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身内が亡くなると、預貯金が引き出せなくなるってホント?

身内が亡くなった際に発生する相続。当然ながら故人の預金も相続の対象になりますが、どの段階から支払いが停止されてしまうのでしょうか。そして再び払い戻しをしてもらうにはどうすれば? 無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』で現役弁護士が明確に回答しています。

身内が亡くなった場合の預金引き出しは可能?

□相談□

身内が亡くなった場合、故人の預金はいつから支払いが停止されるのでしょうか? 銀行に聞いたところ、葬儀費用は引き出せますと言われましたが、それ以外のケースについて詳しくは教えてくれませんでした。

また、再び払い戻しして貰うためにはどのような方法が有るのかもお答え頂ければと思います。(50代:男性)

□回答□

純粋に法律だけを考えた場合、ある方が亡くなると、その瞬間に相続が開始します(民法882条)。預金のような金銭債権は、共同相続人の共有に属するとされます(民法264条)。不動産などとは異なり、預金債権は分割が可能なお金であるため、共同相続人が相続分に応じて承継するものとされています(民法264条ただし書き、427条を参照。裁判例として最判平成16年4月20日などを参照)。

 

相続分は遺言や法律を元に算定されることになります(民法886条以下を参照。例えば、配偶者と子が2人いるケースで、故人の遺言等がなく、法定の相続分に従って分割する場合、配偶者は1/2、子は1/4ずつ相続することになります)。

したがって、一見すると金融機関に相続人のそれぞれが、相続分を示した上で申し出れば預金が引き出せそうにも思えます。しかし、金融機関実務においては相続人同士のトラブルに巻き込まれるのを避けるために、葬儀費用などの一定程度の金銭以外、相続人全員の同意がないと預金を引き出せないとする運用がなされています。

>>次ページ 銀行はどうやって死亡の事実を把握しているのか?

具体的には、

  1. 遺産分割協議書
  2. 相続人全員の戸籍謄本
  3. 相続人全員の印鑑証明書
  4. 相続人全員の署名、実印による押印がある払い戻し請求書

など一式を揃えて提出しないと払い戻しをしてくれないというのが実情です。

ちなみに、金融機関が死亡による払い戻しを停止するのは金融機関が死亡の事実を知った段階からとなります。したがって、窓口などで「●●が亡くなったので代理で引き出しにきた」などと伝えた場合、金融機関側が死亡の事実を把握することになるので(葬儀費用などを除いて)支払いが停止されることになります。

金融機関が死亡の事実を知るのは、その他に例えば新聞のお悔やみ欄や、公共料金などの口座引き落とし設定がされているところからやってくる情報などが挙げられると思われます。

仮にご一族のどなたかが亡くなられた場合、相続人間で話し合い(場合によっては調停などを経て)、遺産分割協議書を作成の上、払い戻しを求めていくことになります。実際、数ヶ月の期間を要してようやく払い戻しを受けられるというケースも少なくはありません。

image by: Shutterstock

 

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