これまでも季節ごとの夜空について、様々な情報を紹介してくださった無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』の著者・須田將昭さん。そんな須田さんが今回注目したのは「さそり座」です。『銀河鉄道の夜』にも登場するこの星座には、我々がはまりがちなある「罠」があるとのことなんですが…、それは一体!?
梅雨が来る前に…
このところ昼は爽快な青空が見えるものの、夜空はすっきりしない感じでぼんやりしています(黄砂なのかどうかははっきり言えませんが)。
街中ですと、明るい星は見えますが、暗い星はあまり姿を確認することができません。みなさまのお住いのところではいかがでしょうか?
とりあえず目を引くのがひときわ明るく輝く木星です。その近くにはおとめ座のスピカ、うしかい座のアークトゥルスの二つの一等星があり、そしてしし座のデネボラ(二等星)とで、「春の大三角」を作っていますが、それもやや見にくい星空です。
普段の帰りは夜11時を過ぎているのですが、ふと「あれ? そういえば随分とさそり座の姿を見ていないような…」と気づきました。
さそり座は夏を代表する星座ですが、南の空の低いところにあるので、高い建物が邪魔をし、また街明かりの影響が大きい都会では探しにくい星座になっています。見やすい時期も限られています。
同じ夏の星座でも、天頂付近を通る星座たち、そう、夏の大三角を作っているような、はくちょう座、こと座、わし座などは秋になっても余裕で見つけられます。
しかし低い空にあるさそり座は、真夏であっても割と早い時間帯にそうそうに沈んでしまいます。しかも夏は日の沈むのが遅いので、暗くなった頃にはもう西に傾いています。
夏の星座と思い込んでいると見逃す星座です。そしてその罠にまんまとはまっているのにあらためて気づきました。
南の空に赤く輝く星があれば、それがアンタレスです。アンチ・アレス、火星に対抗する星として名付けられた赤い一等星は、さそり座の心臓に位置します。星座の形も、釣り針のようなわかりやすい形で、とても整った形の星座の一つです。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』にも登場するさそり座、梅雨が来る前に是非一度探してみてください。
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