秋に旬を迎える海の幸といえば、なんといってもサンマ。そのまま焼くのもいいですが、無料メルマガ『おひとりさんが健幸的に食べるシンプル調理の和風レシピ!』の著者で現役板前のgatugatu佐藤さんが紹介しているのは、サンマで作る「冷蔵庫に常備できるお酒のアテ」。家に着いてすぐ食べられる絶品旬の肴をぜひご賞味ください。
簡単! 味は本格! サンマの山椒煮
gatugatu佐藤です。今回は、「冷蔵庫に常備できる酒の肴」を伝授します。休日ならともかく、平日仕事が終わってからの料理は時に苦痛に感じると思います。でも……「ビールに合う酒の肴は欲しい!」。こんな時のためにおすすめしたいのが、「常備酒の肴」。作り置き可能、日持ちする酒の肴ですね。冷蔵庫から取り出して、器にササっと盛り付けたら、すぐに食える。ビールを一口グビッっと飲んだら、目の前にすぐに「旨い酒のアテ」が有る状態。これほど楽で幸せなことはないと思います。
私がおすすめしたい「常備酒の肴」は、これ、「サンマの山椒煮」。スーパーに行けば鮮魚コーナーにある生サンマ。コイツが「常備酒の肴」になるのです。「山椒煮」と聞くと何だか難しい魚の煮物に感じるかもしれません。ですが、簡単なのですね、これ……。生サンマを買ってきたら、そのまま内臓ごとぶつ切り。面倒な内臓を出したり、捌いたりする作業は一切ありません。鍋に煮汁を作ったら、粉山椒と共にぶち込んで焚く。後は12~13分煮詰めるだけ。あなたは、焦げないようにのんびり見ているだけで、旨い「サンマの山椒煮」が簡単に作れます。内臓(はらわた)には旨味があり、さらに深みのある味にレベルアップさせます。山椒がよく効いて内臓の臭みなど感じず、しょう油、みりん、砂糖の甘辛こってり味の本格味! お店の味が楽しめ、間違いなく酒が進む一品になると思います。
煮汁は、基本の割合というものがあるので、それを用いればいつでも同じ味が再現可能。さばでも、ブリでも応用できます。「魚煮付け」の基本の割合は、【酒3:水2(3):みりん1:濃口しょう油1+砂糖】です。で、今回は、基本の割合をサンマ山椒煮用に少しアレンジした割合、【酒6:みりん3:濃口しょう油0.5:たまり醤油0.5+砂糖少し】です。基本の割合は、酒と水を合わせて「5」または「6」となりますが、水無しで酒100%の「6」にします。酒だけを使うってことです。私が料理の修行中、初めて伝授された魚の煮付けの煮汁は酒100%。水は使いません。ほぼ全ての魚の煮付けは酒だけを使って焚いていました。これ、旨いんです。酒のみで焚く魚の煮付けは臭みを消す効果が増大するのだと思いますが、とにかく最高に美味しいです。それから、しょう油。濃口しょう油0.5とたまり醤油0.5を合わせて「1」になっています。濃口しょう油だけでなく、たまり醤油を加えると煮汁が濃い黒色になり、照りが引き立ち、仕上がりがすごく綺麗になります。出来上がりもまさにお店並み。で、砂糖を極力避けたい場合もあると思います。なので、できるだけ砂糖を使う量を減らすため、みりんを「1」→「3」に変更しています。
私、できたての「サンマの山椒煮」をあてに缶ビールを1本、グビッと。「我ながら旨いな、これ……」と自画自賛しながら思いました……「これ、多分酒でも焼酎でもハイボールでも何でも合うな」と。「常備酒の肴が欲しい!」というあなたは、すぐ「サンマの山椒煮」レシピをみて下さい!
レシピ
【材料】
- サンマ(生)……3本
- 粉山椒……1g
- 白胡麻……少々
《煮汁》
割合【酒6:みりん3:濃口しょう油0.5:たまり醤油0.5+砂糖少し】
- 酒(清酒)……360cc
- みりん……180cc
- 濃口しょうゆ……30cc
- たまり醤油……30cc
- 砂糖……大さじ1杯
1.サンマを内蔵ごとぶつ切りにします。
頭と尾を切り落とし、身を5等分に切ります(頭も尾も使います)。 硬い骨ごと切るので、少し包丁を握る力を強くしてザクッと勢いで(押し切り)骨に切り込んでください。
2.切れたら、ボウルに入れ流水でササっと洗います。
ザルにあけ、水気をきっておきます(1回すすぎ洗いするだけでOK)。
3.鍋(できれば大きめの鍋)に煮汁の調味料を合わせます。強火にかけます。
できるだけ大きめの鍋がいいです、サンマが重ならない鍋がベスト、重なると綺麗に焚けない場合があるので。
4.煮汁が沸騰したらサンマをぶち込みます。
頭、尾もぶち込んでください、「出し」になります。
5.続けて「粉山椒」もぶち込む。
6.アクをすくい取ります。
アクは無限に出てくるので、初めに3~4回すくい取ればOKです。このまま強火で煮詰めていきます(約10分)。
7.10分煮詰めると煮汁がとろ~んなり、濃度がでてくるので、ここから弱火(中火に近い弱火)にしてさらに煮詰めます。
強火のまま煮詰めると鍋内側に付いた煮汁が焦げて煮汁に混ざると不味くなるので。
8.できれば、強火で煮詰めている途中でキッチンペーパーやダスターを水で軽く湿らせ、鍋内側(横)の煮汁をふき取っておけば焦げ付きを回避できます。
一時的に火を止めて拭き取れば手が熱くなりません。「俺は根性がある!」という場合は気合で熱さに耐えながら拭き取ってください。「鍋内側(横)の煮汁を拭き取る」は、濃い味付け&強火で煮物(佃煮など)をする時の基本です(焦げ付き防止)。
9.さらに煮汁がどろ~んとなり高濃度になったら出来上がり!
味見をして「ちょっと濃い甘辛い味がする」と感じる程度が煮詰め具合の目安です。
10.食べれるだけ小鉢に盛り付けて、煮汁も少々かけて白胡麻をふって完成です!
頭と尾は食べにくいので破棄!
残りの「サンマ山椒煮」は、タッパなどに移しかえ(煮汁も全部)完全に冷めたのを確認できたらフタを閉め、冷蔵保存して下さい。濃い味付けなので、1ヶ月は日持ちします。タッパからサンマを取り出すときの注意点は、「濡れた箸、汚れた箸をつかわない」です。腐敗の原因になるので、必ず綺麗で乾いた箸を使って取り出して下さい。
「サンマ山椒煮」をマスターすれば、『常備酒の肴』となり、いつでもすぐに酒のアテが食えます。是非! 休日に作ってみてください。
追記
圧力鍋をお持ちなら、骨まで食える「サンマの山椒煮」が作れます。骨を気にせず、ガツガツ食えます(頭も尾も柔らかくなり、食べられます)。圧力鍋でサンマを茹でると比較的短時間で骨まで柔らかくすることができます。軟らかく茹でた後、割合の煮汁で煮詰めたらOK。「茹でる」作業がひとつ増えるだけ。さほど面倒ではないと思います。