かつては「人間50年」転じて「人生50年」などと言われ、人々はそれに合わせて人生設計をしてきました。しかし昨今、先進国の平均寿命は一貫して伸び続け、「人生80年」と言っても過言ではありません。さらにこのまま行けば2045年には平均寿命が100歳を超えるのだとか。そんな時代を迎えようとしている中、今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では著者・真井花さんが、人生100年時代を生き抜く子どもたちへの「教育」について考察しています。
二生を生きる
みなさんにはお子さんがいらっしゃるでしょうか。高校生かそれ以下のお子さんですよ。このメルマガの読者さんがどのくらいの年齢層なのか発行者側ではぜんぜん解らないんですけどね。ま、いらっしゃる方もそうでない方もいるはずです。
では、その子たちが何歳くらいまで生きるかご存じでしょうか。
2017年の統計ですが、日本人の平均寿命は
- 男性で 80.98歳
- 女性で 87.14歳
です。すごいですよねー。人生が50年くらいだった時代からすると、現在のおじーちゃんやおばーちゃんってほとんど不老不死みたいなもんじゃないでしょうか(*^O^*)。
しかも、日本人だけでなく、世界の先進国で平均寿命は戦争や災害などの例外を除けば、一貫して伸び続けています。一貫して、ですよ。これがこのまま伸び続けると、生物学的な限界はあるにせよ、2045年には平均寿命が100歳を超える可能性があるとされています。2000年以降の産まれの子供たちがこの恐るべき平均寿命になる人たちです。今、高校生かそれ以下の年齢の子ですね。
なんてったって、100年ですから! 昔は100歳以上の人には日本政府から銀杯が贈られたそうですから、それを平均寿命として生きる子たちは、祖父母の世代から見たら一生ではなく二生を生きるイメージでしょう( ̄∇ ̄)。
ちなみに、現在100歳を超える人は増え続けており、日本政府は銀杯を純銀製でなく、銀メッキ(p_q)に変更したそうです。嗚呼、もうすでに100歳は珍しくないんですね。
なので、もうこの子たちは、65歳くらいでリタイアして、あとは余生♪ ってわけにはいかないんですよ。だって、現在でさえ65歳からまだ20年以上あるんですから。25歳前後で仕事に就いたとして65歳までずっと働いて40年。65歳くらいでリタイアしたとして、平均寿命まで20年前後あるんですよ。平均寿命が100歳になるころには35年ですよ、25歳から65歳までとほぼ同じ時間があるわけです。どっひゃーーーな感じ、しませんか。
これはつまり
- 働いているうちに
- 老後の資金を貯めて
- リタイア後はそれを取り崩して生きていく
っていうライフプランが成り立たないということです。その意味で、老後に資金がショートしてしまう老後破産は、働いているうちに老後資金を貯めきろうとしたその計画自体にムリがあるんです。繰り返しますが、現役時代とリタイア時代がほぼ同じくらの長さなんですから、老後資金全額を現役時代に貯めきろうとすると、非現実的な金額を貯金することになる(*_*)わけですから。働く期間の長さとリタイア期間の長さが近づけば近づくほど、
- 非現実的な金額の貯金
と
- 非人間的な生活費
になってしまいます。だよね?
長い長い人生を生きるには
- 勉強→卒業→就職→ずっと働く→リタイア
という、直線的な人生プランでは生き抜いていけないのです。だってリタイアしてからの人生も数十年あるんだから、その分の生活費を貯めておくのは生鮮食品を貯めておくのと同じくらいムリのある話なんですよ。
生鮮食品を日々買う必要があるように、死ぬまでずっと働く必要があるんです。ま、ある意味では「リタイア」という概念が消滅したとも、変質したとも言えるかもしれませんね。
また、「労働後リタイア」型では、労働の前に勉強と技術を取得するための教育期間がありました。日本は典型ですよね。小中高と進んで大学や専門学校を卒業したあとは、基本的にずっと同じ職業に就くスタイル。でも、二生を生きる場合には、働く期間が長すぎるので知識やスキルが陳腐化して使い物にならなくなるんですよ。そりゃそーですよね。何十年も働いているのに、新卒以前に得た知識やスキルだけでやっていけるわけないよね。なので、労働期間の途中で知識やスキルを仕入れ直す期間が必要になるんです。ま、現在の言葉で平たく言い直せば、社会人で大学や大学院に入り直す感じですね。もっとも、それはちょろっと片手間に勉強するなんてレベルじゃなく、
- 全く新しい知識をイチから勉強して
- 高等教育を修めるレベル
の学び直しができるんです。だってほら、時間はあるから(^Д^)。
むしろ、新しい事を学び直すのがキライ…という人は、非常に苦しい人生を歩むことになるでしょう。社会も人々も変化してブラッシュアップしていく中で1人だけ陳腐化した知識とスキルのまま立ち止まっていることになるんだから。
こうやって見てみると、寿命が延びるということは人生の中の重要なふたつの領域、つまり
- 学びと労働
を根本から変えてしまう力を持っていることになります。
…とするとね。現在高校生以下の子供たちに
- どんな教育
- どんな職業観
を与えますか?
ここまで読んで来てくださったのなら、もう自分たち親世代の「労働後リタイア」型は通用しないことは解ると思います。
おそらく二生を生きる子供たちは、
- 学校卒業後に放浪したりバイトしたり
- さまざまな経験を積んで
- ようやく仕事に就き
- たまには勉強し直して
- また別の仕事に就いて
…ということを繰り返すはずです。一直線に学校→卒業→就職→ずっと同じ仕事→…みたいな、硬直した人生は送らなくなるでしょう。
それぞれのお子さんにどのような教育を与え、どのような職業観を養わせるのかは、各家庭の方針によりますが、ここで最初の一歩として重要なのは、自分の教育観や職業観が通用しなくなることを親側が知っていることです。ここがスタートです。親は得てして自分とその前の世代がやっていたことを普遍の常識のように誤解…あ、その、思い込みがちです(^Д^)。
「昔はたくさんの子供を生んで育てていたから今よりずっと大変だったんだ」とかさ。言われたでしょ? 昔は子供をたくさん産んだけど、乳幼児の死亡率がすごく高くて育ち上がるのは1人か2人くらいだったんだけど、それは調べもしないし、知りもしないで、思い込んでいるんですよね。
でも、そんな常・・・いや、思い込みは今すぐ捨てた方がいいです。早いほどいいです、だってもうすぐ寿命100年の時代が来て、全く通用しなくなるから。こうした世界に生きる子供が、もう今の社会の中にいるんだから。
この二生を生きる子たちには、「労働後リタイア」型の教育や職業観ではなく
- 自分で主体的に学ぶこと
- 多様な職業に共通する仕事力
を身に付けさせることになるでしょう。
ちなみに、ここまで読んで来て「ああ、どっかで聞いたことがあるなあ」と思われたなら、結構イケていると思います。この話、詰まるところ『LIFE SHIFT』の乱暴な要約ですから(^Д^)。
寿命が暴力的に延びてしまう世界を予測した本で、著者のリンダ・グラットンは日本政府に招聘されて来日し、政策にアドバイスしました。
ガイジンがセイフに呼ばれたニュースなんて、あなたの家庭にカンケーないと思って見てないでしょ(^Д^)。大アリなんですよ、あなたのお子さんに。
今の子供たちは、二生を生きる。二生を生き抜くための、しなやかで息の長い生きる力を身に付けさせてあげたいですね。
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