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歴史は繰り返す。夢のタワマンが向かう「団地」という40年前の夢

タワーマンションの老朽化や管理組合などのマイナス面を特集した雑誌が最近売れている様です。マンション管理士で無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんは、生活用として多額のローンを組みタワマン購入済みの層が、価格・資産価値下落など将来への不安に駆られている証拠であると分析し、「バブル崩壊前の不穏な空気」を彷彿とさせると記しています。

なぜマンション危機の雑誌が売れるのか

こんにちは!廣田信子です。最近、雑誌でマンション特集が続いています。取材にこられた記者の方に聞くと、とにかく、マンションの特集をすると、雑誌が売れるのです…と。だから、次々に特集記事になっているのです。このままではマンションは危ない、生き残るために自ら努力しないとたいへんなことになるという趣旨の特集です。

老朽化、管理不全マンションの増加、建替えの難しさ、大規模修繕工事における不適切コンサル等の問題。それに加えて、タワーマンション(タワマン)の乱立に対する問題提起…タワマンの将来への不安が取り上げられることが多くなりました。

私も著作やブログでそれを取り上げてきました。なんで、決して一等地でない、環境も整っていない地域のこんなに高額になったタワマンが売れているんだろう…今後の維持管理費、かかる費用も高額なのに…不思議だ、大丈夫なのか…と思うのと同時に、ほんとうにこの価格で流通しているんだろうか…という疑問も。

雑誌が売れるのは、自分のマンションの価値が下がるんじゃないか早く売った方がいいんじゃないか…と不安を抱える人が多くなった証拠だといいます。今、漠然と不安を感じる人が何か、不安を消してくれる材料がないか、どうしてもマンション特集の雑誌を買わずにいられないのです。マンション居住者だけでなく、すでに売買契約を済ませて完成を持っている人、今、マンションの購入を検討している人にとっても、不安要素が増えているのです。

これだけ乱立すると、もうタワマンバブルも終わりが近いのは、誰の目にも明らかに見え出しているのです。タワマン住民の方が、市場にも気をくばって、売り時を間違えないようにしているから大丈夫と語っている記事もありましたが、もう売り時は過ぎているかもしれません。

かといって、「売るならできるだけ早く」といっても、多額のローンを抱えて、そこで子育てしながら暮らしを始めた人たちは、そう簡単はマンションを売ることはできないのです。子供が保育園や小学校に通い始めていれば、簡単に引っ越しはできません。投資用に持っている人が一斉に売り出したら、価格崩壊はアッという間に進みます。同じ地域に、これだけ多くの「箱」があるのですから、マンションを生活の場としている所有者は間違いなく売り遅れるでしょう。

売り物件が多過ぎて価格が暴落すると、オーバーローンになって売るに売れません。何だか、今の空気は、バブル崩壊の直前に蔓延していた不安感に似たものを感じます。暗い話のようですが、不動産というのは何度もそういう波を乗り越えてきているのです。

一旦価格が下がることが、住んでいる人にとっては、ここが自分の住まいだと覚悟を決めることに繋がり、また、投資目的だった物件が買いやすい価格で市場に出ることで、居住目的のファミリー層が増え、落ち着いた管理組合運営ができるようになることもあります。そこから、本当の意味で、マンションの管理、運営の質が問われる時代が始まるのかもしれません。

何だか、歴史は繰り返すな…と思いながら、今のタワマンは限りなく40年前の団地に近いなと改めて感じています。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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