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元『旅行読売』編集長が温泉付きビジネスホテルばかり取材する訳

元『旅行読売』編集長・飯塚玲児さんのメルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』。今回は当メルマガの人気コーナー「ビジネス温泉」の連載を始めた理由について。ビジネスホテルなのに天然温泉があるという、超オトクな宿ばかりを紹介しているコーナーなのですが、その連載開始の背景には「温泉ライター」という職業からくる「影の苦労」があったそうですよ。

温泉宿取材の陰の苦労

温泉ライターという職業柄、出張で温泉宿に泊まることが多い

ほう、仕事だか、遊びだか、わかんないな、などという人がいるだろうが、とんでもない。 僕が温泉宿に泊まる場合、それは徹頭徹尾「仕事」なのだ。

とりわけ、泊まる宿を取材する場合は、到着からチェックアウトまで、僕は宿の人の監視の目にさらされている。 たとえば寝る前にアダルトチャンネルを見てオナニーするなんて、とんでもない話である。

ゴミ箱に残ったティッシュの塊を見つけられ「あの記者ったら、仕事にきていやらしいビデオ見てたのよ。 どんなカメラマンなのやら」などと思われてしまう(わけないか)。

周辺スポットの取材で汗だくになって宿に辿り着いても、風呂に入ることも許されず、今すぐ夕食料理の撮影を、と言われることもある。

撮影が済みました、と宿の方に告げると、ではお召し上がりください、ということになるが、酒を頼んでいいものか、これまた悩ましい。 大酒飲みなので、「仕事に来てよく飲むわねえ」などと思われてしまう可能性が高い。

翌朝、僕は布団を整えてから風呂に出かける。 というのも、僕がいない間に仲居さんが布団上げにきて、シーツがくしゃくしゃだと「まったく、だらしがない記者さんだこと」などと思うかもしれないからだ。

かくのごとく温泉ライターの出張は楽ではないのである

それに比べ、一般サラリーマンが出張で宿泊する場合というのは、その日の仕事が完全に終わってから、自分で選んだ宿に入ることができる。

これが非常にうらやましい。 シャワーを浴びて夜の街に繰り出し、一杯飲んだあとでエッチな店に行っても、誰も咎めない。 部屋でも自由にエッチビデオを見られる。 くっそー。

話が飛躍してしまった。 宿が自在に選べるという話だった。

で、もし出張に行って、ビジネスホテルに天然温泉が湧いていたら……いいと思うでしょう? そういうワケで「ビジネス温泉」の連載を始めたのである。

もはや常宿になっている山梨県湯村温泉・湯村ホテルB&Bは、甲府駅からバスでわずか15分の温泉郷に立つ快適なホテル。 男女別内風呂&露天風呂、さらに宿泊者専用の露天風呂があるが、いずれも加水なし、加温なし、循環なしの100%天然温泉。 湯船はどれも大きくはないが、正真正銘のかけ流しを保つためにはこの小ささである必要があるのだ。

泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉で源泉は約42度。湯は、冬は温めで夏は熱い。 これぞかけ流しの本物の温泉。素泊まり、朝食付き、2食付きが選べて、非常にリーズナブル。

ちなみにこの宿、ネット予約で割引券を出すと10%オフになるが、領収書は正規料金で出る。 出張旅費精算のとき、安い昼飯代くらいは浮くわけだ。ただ、これは業務上横領かもしれない。 ま、金額はすごくかわいいもんだが。

最初の話に戻ると、もはや僕はこの宿ではだらしがないことができない。宿のご主人を見知っているというのは、それなりに気も遣うのである。

で、そういう宿が、僕には全国にあるというわけ。 温泉ライターというのも因果な商売だなぁと思ったりして。

 image by: Shutterstock.com

 

『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』より一部抜粋

著者/飯塚玲児
温泉業界にはびこる「源泉かけ流し偏重主義」に疑問を投げかけた『温泉失格』の著者が、旅業界の裏話や温泉にまつわる問題点、本当に信用していい名湯名宿ガイド、プロならではの旅行術などを大公開!
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