8月に「いいぞニート。自称・大魔王がママチャリに乗って日本一周征服の旅」という記事でもお伝えした、日本征服を目指しママチャリで国内一周の旅をする自称・悪魔、大魔王ポルポルさんが、北海道から東北を経て南下し、ついに関東へ上陸。メルマガ『大魔王ポルポルの日本征服の旅』を発行していただいているご縁で「お近くへお越しの際はぜひお立ち寄りください」と社交辞令まる出しのメール出してみたところ、どうやら本気にしたらしく「渋谷の本社を襲いにいくぞ！」との返事が。まぐまぐ編集部は悪魔に征服されてしまうのか…。
嵐を呼ぶ大魔王、道に迷う
9月某日、「午後3時に恐怖の大魔王がやってくる」と聞いたにも関わらず、まぐまぐニュース！編集部一同は、その日を忘れていたかのように通常営業。昼休みの会話では「本当にママチャリで来るのかね」「まさか電車に乗って駅から徒歩とかじゃないだろうな…ガッハッハッハ！」などと、とても悪魔が来るとは思えないほどの余裕ぶり。そうこうしている間に、空はにわかにかき曇り、窓ガラスに大粒の雨が打ちつけ始めると、編集部の空気が一変。気がつけば隣のビルさえ白く煙って見えないほどのゲリラ豪雨が！
悪魔だ、悪魔が近づいているんだ…。編集部の誰もがそう思い始めたのに、約束の3時を過ぎても待てど暮らせど悪魔は来ない。大魔王ともあろうお方が約束の5分前に到着するハズもないけど、それにしても遅すぎる。あまりに遅すぎて、誰もが彼の到着を疑いかけていたその時、編集部に1本のメールが届いた。
「すみません、溜池山王で迷ってます」
ずぶ濡れの大魔王、まぐまぐに到着
「どんだけふるねん！」
どしゃぶりの雨の中で、大魔王は天に向かってマジギレしていたという。しかも皇居前でママチャリをこぎながら。さらに、追い討ちをかけるかのようにタイヤがパンク、そして迷子。しかし午後4時ごろ、悪魔の登場を演出するはずの豪雨はすっかり止み、濡れネズミのようになった黒服の男は渋谷のオフィスビルの前でペダルを止めた。
「大魔王ポルポルさんがただいま到着しました！」
その声が社内に響きわたると、迷子になった悪魔のことなどすっかり忘れかけていた編集部一同は、一斉に声のする方へ目を向けた。しかしそこに悪魔はいない。全身ずぶ濡れでトレードマークの顔メイクがすっかり落ちたという大魔王は、これから着替えとメイクの調整をおこなうのでトイレへ駆け込んだとのこと。なにもかもが悪魔らしくない…。拍子抜けした編集部一同が、元の仕事に戻ってから20分あまり。ついに、黒い目張りに白塗りの大魔王・ポルポルは、正面玄関から姿を現した。
日本一周をはじめた理由
「待たせたな、ニンゲンども。私がポルポルだ！ ガッハッハッハ！」と高笑いで登場すると思っていたのに、「あ、どうも。大魔王です」と猫背で何度も会釈しながら歩いてきた大魔王。しかも悪魔にしてはラフすぎる黒のパーカーと半ズボン姿で、顔だけはいかにも悪魔らしく妖しい笑顔だから余計に不気味だ。そのまま会議室へお通しして、道中の土産話（まだ日本半周だけど）や悪魔になった生い立ちなど、今年で自称1億25歳という大魔王ポルポルさんに編集部からいろいろと質問をぶつけてみた。大魔王、今日はどちらから？
「前日に泊めてもらった埼玉県久喜市から走り始めて、昼の12時頃に東京・荒川区に着いたのだ。トラックに轢かれないよう国道を走るのは大変だったぞ。さっそく、まぐまぐのある渋谷を征服しようと思ったが、渋谷区がどこだかわからなかったのだ。迷ったあげくにパンクと豪雨と雷の連続だ、ガッハッハッハ！」
誰かの家に泊めてもらうわ、国道をママチャリで走るわ、迷子にはなるわ、さっそく大魔王らしくないエピソード満載ですね。5月に大阪城を出発して、日本海側から北上して北海道を1周してから東北を抜けて、9月にようやく関東へ入ったらしいけど、そもそもなんでママチャリで日本一周を？
「ひとことでいえばノリだな。目的はとくにない。なんとなく以前から日本一周したいなぁと漠然に思っていたのだ。今では日本一周をしている人たちの間では有名人になってしまったぞ、ガッハッハッハ！」
なんとなくノリで…なるほど（超テキトーだな）。
何もかもが「他力本願」の大魔王
ところで、まぐまぐの有料メルマガ（『大魔王ポルポルの日本征服の旅』）をはじめた理由は？
「日本一周は初期費用たった5万円からスタートしたので、有料メルマガをはじめたらお金が手に入ると思ったからだ。メルマガの他にも、オリジナルステッカー（2枚で1000円）やオリジナルLINEスタンプ、iPhoneアプリなども販売して旅費を稼いでおる。もっとも、みんなトークアプリ755で知り合ったニンゲンにデ
さっきから黙って聞いてりゃ、なんという他力本願。もはやメルマガですらゴーストライターがいる勢いですね。ところで、日本一周をする前は何を？
「以前は、ニンゲンの姿を借りて大阪のUSJで音響の仕事をしていたのだ。趣味で友人とバンドも組んでいたが、ライブでは楽器も演奏せずにステージの横で立ってたり踊ったりしていただけだがな。今のメイクはその頃からのものだ。バンドが解散して、元メンバーが引っ越しの際に「いらないからあげる」とくれたのが今乗っているママチャリだ、ガッハッハッハ！」
ママチャリさえ他人からもらったんかい！ 大魔王なのに、これも「人徳」か？
旅の途中で起きたトラブル
ところで、ママチャリにはテントが積まれてましたけど、野宿で苦労したことは？
「今回の旅では、警察からかなりの頻度で職務質問を受けたな。栃木でテントを張って寝ていたら、深夜12時すぎに警察官がやってきてライトを照らして「邪魔だからテントを撤去しろ」といってきおった。何をしているんだ、と質問してきたから「日本一周でーす！」といったら、呆れた顔をされたぞ、ガッハッハッハ！」
警察官も「なんだコイツ…」とドン引きしたんでしょうね。寝泊りはずっとテント？
「だいたいテントだが、最近では755仲間が家に泊めてくれたり、ホテルをタダで用意してくれたりしているので大変助かっているぞ。今夜も、さいたま新都心に755仲間がホテルをとってくれてるから向かわなければならないのだ、ガッハッハッハ！」
でも、北海道を一周した時は人も少ないし、寝泊りは大変だったんじゃ？
「北海道は、旅人がしょっちゅう来ていて旅人慣れしているから、コンビニで自分のお釣りをそのままくれた親切な人もいたな。道内の某所では、トマトの収穫やリサイクル店の手伝いをする代わりに飯と風呂と泊まる場所を提供してくれた人もいたが、自分以外にもノーギャラで働かされている人がいっぱいいて「ここは旅人をカモにしている。スズメバチのめっちゃいるところに連れていかれるぞ。長居したら危険だ、逃げろ」と忠告されて、逃げるようにして去ったこともあったな。ガッハッハッハ！」
そ、その話けっこうヤバくないすか？
全国征服の旅はまだまだ続く
まだ日本半周くらいしかしてないようですけど、今後の予定は？
「日本を一周するには、年内いっぱいはかかるな。もしかしたら年明けになってしまうかもしれん。とくに目的もないから、なるべく国道をひたすら走ること以外なにも決めてないな。青森の企業から１万円もらったので、それを元手に賞金の出る大食いにでもチャレンジして資金を増やそうかなと考えておる」
じゃあ、せっかくだから「まぐまぐニュース！」に連載で、旅の途中の食レポなんかお願いしたら書いてもらえます？
「まあ、考えておこう（含み笑い）。まずはママチャリのパンクを直してもらおうか、話はそれからだ。さいたま新都心に行くのさえままならんからな、ガッハッハッハ！」
連載の話は見事にはぐらかされたが、金に困っている大魔王のことだから、なにかしらやってはくれそうだ。インタビュー終了後は、まぐまぐ社内で大魔王みずからオリジナルステッカーを販売して旅費稼ぎ。755仲間の方がデザインしてくれたというステッカーは2枚セットで1000円とかなりボッタク…いやお高めだが、社内では飛ぶように売れる売れる！ 気がつけばステッカー片手に大魔王との記念撮影大会になってしまった。どうやら、まぐまぐは大魔王ポルポルに「征服」され「魔ぐ魔ぐ」にされてしまったようだ…。
《株式会社魔ぐ魔ぐ支配》(株式会社まぐまぐ) ・まぐまぐの社長を支配する pic.twitter.com/QzLrvOqa0L
— 大魔王ポルポル@ホームレス魔王 (@zigokunomakai) 2015, 9月 4
《株式会社魔ぐ魔ぐ》(株式会社まぐまぐ)2 魔ぐ魔ぐの優秀なる下僕達 pic.twitter.com/Zq48N8smke
— 大魔王ポルポル@ホームレス魔王 (@zigokunomakai) 2015, 9月 4
《株式会社魔ぐ魔ぐ》(株式会社まぐまぐ) 魔ぐ魔ぐの優秀なる下僕達2 pic.twitter.com/o79bYZN46c
— 大魔王ポルポル@ホームレス魔王 (@zigokunomakai) 2015, 9月 4
その後、大魔王の要求通り自転車がパンクしたままなので、編集部が渋谷のビックカメラまで案内し、パンク修理にもおつきあい。通常は2時間近くかかるというパンクを40分で直させることに成功した大魔王は「さすがであるぞ、ガッハッハッハ！」と大喜び。
そして、大魔王はニンゲン界のビールや焼肉を堪能。いやー、ずぶ濡れになって渋谷まできた甲斐があった！と、旅の疲れも悪魔の設定も忘れてご機嫌に。
しかし先は長い。酔いが醒めた頃、修理が終わったばかりのママチャリにまたがり「埼玉はどっちだ？」とひとこと。大宮方面を指差すとコクリとうなずき、悪魔はペダルをこぎながら渋谷の雑踏の中へと消えた。
果たして連載の食レポは送られてくるのか？ そして、旅の有料メルマガは無事に配信され続けるのか？ 他力本願のわらしべ長者こと大魔王ポルポルの旅はまだまだつづく。
文／八角亭小籠包