世の中の多くの営業マンがトークミスを平然とやってしまっている、と警告するのは、無料メルマガ『売れる営業マンの常識は売れない営業マンの非常識!』の著者で営業実務のコンサルタントを手がける島田基延さん。今回島田さんは、そんなミスを防ぐために有効な「お客様の感情を書き出す」という手法を紹介しています。
お客様の感情を書き出す
あなたは営業活動を行うにあたって、お客様の感情を把握できていますでしょうか? 営業同行などして感じることですが、意外とお客様の感情を考えないで、営業をしている人が多いことに驚きます。
- お客様が何を考えているのか?
- お客様の感情はどのように動いているのか?
全てとまでは行かなくても、理解しておく必要があります。
以前、メルマガで紹介してことがありますが、あるFCの女性営業が天才的でした。彼女は、人の心が読めるようです! 同行して僕が営業して見せると、僕が何を考えて何を話し、お客様がそれに対しどのように考えながらどんな話をしたのかを、順番に話し始めるのです!! まあ、ビックリしたものです。「この子は天才だなぁ~」という僕の予想通り、翌月から凄まじい売上をたたき出しました。彼女の趣味は、人通りが多いところなどで、ジッとしながら、人間観察することだそうです。まあ、少し変わった子でした。
さて、あなたの会社では、お客様からヒアリングする仕組みがありますでしょうか? アンケート用紙や、ヒアリングシートなど、お客様からの言葉を頂ける仕組みです。もし無ければ、早速作成して、明日からでもやられることをお勧めします。重要なのは、お客様が使う言葉です。その言葉の中に、色々なヒントがあります。もしヒントを得ていなければ間違った営業を、やっている可能性もあります。
お客様がよく使う言葉が、カギになります。
経費、経費、というお客様は、経費を日ごろ気にしていることが、予測できます。面倒、面倒というお客様は、面倒なことや、手間がかかるのを、嫌うタイプかも知れません。このように、お客様の言葉の端端に、ヒントが隠れていることは、よくあります。
もちろん、肯定的な言葉だけじゃなく、否定的な言葉も、重要なカギになります。否定的な言葉は、改善点を示してくれています!そう考えると、非常にありがたい話だと、僕は思うわけです。
不安や悩みなど
まず、あなたにやって欲しいことがあります。それは、あなたのお客様の感情を理解するために、書き出してみて欲しいのです。お客様の、「不安」「悩み」をお客様の顔を思う浮かべながら書き出してください。アンケートがあれば、参考にするといいでしょう。ヒアリングシートがあれば、それも参考にしてください。
とにかく、あなたの言葉ではなく、お客様の言葉をそのまま書くようにしましょう。あなたが、思うことが、お客様の感情と必ずしも、一致しているとは言えないかもしれないからです。できるだけ、お客様が使った言葉を、そのまま書いてください。
そのためにも、商談を録音しましょう。あなたの商談のどこがよくなかったのか? お客様の感情は、どこで動いたのか? 時折、確認しながら、お客様の言葉を拾うようにすると、現場でのお客様の言葉を集められます!
そして、定期的に確認をしましょう。1ヶ月一度で、四半期に一度でもいいでしょう。お客様の言葉を拾い出すことで、お客様の感情を見ていくようにします。
さて、まずは、不安や悩みを考えてみましょう。どんな不安や悩みを抱えているのでしょうか?
不安と悩みは似ていますが違いますよね、不安とは、心配とか気がかりとか、落ち着かないことを指しますよね。悩みとは、苦痛や負担を感じたり、上手くいかなくて、どうしていいか迷ったり、苦しむことを指します。また、時間軸の差もあります。不安は未来に対するものです。悩みは現在進行形です。このように、区別してみると、書きやすいかもしれません。
まずは、ドンドンお客様の顔を思い浮かべて、書き出してみましょう!
「Aというお客様は、どんな悩みを抱えていたかなぁ? どんなことを不安に思っていたんだろう?」
そうやって書き出すのです。できるだけ多く、できるだけたくさんのお客様の顔を思い浮かべて、書き出してみましょう。そうやって書き出してみると、共通項が見つかるはずです。
あなたの見込客の客層が見えてきます!こんな不安があり、こんな悩みがある人が、あなたのお客様になる人なのです。まずは、それを理解しましょう。
買う理由、買わない理由
さて、お客様の感情を理解することのパート2です!
「買う理由」、「買わない理由」を、上記同様に、一人づつのお客様の顔を思い浮かべて、書き出しましょう。必ず、お客様の顔を思い浮かべて、お客様の言葉で書くようにします。ここがポイント! です。たまに、自分の言葉で書いてしまう人がいますが、残念ながらNGです。理由は、お客様の感情を理解したいからです。あなたの解釈を知りたいわけではないのです。くれぐれもご注意ください。
「買う理由」は、買う前に聞いたものと、買った後で聞いたもので、全く違う場合があります。出来れば、買う前に聞いたものの方が、参考になります。必ず、ヒアリングを行ったり、アンケートを取るようにして、お客様の言葉を集めるようにしましょう。また、契約の時に確認してもいいでしょう。
「今回、なぜ契約いただけたのですか?」
若しくは、
「今回、なぜ契約を躊躇されたのですか?」
このように、確認をして、「ぜひ、今後に活かしたいのでご意見をください。」と、お客様の言葉を集めるようにしましょう。お客様は、意外といろいろ教えてくれます。また、お客様が勘違いしている場合もあります。それも含めて、貴重なデータとなります。書けるだけ、書き出しましょう。
買わない理由を買う理由に変換できないか?
書けるだけ書き出したら、それぞれのトップ3に〇をつけましょう!
- なぜ買うのか?
- なぜ買わないのか?
その顧客の心理のトップ3を理解して、傾向をまず読み解きましょう。
「買う理由」はあなたの商品の強みです。それを、お客様が何と言ってくれているのか? それを知ることは、非常に重要なんです。あなたが考えている強みと、お客様が言っている言葉に、ズレがあれば、あなたのトークがどこか、おかしい可能性があるのです!
逆に、あなたが強みだと認識していないことを、買う理由にしているケースがあるはずです。実は、それは隠れた強みなので、強化することで、大きな強みになる可能性があります。
次に、買わない理由を見ながら、買わない理由を潰していきます。もし、あなたの商品の買わない理由を全て潰すことができたら、お客様は、買うしかなくなります! また、多くは、あなたのトークミスから、引き起こされたと考えてみます。「事前に潰せなかったか?」ということです。
少し事例をもとに解説します。
例えば、「高い」という買わない理由があるとします。「高い」という言葉は、実は不思議な言葉でして、何かと比較しない限り、発生しない言葉です。お客様は、何かと比較して、高いと言っているはずなのです。まずは、それを明確に理解します。
- A社と比較して高いのか?
- 自分の予算と比較して高いのか?
- 性能と比較して高いのか?
- 単に値引きを要求して高いと言っているのか?
- 断り文句として高いと言っているのか?
「高い」という言葉を、より具体的な言葉に変換します。同様に、「良い」「悪い」なども、抽象度の高い言葉です。全て、具体的な言葉に置き換えます! そうして行かないと、真実が見えてきません。具体化するということが重要です。
具体化をすることで、例えば、A社の商品と比較して、高いと言われていることが分かったとします。ところが、その商品とは、比較して欲しくないほど、性能に違いがあるとします。つまり、A社の商品は、性能が低いから安く、あなたの商品は性能が良いから、高いとします。
もし、あなたがそれをお客様に指摘されてから、説得していたとしたら、あなたの負けです! トークミスです!! 事前に全て潰してからしか、料金を言ってはダメなのです!
実は、多くの人がトークミスを平然とやっています! 料金は最後の最後です。事前に潰してから、料金を言えばいいだけなのです。例えば、「よくA社の商品と比較して高いとかいうバカな人がいますが、全く別もんなんですよ、…実は、…」と、あなたが話をしておけば、A社の商品と比較して高いという話は、無くなるはずなのです。このように、買わない理由をあなたのトークで事前に潰せないか、考えていくことができるのです。
また、買う理由で、買わない理由を潰せないかと考えます。多くの場合、買う理由の中に、買わない理由を薄めることができる、若しくは排除できるものがあったりします。それを、トークに織り交ぜられていない、若しくは考えられていない場合に、お客様に「No」という言葉を言わせているのです。
また、話す順番も重要です。どの順番で話すことで、買う理由が強まり、買わない理由を薄めることができるのか? 考えてみましょう! ぜひ、買う理由・買わない理由を書き出して、ワークをやってみてください。
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