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上海だけじゃない。日本は中国・大連にも大きく引き離されていた

以前掲載の記事「ここ2年、上海に起きた「進化」が日本を完全に周回遅れにしている」では、中国・上海でデリバリーサービスが人気となり、どこにも出かけず引きこもって過ごす若者が増えているということをお伝えしました。今回のメルマガ『中国大連ビジネスリポート』ではメルマガ著者で大連在住の高瀬正博さんが、「大連のデリバリーサービス」の現状について、詳しく紹介しています。

大連のこの頃

今日の大連は、曇りで気温は-3℃/-7℃。普段は家に閉じこもって座りっぱなしの不健康生活から脱却するべく、意を決して玄関ドアを開けた途端に冷風が顔から体全体に纏わりついてきて、その時点で凍りついてしまうほどだ。

しかし諦めずに外に出て目の前の駐車場を抜けていくのだが歩く速さは遅くても顔に当たる冷気が実に痛い。5分ぐらいでそこを過ぎIT関係会社の入るビルが林立するところまで行くのにもう体全体が冷え切ってしまう。

でもさらに歩くと居酒屋、すし屋、米線、大連家庭料理、ハンバーガー店、フライドチキン、スパゲッティ、火鍋などの店が入るビルがある。昼夜を通して営業しデリバリーもしている。実に商魂たくましい。本当に良く働いていると感心する。

筆者も利用する機会がある。「餓了?」(お腹すきましたか?)というアプリを開けると、多種類の料理がありそこから希望する料理店を選択するとその料理店のメニューが提示される。そこには金額もきちんと記載され料理の写真も見ることが出来るので、多少安心感がある。

オーダーするものにチェックを入れ個数を入れる。すべて完了すると合計金額やその内訳も表示される。確認し、問題なければ次は支払いになる。支払いにも複数の方法がある。筆者は、微信を使っている。それを選択すると自身の銀行暗証番号を入れる画面が出る。

それを終えると即、オーダー先の店に連絡が行き、何時何分に届けますと表示される。30分以内に届けるという店がほとんどを占める。間違いなくその時間内に届くことを経験している。配送費があり、距離により多少の差が出てくるが、時間との戦いにもなるので、店として絶対に時間内に配送完了しなければ信用を落とすため配送専門会社の選択にも真剣のようだ。

大連でこれだけデリバリービジネスが成り立っているのはどうしてなのか。

中国では共働きが当たり前であり、夫婦のどちらかの親が同居し家事を手伝っている。また同居しなくとも近くに住んでいるので親元で食事を済ます家庭も多い。今でもその様な家庭は少なからずある。そうであれば何故デリバリーが盛況を呈しているのだろうか。

実はこれらの利用者の多くは、地方から大連に居住し会社勤めをしている独身者や寮生活をする大学生親元を離れて生活する夫婦などが占めているようだ。

デリバリーは一つでもしてくれる便利さもある。一個12元(約202円:11月29日時点)で配送費4元~、器代1元~合計17元(約287円)。寒空に外出しなくとも温かい料理が食べられるのも利点。

これからも多種類のデリバリー店が進出してくるだろうが、その反面、競争の激化が当然起こるだろう。中国人は、そんなことはお構いなしで、手を替え品を替えて突き進む根性の塊を持って、その都度情報を素早くつかんで動いている。

このように大連のデリバリー商売も変化を続けながら定着していくのだろう。

新しいビジネスを展開していく行動力の速さは中国人が持つ能力だと思う。後先をを考えず、ということでは決してない。日本人の行動力が遅すぎるだけなのかもしれない。チャンスを目の前にしながら、そのチャンスを逃している多くが日本人だからだ。

日本人がいまだに島国根性を振り回していたら、遅れを取るばかりと認識してほしい。

image by: TonyV3112 / Shutterstock.com

『中国大連ビジネスリポート』

『中国大連ビジネスリポート』

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中国大連在住15年目の私が大連市における日系企業の現況、進出企業へのアドバイス、現在から今後起こりうる法務一般、人材育成及び派遣、教育(日本人駐在社員、中国人社員)等について基本的な内容をお届けします。

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