、目の周囲に当て、その上から両目を包帯で覆います。片眼だけだとケガをした方も動かしてしまうので、気をつけてください。
薬品や洗剤が目に飛んで入ったら、すぐに洗眼です。目を下に向けて、流水で流します。
いかがでしたでしょうか。
あなたの身の回りに起こるかもしれない急場で、ぜひいかしてみてくださいね。
執筆:井上 愛子(保健師、助産師、看護師、保育士)
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師、助産師、看護師、保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
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