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五輪だけでは無理。カジノ法案先送りで遠のいた「観光立国」日本

カジノの合法化を柱とするいわゆる「IR法案」の今国会での成立を断念した自民党。政府は「2020年の外国人観光客数2,000万人」という目標を掲げていますが、日本を代表する女性カジノディーラーが発行するメルマガ『鍛野ミミの「カジノの目線で」-ここだけばなし-』では、IR法案成立なくしてその達成は厳しいと指摘しています。

今国会で見送られたIR(カジノ)法案とは?

既に皆さんもご承知のとおりIR(カジノ)法案は、今国会は見送りニュースが出てしまいました。

カジノ法案、今国会断念=自民、安保成立に全力

内容は

自民党はカジノ解禁を柱とする「特定複合観光施設区域整備推進法案」について、今国会での成立を断念、先送りする方針を固めた。(時事通信)

ということでした。

更に8月22日

カジノ法案、今国会も断念 自民方針、公明の反対根強く

もネットで流れました。

それによると

カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備を促す法案(カジノ解禁法案)について、自民党は今国会での成立を断念する方針を固めた。昨年の臨時国会に続き、次の国会に先送りする。2020年の東京五輪・パラリンピックに合わせて完成させる考えだったが、間に合わない可能性が高くなった。(中略)カジノを安倍政権の成長戦略の目玉と位置づけてきた首相官邸の幹部も「『安全保障関連法案とカジノの2つも無理だ』と公明党が言うので無理だ」と語った。(朝日デジタル 8月22日(土)配信)

この見出しの「今国会も」、というのがミソなんですけどね…。ちょっと皮肉も交じっている印象を受けますが、まあ事実なので、仕方がないところでしょう。

IR(カジノ)法案の動きに関しては、随分前から行われているわけですが、一般的に知られたのは、ここ2~3年ではないでしょうか。

そこで、下記に少しだけこれまでの経緯をまとめてみました。

情報元は、現在日本で唯一とも言えるカジノを含む統合リゾート(IR)の政治、経済情報のポータルサイト「カジノIRジャパン」からの引用・抜粋です。

もっと詳しい「政治年表」やIR情報が知りたい人は下記へお願いします。

カジノIRジャパン

(情報:カジノIRジャパン/古賀 よしこ 表作成:古賀よしこ)

私は、このカジノ誘致活動を1999年以前からずっと見てきています。

特に2002年10月の都庁イベント「新たな観光資源カジノ」ではカジノイベントの企画運営に携わり、当日はピットボスで現場のオペレーションに携わりました。

あれから既に13年が経過しています。

ニュースでよく取り上げられるシンガポールは機を捉えたと考えた2005年にIR導入を決断し、2010年には施設の開業に持ち込んでいます。

大変スピード感があります。

しかし日本の場合、国民感情も踏まえ、反対意見がある程度出るのは仕方のないことだと考えています。

確かにギャンブル依存症などの「ソーシャルコスト」に対して慎重論が出てくるのは、カジノ業界人として真摯に受け止めなければなりません。

しかし、今までに何度も発言をしていますが…、反対を唱える方々は、IR法案に対して実現可能な「代替案」を用意して頂かなければ、実際にはほとんど議論にも発展していないと言わざるを得ないわけです。

日本が、何年にも渡りこの案件を先送りにしてしまった間に隣国やフィリピン、ベトナムなどの新興国は、既にIRを導入したくさんの観光客を誘致しています。

日本政府観光局のプレスリリースによると

2014年の訪日外客数は前年比29.4%増の1,341万4,000人となり、これまで過去最高であった2013年の1,036万人を300万人余り上回った。

と記載されていました。

このペースで行くと、2020年の東京オリンピック・パラリンピックイヤーまで、インバウンドは右肩上がりとなっていくと楽観視することも出来ます。

しかし政府はオリンピックまでに2,000万人、その10年後には3,000万人という高い目標を掲げています。

今国会でカジノ法案を見送った場合、2020年には、IR施設の建設はほとんど間に合わなくなるわけですが(今でもギリギリですし…)、このまま見送りを続けてしまう場合、政府が掲げているインバウンド目標2,000万人、3,000万人に一体どうやって達成させ得るのか…。

オリンピックが来れば、このままインバウンドが伸びるのはある程度予測は出来たとしても祭典はたったの2週間です。その後は一体、どうするのでしょう…?

image by: Shutterstock

 

鍛野ミミの「カジノの目線で」-ここだけばなし-』より一部抜粋

著者/鍛野ミミ
カジノディーラー歴24年。ラスベガスのディーラーライセンスを持ち、日本では数えるほどしかいない、海外大手カジノ事業主の「富裕層・VIPマーケティング」業務を経験した筆者が、これまで語ることのなかったカジノの「アレコレ」を発信していきます。
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