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ベビーカーは悪者なのか。電車内で見たケースから考える「寛容」の心

ネット上などで今も続く「ベビーカー論争」。確かに「ちょっとこれは…」と思ってしまうようなケースもありますが、「それをネットで拡散しても、いたずらに『不寛容』を広めるだけ」と無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんは言います。今回は廣田さんが実際に遭遇したシーンを紹介しつつ、一人ひとりができる「心配り」について考察しています。

電車の中のベビーカーと杖

こんにちは! 廣田信子です。

先日、ちょっと難しい場面に遭遇しました。

電車にベビーカーをそのまま持ち込むことには、いろいろ論争があります。私は、子供を連れての外出、ベビーカーは必需品ですから、持ち込めるようになってよかったと思っていますし、ベビーカーで乗車した方が、周りに冷たい目で見られないようにと願っていますが…、最近、外国製のすごく大きなベビーカーがあるんですね。かなり大きいので、混んでいる車内にあるとかなり邪魔です(笑)。

私が遭遇したのは、そのベビーカーに乗っていた1歳ぐらいの子どもがかなり機嫌が悪くて泣いているので、お母さんが抱っこして、優先席の入り口側に座り、その前にデーンと荷物満載のベビーカーがある状態です。

お母さんは、赤ちゃんの泣き声が周りに迷惑かけているのを気にして必死で赤ちゃんと格闘しています。

そうしたら、そこに杖をついた半身にマヒが残っているような高齢者の方が乗車してこられました。優先席の真ん中は空いているので、お母さんは、その方に気づきましたが空いている席に座ってもらえばいいと思って、体を端に寄せて赤ちゃんを抱っこしながらベビーカーがじゃまにならないようとポールにぴったりつけています。

実は、つい最近、骨折した友人から、足が不自由で杖をついている状態で、つかまるところがない真ん中の席って座れないのよね~と聞いたばかりなので、もう気になって、気になって。

その状態では、の高齢者の方は、ベビーカーが邪魔でポールにつかまることもできませんし、もちろん、空いている真ん中の席に座ることもできません。

私も、友人からその話を聞いていなかったら、たぶん、席が空いているのに座らないのは、すぐ降りられるのかな~と思ったことでしょう。

でもつかまるところがない車内で立っているのは本当に危なそうで、私が立っていた反対側のポール付近を少し空けるようにして、(周りの人は迷惑だな~と思ったかもしれませんが…)その方が手を伸ばしてポールにつかまれるようにしたのが精一杯でした。

瞬間、いくら電車にベビーカーを持ち込めるようになったからと言ってこの時間帯に、この大きさのベビーカーを持ち込むのはどうかな~と思っている自分がいました。

その直後、いえいえ、きっといろいろ事情があったんだろう。子どもが泣いているというのはどこか体の具合が悪くて、緊急で病院に行かなくてはならなかったのかもしれない。それに、周りに迷惑をかけているのではと一番気にしていたのは本人だろうし…と思い直しましが…、ハンデがある状態の人もできるだけ自由に安心して外出できる社会にしていこうというのはすばらしいことですが、こうやって、2つの問題が重なってしまった場合どうすればいいのか…と考えてしまいました。

後から考えると、そのお母さんが座っているのと反対側の優先席のポール側に座っている高齢の方に、「すみません、反対側の空いている真ん中の席に移ってもらえませんか? この方はつかまるところがないと座れないようなので」と言えばよかったのか~。でも、その方だって、事情があってその席に座っているかもしれないし~。

難しいですね。そういう一言で人を傷つけることもあると思うと。できるだけ、いろいろな事情がある人の状況を知り気持ちを察することを心がけるしかないですよね。

で、優先席の真ん中が空いていても、つかまるところがないと座れない人もいるということはぜひ多くの人に知っておいて頂きたいです(私も知ったばかりで生意気ですが)。

そして、電車に乗る時のベビーカーはあまり大き過ぎないものにして、ベビーカーの置き場は優先席付近は避けるということかな~。で、子供がぐずったときのために、抱っこバンドは必ず持っていてほしいです。

そうやって、少しずつ自分ができる気配りをしながら、それぞれの許容性の枠を広げていくんでしょうね。

私が遭遇したこの状況、へたすると、こんな非常識な人がいたって、ネットで拡散して、ベビーカー論争になることもあり得ますよね。でも、そういうことにはまったく意味がないのです。「不寛容」を拡散させても何も生まれませんから。私たちが目指すのは、それぞれが心を配り合える社会なのですから!

image by: Shutterstock

 

まんしょんオタクのマンションこぼれ話
マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。
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