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日本の技術を活かす時。エレベーターなし団地に住む高齢者を救え

 エレベーターのない団地に住む高齢の方は、1階に空きが出た時点で住み替えるなど、階段を使わず生活できるように工夫しているとのことですが、なかなか簡単なことではありません。無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんは、団地のエレベーター設置の難しさを指摘したうえで、そんな状況の救世主になりうる「ある技術」を紹介しています。

エレベーターなし団地の救世主は?

こんにちは! 廣田信子です。

高経年団地の高齢化問題を考えるときに、避けて通れないのが、エレベーターのない階段室型団地の4・5階の問題です。高齢になったら、団地内で1階に空きが出たら住み替えるというようなことは行われていますが、それでは追いつかない問題があります。

エレベーター設置は、共用廊下でつながっていないので、階段室ごとにエレバーターが1機必要で、しかも、階段の踊り場着床になるので、半階は階段を上り下りしなければなりませんので、車椅子等の利用はできません。

完全バリアフリーにしようと思ったらバルコニー側に設置しなければなりませんが、プライバシーの問題、日照等の問題があり、住民の理解を得るのは難しいのです。そして何より、戸当たりにかかる費用の大きさと階による必要度の違いが合意形成の大きな壁となって立ちはだかります。

では、空いた5階には、子育て世帯に入ってもらえれば…と頭では考えますが、決してスラブが厚いとは言えない団地で、今まで静かに高齢者が暮らしていた上階に、元気に走り回る子供が入居するというのは、下の階の住民にはあまり歓迎されないことでもあります。

そもそも5階までの階段の上り下りって、どのくらい大変なんだろうと、最近、ウォーキングのときに5階分の階段を上り下りしてみました。下りは楽勝でしたが、最初上りはやはりかなり息が切れました。

ウォーキングシューズで荷物なしでこれですから、ハイヒールを履いていたり、重い荷物を持っていたらやはりたいへんだろうなと思ったのですが、不思議なもんで、何回か続けているうちに、階段がかなり平気になってきて、今は、途中からエレべーターも面倒で、12階分の上り下りをすることが多くなってきました。運動のためにウォーキングなのですから、階段も運動に使えばいいわけです。

世界のご長寿地域では、高齢者も坂の上り下り等、体に負荷のある運動を日常の中で行っていることが多いといいます。高齢になっても、足が丈夫なうちは階段もいい運動と考えるとしても、本当に車椅子が必要なぐらいになったら…そんなことは言っていられません。自分も、足を痛めたとき、本当に駅の階段を下りるのが地獄のように思えました。

そんなとき、どんな障害物も乗り越えて進む人工知能搭載のロボットが事故現場で活躍しているのですから、階段をスイスイ上る車椅子もあるはずじゃない? と思い、そして、次の瞬間お年寄りを乗せて階段を上がっていく車椅子型ロボットが、頭の中に現れました。で、さっそくネットで調べるともうあるんですね。

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団地の階段を自由に上り下りできるような車椅子が!

もう、すでに技術はあるのですから、あとは、どう汎用型にするかだと思います。普段車椅子を利用している人がそのまま階段の上り下りにも使えば、なんと、行動範囲が広がることでしょう。

でも、これは、高齢化団地の階段問題の解決にも使えそうです。たとえば、80戸(5階建4棟ぐらい)に一台を共有するのでも十分だと思います。

人工知能搭載で、私の空想の中ではかわいい動物型の車椅子型ロボットなんですが、普段は所定の保管場所にいて、利用者が呼びだすと、保管場所から階段の入口、もしくは自宅前まで自動で来てくれて、利用者や荷物を運び、仕事が終わったら、自分で保管場所まで戻って次のお呼びをまっている…なんていうことができそうです。この階段を上る車椅子型ロボット、きっと団地内の人気者になりそう。

もし、それが実現したら、エレベーターがない悩みの解決につながり団地の5階は新たな価値を持ちます。団地の5階に住んで、車椅子型ロボットで「お出かけ」もいいな~なんて!

技術の発達は、思わぬ方向から問題の解決方法を私たちに与えてくれるものです。団地の階段問題の解決はエレベーターじゃないかも? 私の中で、期待が膨らんでいます。

 image by: Shutterstock
 
 
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