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「オレたちを信用しないのか」いじめ認めず逆ギレする教師たち

いじめ被害者やその家族にとって、本来なら一番の味方であり最後の砦となるべき教育関係者たち。しかし、「いじめ防止対策協議会」を傍聴した無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』の関係者は、いじめを見過ごした教師の懲戒処分に反対する教育関係者たちの呆れた言い分と、それを突っぱねられない教育委員会の身内びいきな姿勢について厳しく糾弾しています。

「オレたちを信用しないのか」

初霜や降雪等、各地で冬の訪れが確認されています。「子供は風の子」と言われますが、子供のころを思い出すと、寒い朝はなかなか布団から出たくなかったものです。いじめに苦しんでいる子にとっては、もっと学校に行くことが苦痛になるでしょう。朝、腹痛や発熱など実際に体調を崩し、あるいは心身症などで、学校に行けない子も少なくありません。

以前もメルマガで触れましたが、滋賀県高島市の小学6年の女子児童が、同級生3人からいじめを受けて心身症で入院し、被害者側が、弁護士を立てて、「いじめ防止対策推進法が定める、加害児童の別室学習や出席停止、重大事態だとして調査する」ことなどの申し入れをし、高島市教育委員会の判断が注目されていました。

このほど、高島市教委は、「重大事態に当たるので調査組織を設置」するとはしましたが、別室学習や出席停止など加害児童への措置は拒否したと報道されています。教委は、別室学習や出席停止などの拒否理由として「入院理由の心身症がいじめによるものと認められない」ことをあげています。しかし、学校はいじめを認めていると報道され、被害者は退院したものの学校に行けない状態にあります。

いじめ防止法」では、「いじめがあったと確認された場合」で、「必要があると認める」ときには、学校は加害者の別室学習などの措置をすべきことを義務付けています。高島市教育委員会が「いじめ防止法」を無視していることは明らかです。しかし、現在の「いじめ防止法」では、この無視に対しての抑止力が働きません

このため、文部科学省の「いじめ防止対策協議会」でも、教師への懲戒処分が検討されていましたが、11月2日、「いじめ防止対策法の施行状況に関する議論のとりまとめ」が発表されました。

この中で、出席停止についても検討され、現在ほとんど行われていないことを問題視し、その対応として、教育委員会に対して出席停止を適切に行えるように支援することを明記しています。

さらに、教職員の懲戒処分についても言及していますが、残念なことに、提言での懲戒処分に関する記述は、決定前の素案よりも大きく後退してしまいました。「素案」の段階では、本文に、「いじめの情報共有は法律に基づく義務であり、…対応を怠ることは地方公務員法上の懲戒処分となり得ることを周知する」と記されていましたが、最終的な提言では、「※」を付して、「教職員がいじめの情報共有を怠り、地方公務員上の懲戒処分を受けた事例もある」と欄外に押しやられてしまいました。

私は、この最終的な提言を決める「いじめ防止対策協議会」を傍聴しました。一番紛糾したのが、この懲戒処分に関する議論でした。前回の会議で懲戒処分が検討されていることが報道されたことで、同協議会の委員たちからは、「現場の教師たちは、『オレたちを信用しないのかと怒っている」「(周囲の学校関係者たちに)『あなたが委員ならなぜ反対しないのだ』と言われた」「遺族の方も懲戒処分を望んでいるわけではないと思います」などと次々に教師側の立場からの反対意見が出されました。

唯一、弁護士の委員が、「いじめ防止法が施行されてから3年の間に起きている事実を見れば、いじめ防止法に義務づけられている情報共有を怠った場合には、地方公務員法により懲戒処分になりうることを明記すべきである」旨、発言しましたが、多勢に無勢で、「懲戒処分になりうると明記することは見送られてしまいました

最終的には、この委員が、「反対意見があるとか、事例として書くとか、残してほしい」と言ったことで、提言では、欄外に、何とか「教職員がいじめの情報共有を怠り、地方公務員上の懲戒処分を受けた事例もある」の文字が生き残ったわけです。

9月30日の「いじめ防止対策協議会」で配布された「いじめが背景にある自殺事案の御遺族からの意見」には、「いじめへの対処において、不適切な対応(法律に則った対応を行わなかった等)をとった教職員に対する罰則規定を設けること」という意見が書かれています。被害者側はひどい教師に対しての懲戒処分を望んでいるのです。当然の意見だと思います。

しかし、委員の発言を聞く限り、被害者を守ろうという姿勢は伺えません。逆に教師の立場をいかにして守るかあるいは罰則からいかに逃れるかということしか考えていないことは明らかです。ここまでして懲戒処分を逃れようとする教師たちの姿勢を目の当たりにして、「これほどまでに学校関係者が嫌がるからこそ懲戒処分が必要なのだ。効果がある」と確信いたしました。

私の隣で傍聴していた方は「話にならない」と憤慨しておられました。聞けば、お子さんがいじめで不登校になり、現在、訴訟中とのことです。教師がしっかり対応していれば、ここまで酷い状況にはいたらなかったはずです。私たちもこの現状を打破すべく、今後も、「いじめ防止法」に、懲戒規定を盛り込むことを訴えてまいります。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
井澤・松井

 

いじめから子供を守ろう!ネットワーク
「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。
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