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またも廃案の危機?「カジノ法案」の前に立ちはだかる大きな壁

日本で『カジノ』が現実味。超党派議員で『法案早期成立』に追い風」でもお伝えしたように、いよいよ日本でのカジノ解禁が現実味を帯びてきました。しかし、メルマガ『鍛野ミミの「カジノの目線で」-ここだけばなし-』の著者でカジノコンサルタント兼ディーラーの鍛野ミミさんは、カジノ法案の記事が広く報道されるようになり、多くの人たちから注目されるようになった一方で、IR関係者でも法案可決を先送りしようとする人もおり、まだ楽観視できないとの見方を示しています。

カジノ法案は本当に通過する?

カジノ法案はもともと早ければ今月9日から審議入りすると言われていました。

しかしその後TPP委員会での農水大臣の失言と強硬採決を受け野党が反発、全委員会が一旦止まってしまいました。

そして16日(水)に審議入りが再予定されていたわけです(IR議連秘書より)。

そのため、海外のメディア関係者やゲーミング業界の知人から、連絡が頻繁に入るようになり、私も16日が濃厚と伝えてきました。

実際に、Seeking Alphaで定期的にゲーミング記事を書いているHoward Jay Klein氏の記事も14日に掲載され、今日の審議入りの可能性に触れていました。

Japan Casino Bill Update:

Abe’s IR Giren Party Committee

Will Consider Bill November 16

Seeking Alpha News 2016.11.14

さて次のチャンスは18日(金)ということのようですが、審議入りすらままならないカジノ法案は今国会で本当に成立するのでしょうか?

先に紹介した毎日新聞によると与野党の足並みがそろわないのが審議入りしない主な理由です。

自民維新の両党が観光振興の起爆剤としてIRに期待」するのに対して、民進党はギャンブル依存症が増える」ことを懸念。

今まではどちらかと言うと公明党がギャンブル依存症をメインに反対をしていた流れがありました。しかし公明党が軟化、それによりカジノ法案の推進派たちが、今国会での審議入り・成立に意欲を示しているわけです。

さてここから鍛野ミミの持論を展開したいと思います。 要点は二つにします。

(1) カジノ法案の記事が新聞やネットで掲載されるようになり、注目度が増した。(ポジティブ要素)

(2) IR法の審議は過去に行われている。今の流れは目新しいわけではない。審議→成立するまで、IR推進派は脇を緩めてはならない。(予測不能要素)

(1)に関しては異論ないと思います。

実際ここ1ヵ月ほどの間で、カジノ法案の記事は様々なところで掲載されています。

これは、10月12日に開催されたIR議連総会に端を発していて、そこから一気にメディアや媒体を通じて波及していきました。

カジノを推進する者からすれば、これは追い風となっているし、大変喜ばしいことです。

「カジノ法案の記事、新聞で読んだよ」などと話題にしてくれる人、連絡をくれる人が増えてきたのも事実です(ありがとうございます)。

しかし、予測不能要素(懸念要素)は法案が実際に成立するまでは決して払しょくすることは出来ません

「勝負は下駄を履くまでわからない」ということです。

今回のカジノ法案マターは、何年も法案を見ている者にとっては目新しいものには映っていません。

実際に、過去に審議入りまでされたIR法は衆議院解散によって廃案となりました

法案が審議入りをしたからと言って必ずしも成立に結び付くという保証はないのです。

なので私としては、「法案成立」の文字を記事で見るまでは口約束の話は信じません。

約2年前、IR法の可決を期待していた地方自治体の推進派メンバーと私は廃案ニュースをスイスで耳にしました。

カジノ誘致を目指す地方自治体とのヨーロッパ型スモールIRの視察旅行中でした。

「カジノ法案がいよいよ通るかも知れない」という流れの中で実現した自治体のカジノ視察旅行。

しかし日本帰国2日前の夜、廃案ニュースを皆で聞く結果となってしまったのです。

楽しい会食が一気にトーンダウンしたのは言うまでもありません。その後の話題探しに皆躍起となり、ため息ばかりの夜となりました。

もうあの時のような思いは2度としたくありません。

このような苦い経験を過去にしているにも関わらず、IR関係者の中にはのほほ~んとした人たちがいるようで、「カジノ法案の成立は来年でいいなどと物事を先送りするクセが染みついています。

そのように考える人たちは、実際には本人のパフォーマンスほど法案成立に意欲的ではないのかもしれません。

今国会でのカジノ法案成立はあるのか、ないのか…?

結果はわかりませんが、私からお伝えしたいことは一つ。

2017年の法案成立を安易に期待することはやめませんか?

2017年1月に衆議院解散の可能性もないわけではありません。 そのように伝える人もいます。

そうなれば、カジノ法案はまた廃案です。

「鉄は熱いうちに打て」。

物事はタイミングが合うことが絶対条件だと私は考えていますが、「先延ばし精神を克服していかなければ日本のIR・カジノ、ゲーミング産業は成熟していくことが出来ません。

世界のIRトレンドから益々置いて行かれることにもなります。

私はこれを望みませんが、皆さんはいかがですか?

ぜひ今一度、皆さんの前向きなエネルギーをIR推進へ。

ポジティブエネルギーで、一気に可決までフローして行けたら日本は老若男女を包含するIR先進国になれると確信しています。

今国会の会期末は11月30日。

今後も法案の行方を見守りましょう。

image by: Shutterstock

 

鍛野ミミの「カジノの目線で」-ここだけばなし-』より一部抜粋

著者/鍛野ミミ
カジノコンサルタント。ディーラー歴25年。ラスベガスのディーラーライセンスを持ち、日本では数えるほどしかいない、海外大手カジノ事業主の「富裕層・VIPマーケティング」業務を経験した筆者が、これまで語ることのなかったカジノの「アレコレ」を発信していきます。
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