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消費増税と残業代ゼロがダメ。いまの安倍政権に足りないもの

10日に迫った衆院選公示に向け、自民党対抗軸を巡る動きがこれまでにない動きで展開されています。この秋、安倍一強時代は終焉を迎えるのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では、著者で国際関係研究者の北野幸伯さんが「それでも安倍政権続投を希望する理由」と、「小池都知事率いる希望の党に期待すること」を記しています。

北野が日本の政治に望むこと

ここ数日、たくさんのメールをいただいております。内容は、「北野さんは、安倍さん支持なのですか? 小池さん支持なのですか?」というもの。今回は、この辺をはっきりさせたいと思います。

私は、何度も書いていますが、「安倍続投を願っています。なぜか? 一言でいえば、外交が素晴らしい

2012年11月、中国は、「反日統一共同戦線戦略」を打ち出しました。この戦略の骨子は、

新しい読者さんは今、「トンデモ、トンデモ、トンデモ~~~」と思っていることでしょう。そんな方は、必ず、こちらの絶対証拠をご確認ください。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

日本は、この戦略に対抗するために、どうすればいいのか? 中国の戦略は、「中国、ロシア、韓国、アメリカで、日本を袋叩きにすること」です。それで、日本の戦略は、「アメリカロシア韓国と仲良くすることで、中国の戦略を無力化する」ことにある。

安倍総理は、5年かけて、これを実行されている。現状を見てみましょう。

それで、中国の「反日統一共同戦線戦略」は無力化されているのです。結果、

忘れた人もいると思うので、思い出していただきましょう。安倍さんの前、民主党の総理が3人続きました。「トラストミー」の鳩山さんは、日米関係を破壊した。野田さんは、日中関係を最悪にした。民主党時代日本はアメリカ中国と最悪の関係にあった。日本は、孤立していたのです。

民主党は、民進党と名を変えた。そして今、民進党から希望の党に続々と人が移ってきています。都知事の小池さんは、希望の党が選挙で勝っても、総理になれない(都知事を辞任して、衆院選に出れば別)。

そうなると、希望の党が勝てば民進党出身者が総理になる可能性が高い。閣僚も、ほとんどが民進党出身者になるでしょう。そんな「希望の党」に外交を任せられるでしょうか? 私の答えは、「任せられるはずがない」です。

「希望の党」に期待すること

では、私は「希望の党」に何を期待しているのでしょうか? 私は「安倍総理続投」を願っていますが、すべての政策を支持しているわけではありません。たとえば、

などに反対しています。「希望の党」に期待しているのは、これらの政策をやめるよう働きかけてくれること。たとえば、小池さんが消費税再引き上げに消極的な発言をした。すると安倍総理は26日、「再延期の可能性」に言及した。私は「希望の党」に、「消費税再引き上げ反対!を掲げて戦って欲しい。そして、安倍総理には、日本の景気を確実に悪化させる消費税引き上げをやめていただきたい。私が、安倍総理と小池さんに望むのは、こういうことです。

なぜ野党が必要なのか?

私は1990年、モスクワに留学しました。はじめてバスに乗ったときのこと、今でも覚えています。バスの中で、笑っている人がいない。それどころか、話している人もいない。たまに話しても、ひそひそ声で話している。とても違和感があり、「なんなんだ」と思った。しばらくすると、大学の寮で、バルト三国の男性からアドバイスされました。

「いいかい。この国では、注意しなければならないことが二つある。一つは、食堂とか廊下とか、人のいるところで政治の話をしてはいけない。二つ目は、電話で重要な話をしてはいけない。この国は、どこにいても聞かれているからね」。

私は、これを聞いて、なぜ人が「笑えない」のか理解しました。まだ全体主義国家ソ連があった時代です。「一党独裁」。ある人、ある党が絶対権力を持つとロクなことがありません。実際、共産国家の独裁者スターリン、毛沢東、金日成、ポルポトなどは、自国民を大虐殺した。

なぜそうなのでしょうか? 人間には、天使のような清い心と、悪魔のように残酷な心が同居しているということでしょう。悪の心は、普通、法律、世間の目、宗教心などによって表に出てきません。しかし、制限が薄れると、顔を出すようになる。ウソだと思うなら、匿名OKの巨大掲示板をのぞいてみてください。あそこにあるのが、人の心の真実(の一部)です。いろいろな制限があるから、嫌いな上司を殴らない。でも、デスノートがあれば、嫌いな上司の名前を書いてしまうかもしれない。

何はともあれ、私はソ連で、「一党独裁はロクなことがない」ということを学びました。だから、日本でも「安倍一強」とかいわれるようになると心配になるのです。どんな国でも、「傲慢になって好き勝手やると、政権を失うかもしれない。常に謙虚であらねば」と思わせるくらいの野党が必要です。しかし、民進党は、その役割を果たせなかった。今、希望の党が安倍総理を恐れさせています。社会としては、それでいいのです。これが健全な国家です。北朝鮮や中国だったら、小池さんはとっくに捕まっています。

というわけで、私が安倍さんと小池さんについてどう考えているかでした。まとめると、

ということです。

image by: 首相官邸

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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