ドラマなどでよくある、バシャっとコップの水をかけるあの行為。実際にやってしまったらどうなるのでしょうか。今回の無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』に寄せられたのは、迷惑行為を繰り返す輩に水をかけてやりたいのだけれど、罪に問われる可能性は? というご相談です。現役弁護士はどう見る?
不法侵入者に水をかけたらどうなりますか?
□相談□
マンションの入口付近に設置されている階段やスロープに勝手に入ってタバコを吸う輩がいます。管理会社から警告文が貼られてもまったくの無視です。
そんな連中に水をかけたら、傷害罪? 暴行罪? になるのでしょうか。 (40代:男性)
□回答□
刑法208条に規定される暴行罪は、「暴行を加えた」者が処罰の対象となります。ここで言う暴行とは、具体的には「不法な有形力の行使」一般を指すものとされます。したがって、水をかけたりする行為も含むものと考えられます。そのため、不法侵入者に水をかけた場合、(警察による捜査がされるかどうかはわかりませんが)刑法上は暴行罪が成立すると考えられます。
一方、暴行を加えた結果、相手が受傷した場合には刑法204条に規定される傷害罪が成立する可能性があります(相手に対して暴行しようと考えてした行為の結果、意図せずして受傷した場合は傷害罪が成立します)。ここで言う受傷とは「医療機関における治療を要する(加療◯日などと表現されたりします)程度の傷」であれば受傷と認定されます。
水をかけることで受傷することは考えづらいですが、「水をかけられたことで精神的にまいってしまい、うつ病と診断された」という事態になれば、傷害罪の成立もありえます。実際、騒音を出し続けた結果、精神的疾患となった事例で、傷害罪の成立を認めた裁判例もあります(最決平成17年3月29日)。
上記のように、水をかける行為は刑法上の罪が成立しえますので、ぜひ思いとどまってください。お怒りはごもっともだと思いますが、マンションの管理会社と連携して、警備を強化したり、スロープや階段付近に入られないように防護扉を設置するなど、マンションの管理や修繕を通じて対策をされることがベターではないかと考えられます。
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