子供の成績が下がってしまった際、親としてはなんとかしてあげようとさまざまな改善策を提示したくなるもの。今回の無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』には、そんな事態に直面した時に「親として最初にすべきこと」が記されています。
成績が上がらない 2
前回の「テストの結果を持ち帰った子に、親が絶対言ってはいけない一言」では、子どもの学業不振に直面した時に、その原因・理由・問題点を一方的に決めつけてはいけない、ということをお伝えしました。今回は、子どもの学業不振に直面した時、最初に何をすれば良いかをお伝えします。
- 子どもが、点数の悪いテストを持ち帰ってきた
- 通知表を見たら、成績が悪くなっていた
などの場面に出遭ったら、まず最初にやるべきことは、その事実を受け止めること。もっと正確に言えば、「そういった悪い事実をどのように受け止めるかを、子どもに教えてあげる」ことが、親の務めです。
事実自体は変えることができません。淡々と受け止めるだけ。
「おや、今回の算数テストは55点だったんだね」
「1学期に比べて、『よくできる』がずいぶん減っちゃったね」
大切なのは、その次の会話。その事実に対する「解釈」と「意味付け」を意識すべき、とても重要な瞬間です。
×「勉強したとか言ってたけど、意味なかったじゃない」
×「ほんとにミサって頭悪いなぁ。勉強に向いてないんだろうな…。遺伝だから仕方ないか(汗)」
間違っても、こんな言い方はしてはいけませんよ! これらの言い方は子どもに対して、「自分にできることは何もない」「努力する意味がない」「あきらめる、あるいは人を恨んだり羨んだりするしかできない」などの悲しいメッセージばかり届けてしまう解釈・意味づけです。
○「今回のテスト前勉強じゃ、まだ足りなかったんだね」
○「今回の勉強の仕方だと、いい点が取れないみたいだね」
このような解釈・意味づけを示してあげること、しっかり意識しておきましょう。こういった意味づけを与えてあげることで、子どもは「次にやるべきこと」に気持ちを向けることができます。
もし子どもが落ち着いている状態で続けて話ができそうならば、より詳しい話をしてあげても良いでしょう。努力不足と思うなら、どの程度で「不足」で、次回はどの程度努力するのか。やり方が不適切と思うなら、どんなやり方だと「不適切」で、次回はどんな方法を試すのか。会話のイメージで言うと、こんな具合です。
「今回のテストの準備って、何分くらい勉強したの?」
─うーん、前の日に1時間くらい。「そう、それだと足りなかったんだね。じゃ、次回はどれくらい準備することにしようか?」
─うーん、3時間くらい、かな。「前の日にまとめて3時間?」
─ん~、それじゃ大変だから、1週間くらい前から始めて、1日1時間を3日やることにする。「わかった。それくらい頑張れば、また100点取れるかもね!」
「今回はどんなやり方で準備したの?」
─えっと、用語の意味の穴埋め問題を、3回やった。「そっか、そのやり方だと4つは思い出せて、3つは思い出せなかったんだね。じゃ、今度はどんなやり方だったら全部覚えられそうかな?」
─えーっと、穴埋めじゃなくて、全部書き写す。「なるほどね! ちなみに、声に出して読むと、よく覚えられるらしいよ」
─じゃあ、それも。「それを何回くらいのイメージ?」
─5回やる。「そうか!それならしっかり覚えられそうだね」
ここで注意が必要な点があります。「子どもの案には、絶対にダメ出しをしない!」ということ、肝に銘じておいてください。その理由は3つあります。
まず1つ目の理由。もしかしたらその案が(親の予想に反して)うまく行くかも知れないから。子どもは親とは別人ですし、生きている時代も勉強内容も異なります。親の「それじゃうまく行くはずがない」という先入観が、外れる可能性も充分にありますから。
2つ目の理由。子どもの改善案がうまく行かないなら、その経験もさせてあげたいから。親が寄り添ってあげることで、子どもは何度でも「失敗して、また次の改善案を考えて、実行する」のプロセスに繰り返し取り組むことができます。そうすることで、『反省→改善』を習慣化することもできるのだから、むしろ経験させてあげたいくらいですよね。
そして3つ目の理由。ダメ出しは、別の副作用もあるから。親としては、子どもの出してきた「改善案」にダメを出しているつもりでも、子どもにとっては「改善案を自分で考えてみた」ことへのダメ出しにも感じられてしまうもの。そうすると、次からは自分で改善案を考えようとは思えなくなってしまいます。そんな気持ちのところへ改善のプレッシャーを受けると、子どもは簡単に「じゃあ、どうすればいいんだよー」と親を頼るようになります。
しかし、親に言われた改善案は、自分自身で考え付いたものほどやる気が出ないうえに、結果が出なかった時にはすぐに親のせいにしたくなるという問題もあります。だから、子どもの案がイマイチそうに感じられても、
- 少しのヒントを提供するだけに留めて(上記の例で言えば、音読を提案した部分が「ヒント提供」です)、
- 決してダメ出しはしない。
- あとは、子どもの意欲と努力に寄り添ってあげる。
こんな意識で、学業不振の克服に向かうベースを作ってあげられたら、理想的ですね。いつ訪れるかわからないその瞬間に備えて、心の片隅に置いておいてくださいね!
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