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お彼岸ってそもそも何?「ぼたもち」と「おはぎ」の意外な違い

そもそもお彼岸って何ですか?

聞いたことはあるけど、詳しくは知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。かくいう記者もその1人。せっかくシルバーウィークに帰省してお墓参りをする予定なので、せっかくなら正しい知識と正しい作法を知っておきたい。

そこで、仏事と言えば「はせがわ」ということで、はせがわの教育担当・安藤浩一さんに「お彼岸ってなんですか?」と疑問を尋ねてきました。安藤さんは、これまで約2500~3000基のお仏壇を売ってきた、お仏壇販売数社内NO.1のカリスマ販売員ですよ。

お彼岸ってそもそもなに?

早速ですが、お彼岸ってそもそもどういう行事なのでしょうか。

安藤「一言でいうと、昼夜の長さが同じになり、太陽が真東からのぼり真西に沈むこの時期は、自然に感謝しご先祖様と対話するという、仏教強化週間なのです」

強化週間とはわかりやすい。お彼岸はいつのことを指すのでしょうか?

安藤「お彼岸は春と秋にあります。春分・秋分の日と呼ばれる中日を挟んで、前後3日間。今年だと、9月20日(日)から9月26日(土)で、中日が9月23日(水)ですね。真西に太陽が沈む春分・ 秋分の日は、昼夜の長さが等しくなることから、お釈迦さまの教えである、かたよりのない考え方『中道(ちゅうどう)』を表すとも言われています。

また、私たちの現世を此岸(しがん:欲や煩悩にまみれた世界)、 これに対し仏様の世界を彼岸(ひがん:悟りを開いた仏様の世界)と呼びます。此岸と彼岸が最も近くなると言われるこのお彼岸の時期は、 自然やすべてのものに感謝し、ご先祖様と対話する期間とされ、日本人に大切に受け継がれてきました」

知っておきたいお彼岸の作法と常識とは?

お彼岸で恥をかかないための作法や常識はあるのでしょうか。

安藤「おはぎ・ぼたもちの意味と作り方、他にはお墓参りの作法、お仏壇にお参りする作法等があります。お墓もお仏壇もお参りする時に忘れがちなのが数珠です。仏教徒のシンボルとして必要なものです、必ず持参致しましょう。ちなみにおはぎ・ぼたもちの違いは、春か秋かです。秋は萩、春は牡丹から来ているようですよ」

そんな違いだったんだ。そして数珠って必須アイテムなんですね。ところで数珠ってどういう意味を持っているんですか。

安藤「仏教では、人間に百八の煩悩があるといわれており、玉ひとつひとつが百八の煩悩を司る仏様と考え、人間のあらゆる煩悩を、数珠が引き受けてくれるという考えから、正式な数珠は百八つの玉からできています。ちなみに元は、インドのバラモン教で用いたものが仏教、イスラム教、キリスト教に取り入れられたといわれています、キリスト教ではロザリオとよばれ、イスラム教ではタスビーフと呼ばれるものです」

数珠にそんな歴史があったとは……。正式な数珠は百八つの玉というのも驚きでした。だからお坊さんが持っている数珠は長いんですね。

そういえば、お彼岸ならではのお供え物などはあるのでしょうか。

安藤「お彼岸には『御料具膳』というお膳を使って精進料理をお供えします。お膳は仏様(お仏壇)側に向けてお供えしましょ う。

故人の好きだった食べ物や、季節の果実などをお供えする場合は、「高坏」や「盛器」にのせてお供えするとよいでしょう。 お彼岸にご実家やご親戚にお供物を差し上げる場合は、進物用線香やろうそくがおすすめです。 のしの表書きは「御仏前」や「お供物」とします」

最後に、実は知らないお彼岸の常識ってありますか。

安藤「お彼岸はインドやタイなど他の仏教国にはない日本だけの行事です。仏教と太陽の神を信仰する日本古来の神道とが交わることで、生まれた行事なのです。仏教は元々懐が広く、中国や朝鮮半島を伝わってくる間にその国の文化を取入れながら日本に入ってまいりました」

てっきり仏教の行事だと思っていました。インドなどでは行われないんですね。日本に住んでいて、日本ならではのイベントであるお彼岸。かなり知らないことが多くて、かなりショックでした。今回、しっかりと勉強出来て本当によかった。

シルバーウィークの最終日、9月23日は秋分の日。この国民の休日には、「先祖を敬い、なくなった人々を偲ぶ」という意味が込められているそうです。シルバーウィークの締めは、お彼岸の正しい作法で、先祖や故人を慈しんでみてはいかがでしょうか。

※地域によって違いがある場合がございます。

●information
はせがわ

文/横田吉木

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