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損得だけの人付き合いはダメ?悩める読者に石田衣良が大胆アドバイス

作家・石田衣良さんが親切にお悩みに答えてくれるメルマガ『石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」』。今回は人間関係を損得だけで考えてしまうという読者の方からの相談です。たとえ気が合わなくても、自分に「利」がある人とだけ付き合ってきた結果、「本当に気が合う人がいない」と嘆いているようです。酸いも甘いも噛み分けた石田衣良さんが出したアドバイスとは?

損得勘定で人と付き合ってしまう自分が情けない

Question

私は人と付き合う時に損得で考えてしまうところがあります。「この人と仲良くなれば面倒なことをやってくれそう」とか、「このグループに入っていれば目立てそう」とか。付き合っていく中であまり合わないなと思っても、付き合いをやめる事もできません。本当に気が合うなと思う人がいないような気もします。そんな自分が情けなくなります。

 

石田衣良さんの回答

ぼくね、これ決して悪いことじゃないと思うんですよ。なので徹底してみたら? もう損得だけで人間すべて見て、やり尽くしてみたら。そしたらある日、「なんかもう面倒くさい」ってなると思うので。いいじゃないですか、企業も友人も就職先も、一生の決められるところを全部損得で選んだ上で、さて何が残るのかっていうことで、実験してみたら。ちょっと人生が楽しくなると思うのでやってみてほしいんだよね。

実際そこそこ得すると思うし。べつに経済的な問題だけで選んでもいいよね? ぼくたちの今の考え方って、「仕事のやりがい」とか「一生かけて好きなことをする」みたいなところに振り過ぎているので。そうじゃなくてもちゃんと生きられるんだよっていうのを見せてほしいね。

だって、「昼間ちょっと働いて生活を立てて、あとは自由時間でいいんだ。家族や自分の趣味を大事にするんだ」っていうのも立派な生き方なので。自分の得することだけ考えて、全部損得で選んだ上で幸せになれる可能性も高いもんね。しかも心の中で、「自分はそういうずるい人間だ」って責めているところがまたいいじゃないですか。そこのところは、あなたはなんか見込みがあると思います。

本当にひどいやつってそんなこと何も考えないから。「世の中は全部金だ」と言って、恥じることもなくそっちに突っ込んで行く人がたくさんいるので。そういう人に比べたらあなたは全然いいところがあるので、てらいなく損得でやってみて、それ以外で残ったものがあったなら、ひそかに大事にして志高く生きていけばいいんじゃないですか。

source: 石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」

image by: Shutterstock

 

石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」
著者:石田衣良
本と創作の話、時代や社会の問題、恋や性の謎、プライベートの親密な相談……。
ぼくがおもしろいと感じるすべてを投げこめるネットの個人誌です。小説ありエッセイありトークありおまけに動画も配信。週末のリラックスタイムをひとりの小説家と過ごしてみませんか?メールお待ちしています。
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