子ども達の夏休みが終わったかと思えば、あと2週間ほどで今度はシルバーウィーク。せっかくのお休みだから旅行に出かけたいのだけれど、家族それぞれの行きたい場所がてんでバラバラでお困りの方もいるのでは? そんな時に役立つのが、無料メルマガ『子どもが育つ「父親術」』で紹介されている「家族会議術」。基本の3ステップと3段階の質問法で家族みんなが笑顔になれますよ。
家族会議術って何?
夏休みも終わり、学校も始まってますね。息子も、抱えきれないほどの大荷物を持って登校して行ったようです。
あと2週間もすればまた秋の大型連休シルバーウィークと言う事で、今月は「旅行」をテーマにお送りしていきます。
今週は、家族会議術です。こういうのは会社でも一緒ですが
- 紙に書いて見える化
- MUSTとWANTを整理する
これだけで、だいぶ会議が円滑に進む気がしますね。
今日ご紹介するのは、家族会議にて、異なる意見を集約・調整するための方法です。
それぞれが自分の意見を言い、コミュニケーションを取る方法なので、ある程度以上大きい子(おおむね5~6歳以上)のいるご家庭向けの内容になること、あらかじめご了承ください。
ただ、「意見・希望をすり合わせる」時にはいつでも使える方法なので、お出かけに限らず、応用範囲は広いです。
─今度のお休みに、どこへ行く?
─日曜の午後、何も予定がない。何をしようか?
─今日の夕飯は何を食べる?
など、さまざまな場面で活用できる方法です。
さて、その「方法」の具体的な中身ですが…
1.まず、全員が自分の希望を言い、まとめ役が紙に書き出す。
※その時、他人の意見への口出しは禁止。
<例> 夏休みの旅行、どうしたい?
- 海に行きたい(ケンタ)
- カニを捕まえたい(ケンタ)
- ママと裏山にピクニックに行きたい(リエ)
- シートを広げてサンドイッチを食べたい(リエ)
- 景色のきれいなところに行きたい(ママ)
- おいしいものが食べたい(パパ)
2.制約・制限事項(時間、お金、どうしても無理・嫌なこと)を別に書き出す。
<例>
- パパがまとめてお休みをとれるのは、8/13~17だけ
- その他の土曜・日曜もパパはお休み
- 使える金額は5万円くらいまで
- ママは肌が弱いので、長時間日に当たる活動は無理
3.制限・制約の中で、みんなの希望をできるだけ多く(なるべく全部!)かなえられる方法・プランを考える。
基本はこの3ステップだけです。
…ですが、そう簡単に話はまとまらないんですよね。大抵の場合、全員の希望を出した時点で、あまりにバラバラすぎて、それらの多くをかなえるプランなんて思いつかないものです。
そこで出てくるのが、「希望すること」の本質に迫るための、質問の技術。
相手が自分の思いを言語化するスキルのレベルに応じて3段階の質問を使い分ければ、かなりの確率で話が前に進み出しますよ。
不要な部分を削ぎ落とす
「希望すること」に含まれている要素のうち、「実はあってもなくてもどちらでもよい」ものを見極めて整理します。
怪しい要素(例えば、前述の例で言えば「カニを」「裏山で」「シートを広げて」あたりを疑うとします)について、それを除いたプランを示して、賛同するかどうか尋ねます。どこが怪しいかわからなければ、ひとまず全部チェックするのでもOKです。
「海に行って、カニじゃなくて、ヤドカリとか貝とか捕るのは楽しそう?」
→これでOKなら、「カニを」の部分が「何かの生き物を」に広がります。
「シートは持たずに、公園のベンチに座ってサンドイッチを食べるのでもいい?」
→『「シートを広げて」の指定がなくなり、単に「サンドイッチを食べる」という希望に広がります。
「裏山じゃなくて、池のある公園に行ってママとピクニックするのは賛成?」
→場所の指定がなくなり、単に「ピクニック」という希望に広がります。
なぜ?
1つ1つの「希望すること」について、「なぜ、それがいいの?」を尋ねる方法です。
「海に行きたい」に対して「なぜ、それがいいの?」を尋ねることで、例えば「だって、泳ぐのが楽しいから」が返ってくるなら、プールなどの選択肢が広がりますし、例えば「生き物を見たい・捕りたい」ならば、川でザリガニ釣りなどの広がりが見えてきます。
どの部分が大事?
ただ、相手が子どもの場合(子どもに限らないかもしれませんが)、単に「なぜ?」と尋ねるだけでは的確な返事ができないことも多いでしょう。
その時は、本人の「希望すること」に含まれる要素をバラして、1つずつの重要度を尋ねます。
つまり、「ママと裏山にピクニックに行きたい」に対して、
「ママとお出かけするのが大事? 裏山に行くのが大事? それとも、ピクニックするのが大事? リエにとっていちばん大事なのはどれ?」と尋ねるのです。
これで明快な答えが返ってくればしめたもの。「本当に重要なこと」がどんどん明確になります。
ですが、子どもは往々にして「えー、ぜんぶ大事。」と答えることが多いのが、残念ながら実態でしょう。こんな時、本当に両方とも優先度が高い場合もありますが、単に優先順位付けができていないだけのことがほとんどです。
そんな時は、質問をちょっと変形して、優先順位を見つけさせてあげましょう。
「じゃあね、『ピクニックに行って、おにぎりを食べる』のと、『お家で、サンドイッチを食べる』のだと、どっちの方がリエはうれしいかな?(ピクニックとサンドイッチの比較)」
「『裏山に行って遊んで、家に帰ってからご飯にする』のと、『砂浜に行って、シートを広げて、お弁当を食べる』のだと、どっちの方がリエはうれしいかな?(裏山とピクニックの比較)」
ここまで切り分けて質問すれば、さすがに子どもでも返事ができますよ。
こうしてそれぞれの希望することがより純化され、不要な指定がなくなれば、「全部の希望を満たすプランを考える」ことがだいぶやりやすくなります。
仮にすべての希望が叶えられなかったとしても、お互いに充分にコミュニケーションをとって決めた案は、一方的に決められた場合よりもはるかに納得度が高いはず。
叶わなかった希望項目は、「じゃあ次の旅行の時は、これを優先して決めようね」としてあげても良いでしょう。
この家族会議術の根底にあるのは、「みんな等しく大事」「みんなで全員のハッピーを願う」気持ちです。
「誰かの希望を叶えるために、他の誰かの希望を切り捨てる」
「いつも自分ばかり我慢させられる」
「自分の希望を叶えるために、何とかして他の人の希望をあきらめさせなきゃ」
なんて気持ちで生きるのは、残念すぎる。そう思うので、根底の気持ちの部分も子どもたちに伝わったらいいなぁと思いながら、私はこの家族会議術を実践し続けています。
皆さんの家庭の家族会議でも、この方法を取り入れてみていただければ嬉しいです。
image by: Shutterstock
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