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まるで数学的な美しさ。鳥の羽ばたく「軌跡」を捉えた連続写真

みなさんは「Crhonophotography (クロノフォトグラフィ) 」という言葉を聞いたことがありますか?いわゆる「連続写真」のことで、19世紀に生まれ、異なる動きのフレーム(例えば馬が走る動作や猫が落下する瞬間など)を何枚もの写真に記録して、ひとつの「映像」にするという、「動画」の原形にもなったものです。この昔の技術を応用した「Ornitographies」がいま話題になっています。

クロノフォトグラフィを進化させた現代アート、Ornitographies

クロノフォトグラフィのパイオニア的存在である写真家Eadweard Muybridge氏の代表作のなかに、「疾走する馬の連続写真」があります。

1878年に撮影に成功した本作品は、ゴムやスプリングを用いたシャッターで撮影され、当時常識とされていた、馬の前足は前方に、後ろ足は広報にそれぞれ伸ばして走るという概念を一掃し、連続写真を用いて動的錯覚をもたらしたことで衝撃を与え、喝采を浴びました。

これに触発されたトーマス・エジソンはのちに映写機キネトスコープを発明します。

これがシネマトグラフという連続写真の技法につながり、映画が誕生するわけです。

こちらがEadweard Muybridgeの「疾走する馬の連続写真」。

写真なのに、動画に見えますよね。

Muybridge氏にインスパイアされたスペインの写真家Xavi Bou氏は、自然世界での鳥の動きを記録しようとしました。

それを実現するために、彼は日没の美しい風景のなかを飛行する野鳥の群れを一定の時間で何枚も撮影し、それらの写真を合成して1枚にしています。

image by: Xavi Bou (Talenthouse 公式フェイスブック

image by: Xavi Bou (Talenthouse 公式フェイスブック

image by: Xavi Bou (Talenthouse 公式フェイスブック

image by: Xavi Bou (Talenthouse 公式フェイスブック

image by: Xavi Bou (Talenthouse 公式フェイスブック

空想の「螺旋」のように見えますが、すべて実在する」です。

幼い頃に祖父の影響で写真を撮り始めたBon氏は、特に鳥の生態に興味関心を抱いていたそうです。

それがきっかけとなり、今回のプロジェクトが生まれたわけですが、彼がインスパイアされたクロノフォトグラフィとの決定的な違いは、動物の動きの不規則さ」です。

科学的なアプローチに基づいたMuybridge氏らのクロノフォトグラフィとは異なり、研究のためではなく、自然な動きをただ追っただけのアートが観る人の想像力を掻き立てるのです。

「テクノロジー、サイエンス、クリエイティビティを合わせたものが喚起的なイメージを作り出し、それが官能的で美しい鳥の動きを描く。飛ぶことのできない私たち人間の鳥への羨望が現れている」とBon氏は語ります。

アートの世界というのはそのアーティストによっていくらでも変化し、際限なく進化するものです。

Bon氏のように自身が幼い頃から興味を持ち、それを追い続けた結果、アートとして形にできるのは、素晴らしいことですよね。そしてそれを見る人の心を豊かにします。

同じく日々進化するテクノロジーとともに、今後のさらなる進化に期待ですね。

 

image by: Xavi Bou (Talenthouse 公式フェイスブック

Source by: QuartzWikipediaYoutubelivedoor’ NEWSOrnitographies

文/貞賀 三奈美

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