去る4月26日、「三菱重工」は投資家向けに開示した資料で、「営業利益が1年で半減」という衝撃の事実を明かしました。これを受け、翌27日には三菱重工株は、売りが殺到する事態に。シャープや東芝に続き、あの三菱重工さえも危機に晒されてしまうのでしょうか。Windows95の設計に携わった世界的プログラマー・中島聡さんは、自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』の中で、いま同社で起きている「異常事態」を列挙しています。
私の目に止まった記事
● 巨象「三菱重工」が東芝みたいになってきた~1年で営業利益が半分に
三菱重工が17年3月期の営業利益の予想を3500億円から1500億円へと下方修正した、という報道です。
大幅赤字の結果、債務超過に陥った東芝よりはずっとましな状況ですが、似たような背景がある点は、この記事の指摘する通りです。
原発事業に関して言えば、三菱重工が提供した蒸気発生器の不具合により、San Onofre 原発を廃炉にせざるをえなくなったと、 Southern California Edison 社から $7.6 billion (約8000億円)の賠償金を支払うようにとの訴訟を受けていました。最新の報道では、間に入った調停役が $125 million (約140億円)の賠償が適切との判断を下したため、東芝のような目には合わなくて済みそうですが、とても危ないところでした。
造船事業に関して言えば、今や豪華客船マーケットの7割以上を持つ Carnival Corporation がとても強気な立場でオーダーを出してくるため(私自身、Carnival Corporation とのビジネスに直接関わったことがあるので、その厳しさは十分に承知しています)、製造コストのオーバーランが起きた上に、それを三菱重工側が被らなければいけない契約を結ばされ、結果として、2500億円規模の特別損失を計上することになったそうです。
半世紀ぶりに国産旅客機と期待された MRJ も、(私の知り合いのボーイングの技術者の予想通り)FAA (連邦航空局)からの認証がなかなか受けられず、三菱重工にとって、大きな財政負担となっています。
ちなみに、その技術者によると、「FAA から認証を受けた経験のない、三菱重工が認証を受けるには、ボーイングで認証を担当したチームをごっそりと引き抜くようなことをしなければ絶対に無理」とのことです。
image by: Wikimedia Commons(Rs1421)