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アメリカがロシアに無茶な要求、「第2弾制裁」の恐るべき内容

「国際法違反」を理由にロシアに対して制裁を科すことを決定したアメリカですが、「第2弾」の予定があることも判明しました。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、既に準備されている次なる制裁の「驚愕の内容」を詳しく紹介しています。

アメリカが、プーチンに【プチ・ハルノート】!

中国は『漁夫の利』。米国による露への追加制裁で笑う習近平」では、「アメリカは、3月に起きたスクリパリ暗殺未遂事件を理由に、ロシアに追加制裁を科す」という話をしました。

<英暗殺未遂事件>ロシア側が反発 米の新制裁発動発表に

毎日新聞 8/9(木)20:54配信

 

【ワシントン高本耕太、モスクワ大前仁】米政府は8日、英国で3月発生した神経剤ノビチョクを用いた元ロシアスパイ暗殺未遂事件について、ロシアが関与したと断定し、新たな制裁を科すと発表した。

中身は、

今回の制裁は化学・生物兵器に関する米国内法に基づき、ロシアがエンジンや電子回路部品など国家安全保障に関わる物品を米国から調達することを制限する。議会への通知期間を経て、今月22日にも発動する。
(同上)

これだけ見ると、「あんまり厳しい制裁ではなさそうだな」と思うのですが…。しかし、制裁発表後、ロシアルーブルもロシア株も、暴落しました。もう少し詳しく調べてみると、この制裁には第2弾が準備されており、そっちの方が、大変みたいなのです。

アメリカの、無茶な要求

制裁の理由についてアメリカ国務省は8日、「ロシアが、国際法に違反して、化学兵器あるいは生物兵器を、自国民(スクリパリ親子)に使用したこと」としています。

同じ理由でアメリカが制裁を科したのは、過去2回。2013年、シリアのアサド軍が、自国民に化学兵器を使った。2017年、北朝鮮が、金正恩の兄、金正男をマレーシアで殺害した(化学兵器VXガスが使われたとされる)。そして、8月22日に発動されるのは、「第1弾」制裁です(中身は、上の新聞に書かれているとおり)。

ロシアが変わらなれば、【第2弾】の制裁が待っている。第2弾の制裁を止めるために、ロシアがしなければならないことは?

1ロシアは今後化学兵器生物兵器を使用しないことを証明しなければならない

う~む。「約束」ではなく、「証明」です。そんなもん、どうやって証明するのでしょうか?????

2国連と国際機関の査察を認めなければならない

これは、ロシア国内に化学兵器、生物兵器がないか査察させろということですね。化学兵器については、1992年「化学兵器禁止条約」が成立。1997年には、同条約の履行を監視する「化学兵器禁止機関」(OPCW)が設立されました。

ロシアは、2017年に「化学兵器を全廃した」と宣言している。アメリカは、「ウソついてるんちゃうの!?」と疑っているので、「査察させろ!」と。まあ、「査察させろ」はともかく、「化学兵器生物兵器を今後使わないことを証明しろ!」って困りますね。

というか、ロシアはそもそも、「スクリパリ暗殺未遂事件と関係ない」という立場。ロシアは、「そもそも化学兵器を使ってない!」と一貫して主張している。それを、いまさら「今後化学兵器を使いません!」といえば、「いままでスクリパリについて、ウソついてたんかい!」という話になってしまいます。

ここまでで、アメリカはロシアに、【無理難題を要求していることがわかるでしょう。いってみれば、【プチ・ハルノート】です。

制裁「第2弾」、驚愕の中身とは?

ロシアが要求をのまない場合は、どうなるのでしょうか? 「第2弾制裁」の概要は、以下のとおり。

第2弾は、第1弾から90日後に発動される。つまり、11月22日ですね。さて、第2弾は発動されるのでしょうか

既述のように、「そもそも化学兵器を使ってない」と主張するロシアが、「今後化学兵器を使いません」と【証明】することなどできません。つまり、アメリカは、「最初から制裁第2弾を科すつもりで無茶な要求を出していることになります。

トランプ不在で悪化する米ロ関係

ちなみに、今回は主語がトランプ」ではなく「アメリカ」になっています。というのは、トランプは、ロシアとの和解、友好を望んでいる。ところが、全民主党、共和党の反ロシア派、国務省官僚、国防総省、諜報機関、反トランプ、反ロシアメディアなどが、トランプの意向を無視してどんどん米ロ関係を悪化させていく。ホントにユニークなケースです。

image by: shutterstock

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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