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本や音楽は「ごった煮ビュッフェ」時代へ。それでもコレなら選ばれる

Amazonの電子書籍読み放題サービス「Kindle Unlimited」が注目を集めています。これ以外にも「月額料金を払えば○○放題」というサービスが続々登場しています。これからの時代、商品は「単価」ではなく「ブランド力」が重要になってきそうです。メルマガ『ビジネス発想源 Special』に、無数の商品の中でも存在感を示し、支持される商品を生み出すためのヒントが記されています。

ごった煮ビュッフェの時代

Amazonの電子書籍読み放題サービスKindle Unlimited」が始まりました。

980円を払えば、対象の電子書籍を好きなだけ読み放題というこのサービス。

これまでにも、月額で聴き放題の音楽サービス月額で視聴し放題の映像サービスなど、どんどん「使い放題のサービスは増えてきましたが、それが書籍の世界にも及びました。

これはすなわち、書籍の分野でも「ごった煮のビュッフェスタイル」が始まったということです。

「ごった煮のビュッフェスタイル」とは何かというと、「何もかもがごっちゃに混ぜられる」ということです。

音楽も映像も書籍も全てそうでしたが、これまでは、クリエイターやメーカーが作ったものは単価が付けられて販売されていたものが、今は、自分とは関係ない人たちが作ったものと一緒に混ぜられる時代になったということです。

ビュッフェの食材と同じことです。

自分はプリンを製造するメーカーで、これまではプリンをお店に卸していて、そのプリンのファンが直接、お金を出して買っていた。

それが、食べ放題のビュッフェでたくさんの料理が並ぶうちの一品になるということです。

そのプリンを手にする人は、今度は別にプリンのファンでもない人で、

「別に甘いものが好きではないけど、どうせ食べ放題なんで、取ってやるか」

という全く愛のない人が一口だけ食べて捨てる、そんな人も許容しなければならなくなります。

その人がお金を払っているのはあくまでもビュッフェ全体に対してであって、そのプリンは、ビュッフェの豪華感を演出するための一つに過ぎないという存在になります。

Kindle Unlimitedもまさにそうで、一生懸命作った本を、今まで気になる人が1,500円で買ってくれていたのに、今度からはそれ以下の金額で別に読みたくもない人がダウンロードするようになった、というわけですね。

そうなってくると、「今まで苦労して本を作っていたのは何だったんだ」という筆者や編集者も、多く出てくるでしょう。

もちろん、「そこに参加しなければいいじゃないか」と思われる方がほとんどだと思いますが、参加するかしないかを決められる権限を持つのはあくまでも最終的な権利を持つ人間です。

例えば音楽で言えばレコード会社、映像で言えばテレビ局、書籍で言えば出版社で、その制作者や関わった人たちは、何も言えずに決められてしまうことがほとんどです。

そして、こういう流れは創作物だけでなく、もしかしたらあらゆる業界に当てはまるかもしれません。

例えば、飲食店が参加する野外イベントなんかでも、飲食店がその都度一皿ずつ売るのでははなく、そのイベントの入場チケットさえ買えばどの店でもどれだけ食べても食べ放題、なんていう形式の企画もだんだん増えています。

商店街全体の共通割引チケットなどがありますが、それと同じように、一括のプリペイドチケットとか参加チケットを事前に買って、どの店に行ってもそれと引き換えに商品を受け取ることができる、なんていう形式も一般的になるかもしれません。

メーカーでも、作っている製品が知らないところで福袋の中に他社製品と一緒に混ぜられていたり、抱き合わせになっていたりするケースもよくあります。

もう、どんどん世の中が、「ごった煮のビュッフェスタイルが当たり前になってきて、たくさんの品数の一つとして使われるだけ、というのが普通の時代になるでしょう。

結局、商品の単価の意味がそれほど大きくなくなってくるということです。

単価は、必要経費に利益を上乗せして算出しますが、「だから単価はいくらです」ということはもう他社にとってはどうでもいいことになってきて、「全部セットにしていくら」という一要素にしかならない、ということになります。

そんな時代には、単価の意味はそれほどなくなり、単価とはまた別の価値が重要になっていきます。

それが、ブランド価値と言えるのではないでしょうか。

例えば、そんなビュッフェスタイルのビジネスの場で、多くの会社は「なんとかそこに参加させてもらう」という立場なのに対し、

「御社に参加していただけると、すごく広告塔として助かるんですよー」

と、場を仕切る者からお金を積まれて懇願されるような、圧倒的な信頼度

「御社の商品だけが目当てで、その場を利用するお金を払ってるんですよー」

ファンがつくような、圧倒的な商品力

そのように、「ごった煮のビュッフェスタイルの中でも目立ちまくっているほどの存在感がなければ、脆く消費されて終わりという儚い経営になるでしょう。

それだけの力を持ってようやく、そういう「ごった煮」のおトクなサービスから独立しても生きていける余裕ができます。

「ごった煮のビュッフェスタイル」の中に埋没してしまうような時代になった時に、自社はどのようにして生き延びることができるのか

それだけの力を持てるだけの準備を今からきちんと取り組んでいるか。

よく対策を練っておきたいものです。

 

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image by:shutter stock

 

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