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「風邪ひいたら風呂入るな」は迷信? 医師が是非を科学的に解明

元『旅行読売』編集長・飯塚玲児さんのメルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』、今回は温泉ではなく毎日入る家のお風呂の話です。よく昔から「風邪を引いたときは風呂に入るな!」と言われたものですが、果たしてそこに科学的根拠はあるのでしょうか? 飯塚さんは、温泉療法専門医の早坂信也氏の発表した「体温と入浴の関係性についての研究結果」を紹介。迷信なのか?はたまた真実か?

風邪を引いた時の入浴は是か非か?

この話、以前このメルマガでも取り上げたような気がしたのだが、過去の号を見直してみても、見つからなかった。 ので、改めて話題にしたい。

僕が子供のころは「風邪を引いたときには風呂に入るな」と言われて育った。

が、以前、温泉療法専門医の早坂信也先生の本を読んだとき、高熱の急性期のような状況ではないのであれば、さっと入浴することは体も温まることだし、さっぱりして寝付きもよくなることもあり得るので、状況次第で入浴は問題がない、というようなことが書かれてあり、へぇ、と思ったことがある。

で、その早坂先生のお話なのだが、先生が所長を務める温泉医学研究所の調査で、高血圧と発熱時の高齢者は、入浴事故のリスクが高いという科学的根拠が示された。

同研究所の発表によれば、

「これまで訪問入浴等、介護保険が適用される入浴サービスでは、血圧値や体温値等の科学的根拠に基づく入浴の可否判断基準はなく、介護者の経験によって判断されてきましたが、本調査により今般初めてその判断に資する参考値を示すに至りました」

さらに、同研究所が所属している(一財)日本健康開発財団のリリースでは、

「訪問入浴事業所として登録される全2,330か所の事業所に対して訪問入浴に関連する事故・体調不良(以下、入浴事故)の発生を調査し、596例の入浴事故を解析しました。 (事故事例平均82.3歳)」

とあって、さらに調査結果として以下のように発表している。

■調査結果(統計学的に有意)

(1)高血圧時の入浴は事故発生のリスクが高い

・入浴前の収縮期血圧が160mmHg以上であることは入浴事故の発生と3.63倍*の関連があった(101-129mmHgを基準とした場合)。

・入浴前の拡張期血圧が100mmHg以上であることは入浴事故の発生と14.71倍*の関連があった(61-84mmHgを基準とした場合)。

(2)発熱時の入浴は事故発生のリスクが高い

・入浴前に体温37.5℃以上であることは入浴事故の発生と16.47倍*の関連があった(36.0-36.9℃を基準とした場合)。

と書かれている。 まさしく画期的な医学的エビデンスである。

むろん「当結果は入浴可否判断の絶対的な基準ではなく、最終的には個別に判断されるべきものです」と断りがある通り、目安ということだが、それでも「血圧の特に下の数値が100以上の場合はリスクがとても高い」「発熱時の入浴も大変リスクが高い」ということは類推できる。

僕は幸い、血圧はほぼ正常で、上が130強くらい、下は80ないくらいだが、風邪気味で微熱があるな、と思うと激アツ湯に入りたくなる。 今後は自重しようと思う。 皆さんも、お年寄りでなくともお気をつけ下さい。

ちなみに、血圧の急激な変動を抑えるためにも、入浴前のしっかりした「かけ湯」が本当に大切なのです。

 image by: Shutterstock.com

 

『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』より一部抜粋

著者/飯塚玲児
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